任意保険を賢く使って安全・安心なカーライフを！
この1年余りで生活スタイルが多少なりとも変わったという方は多いと思います。自動車との付き合いも同様で使用頻度が多くなった、あるいは増車した方もいらっしゃるのではないでしょうか。
新車販売は持ち直す傾向にありますが、コロナ禍でも中古車販売は新車より堅調であり、価格帯によっては供給不足も見受けられます。自粛下でも週末の渋滞がなくならないのは、公共交通機関よりプライベートな空間を確保できるクルマの方が安心だと感じるのが原因かもしれません。
自動車の稼働率が高まれば、当然、自動車事故が増えます。いざという時のために保険に加入している方がほとんどでしょうが、起こってみなければその実情がわからないのが保険ともいえます。いったい、自動車にまつわる保険はどのようになっているのでしょうか。
自動車には大きく分けて2つの保険制度があります。ひとつは『自賠責保険』です。これは一般的に強制保険と呼ぶもので、法律により加入が義務付けられています。つまり未加入では自動車を登録できず一般道でクルマを使用できません。
●自賠責保険の損害の内容と支払限度額
死亡による損害：3000万円
後遺障害による損害：75万円～4000万円
傷害による損害（治療費、通院費、看護料、休業損害、慰謝料など）：120万円
自賠責保険は最低限度の社会的救済を目的としていますので、到底この金額ではまかなえないのが実態です。そこで登場するのが『自動車保険』であり、しかし、強制力はないので一般的に『任意保険』とも呼ばれます。
●自動車保険の種類と補償範囲
賠償責任保険：事故の相手（対人賠償・対物賠償）に対する補償など
傷害保険：ご自身と同乗者（人身傷害）に対する補償など
車両保険：ご自身の自動車に対する補償など
その他の補償・特約：弁護士費用などオプション的な追加契約
保険会社により名称は異なりますが、一般的にはこれら複数の保険を組み合わせることから『〇〇総合自動車保険』などと呼ばれます。この保険の掛け金は契約者の年齢や継続加入年数、賠償額などの諸条件、そして一般的に料率クラスと称される『型式別料率クラス』で大きく変わります。
この料率クラスですが、じつは毎年条件が見直され、2020年1月からより細分化されています。『自家用普通・自家用小型乗用車』は従来の9クラスから17クラスに分類。各クラス間で約10％（従来は約20％）、最大でおよそ4倍以上も掛け金が変わります。
また従来、料率クラスが適用されていなかった『自家用軽四輪乗用車』（いわゆる軽自動車）ですが、この改定でリスクに応じ3クラスに分類されるようになりました。もしもご自身の自動車保険の掛け金が更新時に下がらなかった場合、この料率クラスをご確認ください。引き上げられた可能性があります。
基本的な料率クラスは『損害保険料率算出機構』のHPで「メーカー・車名」もしくは「型式」（車検証に記載あり）で検索することが可能です。当然のことですが、高額車や事故率の高い車種は掛け金が高く、一般的にファミリーカーは掛け金が低い傾向にあります。ただし、実際の保険料は保険会社により異なりますので尋ねるしかありません。
イメージ的にピンとこない、分かりづらいのは『車両保険』と『その他の補償・特約』の項目ではないかと思います。次回より「掛け金を押さえる加入条件のコツ」、「絶対に加入すべき特約」、「知らなきゃ損する受け取れる補償」など、多岐にわたり紐解いて行きたいと思います。
Text：Seiichi Norishige
