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FOOD 洋食天国

【渋谷道玄坂「とりかつチキン」】半世紀続く名店の揚げ物に箸が止まらない!

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料理芸人のクック井上。による、“飲食店は開店してから、2年以内に半数が閉店に追い込まれる”というデータがある中、何十年もの間、お客に愛され続けてきた洋食屋さんを巡り、その想い、歴史、人、町を知る連載コラムです。

料理芸人のクック井上。です!
 “飲食店は開店してから、2年以内に半数が閉店に追い込まれる”というデータがある中、町には何十年もの間、お客に愛され続けてきた洋食屋さんがあります。
そんな老舗の洋食屋を巡り、その想い、歴史、人、町に触れる連載コラム【洋食天国】。vol.18は、渋谷『とりかつ CHICKEN(チキン)』にやって参りました。

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創業は昭和52年(1977年)。
前回の1964年東京オリンピックの頃までは、渋谷の中心部だった古い商店街「百軒店(ひゃっけんだな)」の雑居ビルにある揚げ物専門店です。

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店主は、二代目・関口充さん。(後姿は娘さんの内藤真美さん)

こちらは、自分で好きな揚げ物を選んでオーダーできるシステム。

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「とんかつ・とりかつ・ハムかつ・イカフライ・アジフライ・コロッケフライ・メンチフライ・かにクリーム・肉巻きヤサイフライ・なすのフライ・玉ねぎフライ」というラインナップから2品で700円、3品で850円、4品で1050円

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ちなみに<とりかつ・ハムカツ・コロッケフライ>のセット「人気定食」は、3品にもかかわらず通常の150円引きの700円と、お得な満腹男飯。とても魅力的なセットですが、今回はわがままに4品いっちゃいます。

迷いに迷った末に<とりかつ・アジフライ・肉巻きヤサイフライ・なすのフライ>4品、お願いします!

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小麦粉→卵液→パン粉をまとわせでいきます。

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優しくしっかりとつけられたパン粉は、見るからに柔らかな生パン粉

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リズムよく、揚げ油のラードに投入されるやいなや、あたりを甘い香りが包みます

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それぞれの食材の具合を丁寧に確かめながら、次々と揚げ網におさまった揚げ物たち。食べやすいようにサクサクっと包丁を入れ、キャベツの千切りと糠漬けを添えて完成です。

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4品<とりかつ・アジフライ・肉巻きヤサイフライ・なすのフライ>

サクサク&アツアツのうちにいただきましょう。まずは、お店の名前にもなっている<とりかつ>から。

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噛むと、ラードの甘さを携えつつも、全く脂っこさのないカリッとした衣が既に御馳走。そして、前歯が衣から鶏肉に到達した瞬間、心地よいモイスチャーが舌に旨味を運びます。流石、店名に“とりかつ”を冠しているだけあって、これ以上でもこれ以下でもない、バッチリの揚げ具合です。

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2品目の<肉巻きヤサイフライ>は、豚肉のスライスで玉ねぎを巻いて揚げた一品。

揚げ物は“蒸し料理”である
単なる玉ねぎフライでも玉ねぎの魅力を味わう事ができるが、豚肉スライスで巻くことで、さらにしっかりと蒸され、玉ねぎの甘さ&食感の魅力が最大限に引き出されている。そこに、豚肉の旨味が加わり、言わば“生ハムメロン”のような絶妙の組み合わせになっている。

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家庭では味わえないクオリティなのに、毎日食べても飽きない、家庭料理のような和みも持ち合わせた揚げ物に、ご飯が進みます。さて、<とりかつ><肉巻きヤサイフライ>には、ソースをかけましたが、<アジフライ>には、お醤油と参りましょう。

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(うん、好みでソースと混ぜても良いなぁ。)

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そっと顔に近づけるだけで、磯の香りが鼻腔全体をくすぐります。噛むと、その香りは倍増し、ふっくらした身の食感から新鮮さがうかがえます。好きなものだけ選んで、あっち食べてこっち食べて、幸せだなぁ。

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30代の頃なら、全てを動物性の揚げ物で固めていただろうけど、4品のうちに<なすのフライ>を入れられるのが大人の男。ただその眼差しは少年のごとし。がっつり系→がっつり系の合間に、<なすのフライ>の柔らかく軽やかなその食感がよい句読点。オススメです。

さて、揚げ物の句読点の代表選手といえば千切りキャベツ。

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しかし、『とりかつ CHICKEN(チキン)』には、その上を行く、絶品の句読点がある

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それが、自家製の糠漬け
優しく鼻をくすぐる、糠の薫りと乳酸発酵の酸味がこの上なく幸せ。こういうところに手抜きがない、それだけでお店の姿勢が伝わってくる。そして、この存在も忘れてはならない。

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千切りキャベツで使わなかった外の葉や芯、糠漬けで使わなかった大根やカブの葉を糠漬けにして細かく刻んだものがカウンターの壇上に置いてある。

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自由にとることができるのだが、これがもう、揚げ物と同等レベルのごはん泥棒で、スプーン一杯でご飯一膳イケる! いや、本当ならばスプーン三杯でご飯三膳いっちゃいたい! 昔から『とりかつCHICKEN』にある、捨てがちな副産物で作る絶品ご飯のお供は、食品ロスを解消すると共に、全地球人を幸せにするSDGsの極み!
※まさに“全米が泣く”、みんなの為のごはんのお供なので、取り過ぎに注意しましょう。

さぁ、ラストの一口は、一切れ残しておいた<とりかつ>と、愛しの糠漬けW、少し残しておいたお味噌汁でいただきます。

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家庭的なのに家庭では出せないクオリティの一品一品に笑みがこぼれます。そして、揚げ物4品をペロりと食べて、40代半ばの中年男性が一切胸焼けしていないという奇跡のフィニッシュに感動の涙がこぼれます。

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誰もがホッとできる名作の一品一品に、“ご馳走様!”と心からのお礼を伝え、カウンターに食器を戻すまでが『とりかつ CHICKEN(チキン)』です。

ここからは、お店のことやお料理のことを、二代目・関口充さんにお伺いしたいと思います。

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── お店の成り立ちを教えてください。
二代目・関口充さん
 この場所は実家で、昭和52年に母がお店を始めました。当時のお店は木造で、場所は今のお店のゴミ置場の辺りにありました。その後、昭和56年にビルに建て直し、今のお店の場所に入りました。母とお手伝いしてくれるおばちゃん2人がお店に立つことになったのですが、毎回できたお料理を持っていくのは大変って事で、カウンターだけのお店にして、厨房を広くとったんですよ。

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店内写真。厨房が広く、お料理を渡しやすい、カタカナの“ム”の字のカウンター。

── 当時から変わらない、効率的なカウンターが素敵です。メニューも当時と変わらないですか?
二代目・関口充さん
 最初は<とりかつ>しか無かったんですよ。その後、鶏ひき肉で作る<メンチカツ>を作ったり、少し経ってからも5品くらいしかなかったんじゃないかな。ただ、今よりもっとメニューがあった時もあったんですよ。<はんぺんフライ><串カツ><ちくわフライ>とか。今残ってるメニューはよく出るメニューです。

── 選抜メニューですね! 2品、3品、4品とありますが、一番出るのは何品ですか?
二代目・関口充さん
 セットとしては<とりかつ・ハムカツ・コロッケフライ>の「人気定食」が一番出ます。それ以外だと、前は圧倒的に2品だったけど、今は3品かな。メニューとして人気なのはやっぱり<とりかつ>、その後に<とんかつ><メンチカツ><ハムカツ><コロッケフライ>などですかね。常連さんは、いつも頼むのが決まっちゃうみたいね。“また結局同じの頼んじゃった!”みたいな。

── それ、めちゃくちゃわかります!それにしても、値段安すぎませんか?
二代目・関口充さん
 普段あんまり考えないんですけど、そう言われれば、うちはちょっと安いね(笑)。バブルの頃も同じ値段だったんですけど、“650円じゃ何喰わされるかわからないから、値上げしてくれ!”って言われたことありますよ。でも、そういうお客さんも3回来ると“美味しくて安いから、値上げしないでいい!”って(笑)。

── バブルの、消費税の無い頃から同じ値段って、実質値下げですね。関口さん自身がよく食べるものも教えてください。
二代目・関口充さん
 以前、毎日のように食べてたのは<メンチカツ><カキフライ>かな。鶏のひき肉を使ってるのでジューシーとかっていうんじゃないんですけど、軽くてあっさりしてるんですよ。<カキフライ>は冬~3月くらいまでの季節限定です。

── 毎日作る店主が毎日食べても飽きない味、そりゃお客が飽きないわけです。変わらない味って最高です。
二代目・関口充さん
 風景も変わらないですからね。『40年前の東京』って本があるんだけど、見ますか? 

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ビルに建て直す前の、お店の前の通り。(昭和41年頃)「40年前の東京(生活情報センター)」より

 

今のお店の前の通り。半世紀以上経っても当時のまま。

── 本当に、50年以上前と、基本的には全然変わらないですね! 
二代目・関口充さん
 お店の前の道は、昔の映像を見てると『太陽にほえろ』によく出てきますよ。ロケで年中使われてましたから。

── ゴリさん、殿下、長さん、マカロニ、ジーパン、テキサス、ボン、スコッチ、ロッキー……、ここを通ったんですね!
二代目・関口充さん
 懐かしいですね。最近でも、BSのドラマにも出てたみたいですね。まだ情報解禁になってないから具体的には言えないけど、来年あたり、総予算何十億の、海外の大きなドラマか映画にも出ますよ。

お店のこと、お料理のこと、街のこと…、たくさん貴重なお話をうかがうことができました。
2030年に完成するといわれている再開発の真っただ中の渋谷にあって、この辺りは昔のまま。
『とりかつCHICKEN』の味も、お母様の頃から変わらず受け継がれています。

なんでも新しけりゃ良いってもんじゃない、昔ながらの雰囲気があるからこそ絵になる。昔ながらの本当の渋谷、昔ながらの『とりかつ CHICKEN(チキン)』、いつまでも残ってほしいです。

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今回は、渋谷『とりかつ CHICKEN(チキン)』にお伺いしました。娘さんの内藤真美さん、二代目・関口充さん、従業員の半戸博子さん、有難うございました。

“明日も明後日も明々後日も、またあの、昔から変わらない味を食べたい!”そんな素敵な思い出の洋食屋さん、皆さんにもあるんじゃないでしょうか? 日本人みんなの憧れの「洋食」という名の和食文化、まだまだ東京のあちらこちらに有りそうです。
まだまだ巡って、その想いや歴史、人や町に触れたいと思います。

とりかつチキン
東京都渋谷区道玄坂2-16-1 都路ビル 2F
03-3461-0298
営業時間 [月~金] 11:00~15:00(L.O)、 17:00~20:00(L.O)
[土・祝] 11:00~20:00(L.O)
定休日 日曜
※ 新型コロナウイルス感染拡大により、営業時間・定休日が記載と異なる場合がございます。ご来店時は事前に店舗にご確認ください。

Text:Cook Inoue
Photo:Naoto Otsubo
Edit:Takashi Ogiyama

クック井上。プロフィール
お笑いコンビ「ツインクル」のクック井上。です! 芸人でありながら、食のイベントMC・料理教室講師・食のプロデュース等も! ●フードコーディネーター●ホームパーティー検定●食育インストラクター●野菜ソムリエ●BBQインストラクター●アスリートフードマイスター●こども成育インストラクター●パエリア検定 など食に関する資格も多々あり。
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