まだまだ眠っていたいのをガマンし、なんとか頑張って起きた日。
その日一日は眠気が強く、気づくとぼーっとしていたり、同僚との会話でもぼんやりした反応しか返せなかったり、深刻な会議でも考えがなかなかまとまらなかったり……。
こんな状態では、疲労感や老け感がにじみ出ているに違いありません。
実は、「顔」にもいろいろな寝不足のサインが現れます。
代表的なのは、目の下がどんより暗く見えるクマ。ほかに、顔色が冴えずにくすんで見える、女性ならメイクのりが悪い、などです。
いくらマスクで顔半分が覆われているとはいえ、男女関係なく、とても元気には見えませんし、若々しくも感じられないのではないでしょうか。
シミ、シワ、肌荒れが増えるという事実!
このように睡眠不足が見た目でマイナスになることはとても多く、いくつもの企業が睡眠と美容の関連について研究を進めています。その例をお伝えしましょう。
まず、化粧品で知られるポーラ化成工業が複数の男女に対して行った研究です。8時間以上の睡眠をとった朝と3時間以下しか睡眠をとっていない朝の肌の角層の状態を比較した結果、睡眠不足が肌あれの原因となることを報告。そのメカニズムも発表しています。
また、イギリスの寝具メーカーが女性を対象に行った調査によると、睡眠時間6時間だけという生活を続けた人たちは、シワやシミ、肌の赤みの増加が見られました。
睡眠改善委員会も、睡眠と肌トラブルの関連を調査しています。睡眠不足の自覚がない“かくれ不眠”の40代女性に、肌のハリやくすみ、しわ、シミなどの複数の肌トラブルを実感している人が多く、よく眠れている人との間に大きな実感の差があるということです。
さらに、寝具メーカーである西川の検証では、良質な睡眠環境を整えると、アンチエイジング効果が見込めると発表しています。質のいい睡眠によって、成長ホルモンの分泌促進や酸化ストレスの減少などの可能性があるようです。
このように医療分野以外の企業が睡眠と美容の関連についてさまざまな調査や研究を行っているということは、その関連が無視できない状況にあるということですね。
睡眠7時間前後で「老け」にブレーキ
仕事をスマートにこなすデキる男性としては、やはり健康的でいきいきとした見た目のほうがベターなのは言うまでもありません。
では、どれくらいの睡眠時間を確保すればいいのでしょうか?
生活習慣病やうつ病にならず、見た目の若々しさをキープするには、6~8時間の睡眠をとることがおすすめ。もちろん、最適な睡眠時間は個人差が大きく、だれでも「6時間とっておけば安心」「必ず8時間は寝るべき」ということではありません。
7時間前後を目安のひとつとしつつも、自分が必要と感じる十分な時間がとれればいいと思います。
「お肌のゴールデンタイム」の真実は?
「お肌のゴールデンタイム」というのを聞いたことがあるでしょうか。男性にはなじみがないかもしれませんが、美しい肌を保つために22時~翌2時の間は寝ていたほうがいい、という考えからこのように表現されます。
この時間帯には皮膚の新陳代謝に影響を与える成長ホルモンが多量に分泌される、という考えがベースにあります。しかし、実は正確ではありません。成長ホルモンの分泌は、時刻によって規定されているわけではないからです。
以前にも書きましたが、寝ている間は、脳を休めるノンレム睡眠と、からだが休んで夢を見るレム睡眠を繰り返していて、成長ホルモンの分泌はノンレム睡眠中に分泌されます。
とりわけ、“深い”ノンレム睡眠中にたくさん分泌されるため、深いノンレム睡眠をしっかりとれていれば、肌は健康的になれるはずです。
そこで気になるのが、“深い”ノンレム睡眠をとる方法。
といっても、深いノンレム睡眠は寝ついてから3時間のうちに自然と多く現れるため、とっておきの秘策があるわけではありません。しかし、朝方になるにつれてレム睡眠の時間が長くなるので、注意が必要です。
とくに問題となるのが、たとえば午前4時に寝た場合。寝ついてすぐノンレム睡眠が現れようとしますが、すでに朝方のためレム睡眠も現れようとします。睡眠のリズムが悪くなり、質のいい睡眠ではなくなってしまうわけです。
多くの人は平日の朝、6時~8時ころには起きると思います。理想の睡眠時間が6~8時間なので、逆算すると寝る時間は22時~翌2時の間。結局のところ、「お肌のゴールデンタイム」と同じということになりますね。
仕事に趣味に忙しい毎日かと思いますが、良質で十分な睡眠をとるには、できれば24時までに眠るといいでしょう。
なお、慢性的な睡眠不足は、見た目の問題だけでなく、もちろん健康面にも悪影響で、さまざまな病気のリスクを上げると報告されています。
とくに40代は、その後の人生を健やかに送れるかどうかの分かれ目。睡眠の質の悪さや睡眠不足によって、老け見えしたり、健康面でマイナスになることがないよう、しっかり睡眠をとるよう心がけましょう。
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