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【「席を譲る」方法】「譲れない」原因と「譲れるようになる」魔法のフレーズとは?

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ビジネスコミュニケーション講師の藤田尚弓さんが教える、ビジネス現場で本当に使える「口のきき方」。話し方ひとつでビジネスが円滑に進む、コミュニケーションの極意を伝授します。

心理が理解できれば、実践しやすい!


コミュニケーション講師の藤田尚弓です。

高齢者や妊婦さん、見えないハンディを抱えている人などに「サッ!」と席を譲ること、できますか? 席を譲ったものの「すぐ降りますので」などと断られ、気まずい思いをしたという人も多いことでしょう。

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かくいう筆者もその一人。引っ込みがつかない気まずさを抱えながらモヤモヤしたり、席を譲るべき場面でためらってしまったり……。

そこで、コミュニケーションの観点から、サクッと席を譲るテクニックを考えてみました。シャイな人でも実践できる言い方なので、ぜひ参考にしてみてください。

 

「席を譲るのをためらう」調査の結果から見えた3つの理由

「困っている人を助けたい」という気持ちがある一方で、なぜ、席を譲るのをためらってしまうのか。その理由について調査してみました。すると、以下の3つに集約することができました。

(1)譲ろうとする相手が座りたいかどうか確信が持てない

(2)自分以外の誰かが譲るであろうと思う

(3)拒否されることを連想してしまう

それぞれの背景について説明していきましょう。

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まず(1)譲ろうとする相手に席が必要か確信が持てないというケースについてです。
私たちは、確信が持てない状況下にあるとき、周囲の人の態度から影響を受けて、自分の態度を決定するという傾向にあります。

有名な実験を紹介しましょう。

アンケートに答えてもらう名目で被験者に作業をしてもらいます。作業中、換気口から白い煙を出します。部屋の中で被験者一人だけで作業している場合、異常を報告した人は75%でした。一方、周囲に他の作業者がいて、その作業者達が煙を無視した場合、なんと90%の被験者が無反応だったという結果があります。(Latane&Darley, 1970)

つまり「席を必要としているかもしれないが、確信が持てない」という状況下では、周囲の乗客のふるまいに影響を受けてしまうということです。他の乗客が席を譲らないために、「自分も譲らない」という選択をしやすくなるのです。

この選択は、(2)自分以外の誰かが譲るであろうと思う、という理由にもつながります。
手助けが必要な人を発見しても、周りに協力者がいないことで援助行動をとりにくくなる傾向があるのです。

さらに理由の(3)拒否されることを連想してしまう、という経験があれば、
「譲りたいけどためらう」「譲りたいけれど、誰かが譲るだろう」といった思いから、席を譲ることを難しく感じる傾向が強くなると考えられます。

電車やバスをはじめとする、公共の場所は席を譲りにくい環境なのだと言えるでしょう。

 

それでも、カッコよく席を譲れるようになる5つのキラーフレーズ

公共の場所は席を譲りづらい環境とはいえ「席を譲るべきか……、断られるかも……、でもやっぱり……」など、脳内でぐずぐずセルフコミュニケーションをするより、サッと席を譲ったほうが、断然カッコいい大人のふるまいです。

そこで、悩んだときに使えて、スマートに席を譲るためのフレーズをご紹介します。

【フレーズ1】「いや、自分が立たないと」

このフレーズは相手にではなく、自分自身にかける言葉です。「誰かが譲るだろう」という状況下では、なかなか行動を起こしにくいことは先ほど説明したとおり。

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高齢者や体が不自由な人、妊婦さんや子供連れの家族を見た瞬間に「いや、自分が立たないと」と心のなかでつぶやいてみましょう。

コツは、つぶやくと同時に腰を浮かせること。行動を起こしてしまうことで「でも、やっぱり・・・・・・」という迷いを感じることなく席を譲ることができます。

【フレーズ2】「どうぞ、お座りください」

実は「お座りになりますか?」と問いかける質問系のフレーズは、断られる確率が高いもの。反射的に「いえ、大丈夫です」と言われた経験はありませんか? 

これは「席を譲ってもらうのは悪いな」と遠慮を感じる人が多いためです。声をかけたこちらを慮っている場合もありますが、いずれにせよ断られると傷つきますよね。

そこでおすすめしたいフレーズが「どうぞ、お座りください」という声がけです。こちらは依頼型のフレーズなので、相手の「悪いな」「申し訳ないな」という心理的負担(負債感)を軽減する効果が期待できます。

声をかけるタイミングは、しっかり席を立ってから。立ち上がる途中の中腰の体勢では、カッコいいとは言えません。サッと立ち上がり、歩き出しながら言うとよいでしょう。

【フレーズ3】「そろそろ、降りますので」

「よろしかったらどうぞ」「あ、大丈夫です」といった、相手が反射的に断っているであろう場合に使いたいフレーズです。

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「よろしかったらどうぞ」「あ、大丈夫です」ときたら、「そろそろ、降りますので」と笑顔でつけ加えてみましょう。理由をつけることで、理由がないときよりも相手の承諾率が上がります。

ちなみに「いえいえ、次で降りますので」だとウソになってしまうことがありますが「そろそろ」なら、いつでも使えるので便利です。

【フレーズ4】「いつでも言ってください」

席を譲ろうとしたときに、ハッキリ断られる場合もありますね。「立っているほうが楽なので」「座ると子供が泣いてしまうんです……」など、なにか理由があって座らない人もいるでしょう。

そんなとき、気まずさを感じる前にこちらのフレーズを使いましょう。「いま、必要がないのは分かりました。でも、状況が変わって座りたくなったら言ってくださいね」というニュアンスを伝えることができますし、元の席に座ったとしても居心地の悪さを感じません。

「結構です!」と強めに断られたときも、このフレーズを返すと、不思議と傷つかなくてすみますよ。

【フレーズ5】(座って……座ってくれー!)

どれほど、断られたときの対策を練っても、迷いを振り払っても、やっぱり恥ずかしかったり抵抗がある場合はこのフレーズを。心のなかで、祈りを込めつつ、思いっきり「座ってくださーい!!」「座ってくれー!」と相手に向かって叫びながら、それとなく席を立ってください。

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譲りたいと思った人が座ってくれない場合もありますが「座ってくださーい!!」と心で祈ったことが、あなたの心の免罪符になります。バカバカしいように思えますが、「譲るべき? それとも……?」と迷うぐらいなら、この方法を。案外おすすめです。

席をサッと譲るのは、本来は当たり前のこと

困っている人がいたら、サッと席を譲る。本当はこれが社会として当たり前になるのが理想です。席を譲るかどうかモヤモヤしたり、ためらいを感じるのも変だし、カッコよく席を譲る方法を考えるのもなんだか滑稽です。

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それでも、最初の一歩が踏み出せないときは、ここまで紹介したフレーズを試してみてください。朗らかな応酬でサッと席を譲るカッコいい大人が増えたなら、ちょっとだけいい感じの社会になったと思えませんか?

 

Photo : Getty Images



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