ルーツは、ケルト系民族ゲール人が履いていた労働靴!
#服魂ライブに参加し、ご高覧頂いた方々ありがとうございました! ともに盛り上げていこうと決意した第32弾は、忘れていたわけではないんですが…、ウィングチップことフルブローグをピックアップしたいと思います。
トゥ部分に一文字の切り替えがあるストレートチップことキャップトゥに対して、鳥が翼を広げたような切り替えを施した靴をウィングチップ(Wing tip)と呼びます。
全体にメダリオンを打ち込んだり、パーフォレーションが施されたり、穴飾りがあるのが特徴ですね。
この靴のルーツとなるのは、スコットランドやアイルランドの高地に住むケルト系民族ゲール人が履いていた労働靴。彼らが履いていた靴には、ギザギザになった切り替えや、水はけを良くするための穴飾りが施され、耐久・耐水性に優れていたようです。
これを参考にイギリス人がハンティングなどアウトドアシーンで履く靴としてカントリーブーツを考案。後に都市で履く靴にもそのディテールが採用されて人気となり、海を渡ったアメリカで大流行し、アメリカントラッドには欠かすことができない靴へと成長を遂げました。
イギリスではフルブローグと呼ばれることが多いウィングチップは、じつはアメリカにおける呼称で、日本もアメリカからの影響が大きいためウィングチップが一般的な呼び名として認識されています。
では、話をクルリンパと戻して ウィングチップ(フルブローグ)の投稿から素敵な5選をご紹介していきましょう!
ジョンロブの「ダービーⅡ」
まずは、以前のジョンロブ回、そしてJ.M.ウエストンの回にも登場頂いた @ryuki_hさんの投稿から。
ジョンロブの「ダービーⅡ」です。

2009年に発売されて高い人気を誇ったモデル「ダービー2(DARBY II)」ですが現在は廃番…。現行では、2015年に登場した「ダービー3(DARBY III)」が後を引き継ぎます。
ラスト(木型)はジョンロブの名作#8695を用いていますが、初代「ダービー(DARBY)」と異なるのはギンピング(※ブローギングの外側に施されるギザギザ)がなく、トゥキャップのパンチングがやや小さめで、洗練されたデザインに変更されているところ。
フルブローグのダービー(外羽根)は一般的にはカジュアルな靴ですが、さすがはジョンロブ! 上品で、よりモダンな顔に仕上がっています。
@ryuki_hさんは本当に素晴らしい靴をたくさんお持ちで毎回驚かされます。このチェストナッツの「ダービー2」も綺麗すぎて…。靴への愛がひしひしと伝わってきます。
関西のコロナはヒドい状況ですが、素敵な靴を履いて、気をつけながらお出掛けください。
オールデンのウィングチップ
続いては、@yuu.nsmrさんの投稿。
オールデンのウィングチップです。

アメリカの雄オールデンのウィングチップといえば、バリーラストを採用した975ロングウィングチップが有名ですが、こちらはモディファイドラスト(MODIFIED LAST)のモデル。
ヴィンテージとのことですが、手入れが行き届いており、ピッカピカですね。
このオールデンに限らず、@yuu.nsmrさんがお持ちの靴はどれも美しく磨かれており、目を奪われてしまいます。
これからも履いては磨きを繰り返しながら可愛い靴たちを愛で続けてください。そして、また たくさん投稿してくださると嬉しいです!
フローシャイムの「ケンムーア」
次は、白い靴の回に続いての登場となる @michiru2508さんの投稿。
フローシャイムの「ケンムーア」です。

つま先をW字に切り替えたパーフォレーションと、ピンキングがヒールまで続くロングウィングチップはアメリカではポピュラーなデザインですが、フローシャイムの「ケンムーア」は別格の面構え!
ちなみに、フローシャイムは1892年にミルトン・フローシャイム氏がシカゴで創業。第一次世界大戦も第二次世界大戦も軍のサプライヤーに選ばれ、そして戦後はアイビーリーガーの足元を飾ってきた、アメリカを代表したシューメーカーです。
現在まで買収、破産を繰り返しますが、なんとかブランドは健在。しかし、@michiru2508さんが履いている昔のモデルの方が圧倒的に雰囲気がありますね。
そして、投稿頂く どの靴もしっかりと手入れされていて素晴らしい! ベッドから眺められる靴たちとメンテナンスグッズは圧巻過ぎます。
フローシャイムといば、以前 百“靴”争鳴で取材した千駄ヶ谷の名店 スーパー8シューズには たまにヴィンテージがデッドストックで入荷したりするので気になる方は こまめにチェックを!
ハインリッヒディンケラッカーの「ブダ・ウィングチップ」
4人めは、さまざまな回に登場頂いている、#靴魂の常連 @shoes451さんの投稿。
ハインリッヒディンケラッカーの「ブダ・ウィングチップ」です。

1879年に創業したドイツのシューズブランド、ハインリッヒディンケラッカー(HEINRICH DINKELACKER)。
こちらの「ブダ(BUDA)」は、最も有名な「リオ(RIO)」に続いて2番目に古参となる木型。「リオ」に比べると、少し縦長で若干ドレッシーなんですが、並んだエドワードグリーンと比べてしまうと、だいぶどっしりしています。
140年以上に渡って伝統を守り、機械を用いない卓越した職人技で靴づくりを続けていましたが、残念なことに現在は生産停止の状態に陥っており復旧の目処は立っておらず…。最悪、いまあるもので終了の可能性もあるので、気になっている方は早めのチェックがおすすめです。
@shoes451さんも全包囲的にさまざまな靴をお持ちで、いつも美しく磨かれていて気持ちが良いです。今後も着用とケアの投稿をよろしくお願いします。
サルトルのウィングチップ
最後は、モンクストラップの回に続いての登場となる @lovewinterloveさんの投稿。
サルトルのウィングチップです。

"世界一美しい乗馬ブーツ"を作ると評されるサルトル(SARTORE)は、1930年代、ニースの北にあるフランス・ブレイユ=シュル=ロワイヤで 靴店と修理屋を兼ねた小さな店からスタート。
1959年に創業者の息子ポール・サルトルが、妻のマルセルと一緒に靴工場を起こし、彼らの2人の娘カトリーヌとフランソワーズが手伝い始めた1978年ごろにファミリーネームを冠した「サルトル」を誕生させ、柔らかく履きやすいブーツを世に送り出すことで不動の人気を手にします。
そんなサルトルのウィングチップは内羽根でクラシカルな雰囲気。コントラストがキツくないバイカラーなのも良いですね。
以前も書きましたが #靴魂に女性がポストしてくださるのは本当に嬉しい! それがパンプスなどではなく、作りのしっかりした革靴となると尚のこと。@lovewinterloveさん、本当にありがとうございます。ぜひ、これからも素敵な靴を投稿し続けてください。
あと、わがままなお願いですが、服やコーディネートをアップする際は#服魂タグもつけていただけるとサトシーノが喜びます(笑)。
あらためて見ると、やっぱりウィングチップってイイですね。アメトラ、プレッピーにハマってた際はトム・ブラウンよろしく、オールデンなどを履いていたんですが、最近はご無沙汰…。これを機にクローゼット奥のパンドラの箱から引っ張り出して、また履いてみたいと思います。
それでは、本日はここまで。是非これからも ドレスシューズに限らず、ブーツやスニーカーなどなど、みなさんの愛用靴を「#靴魂」を付けて たくさんポストしてください! 女性も大歓迎!
ちなみにですが、会員登録して頂けるとコメントを書き込むことができますので、#靴魂に対するご意見や感想、「オレはココの靴が好きだー」「こんな切り口で靴が見てみたい」などなど奮ってコメントしてください。それから、インスタグラムの #靴魂(くつたま)を介して、皆さんが交流してくれたら、こんなに嬉しいことはありません。
投稿に関してですが、撮影の仕方は自由。靴のみ、履いている足元、その靴を中心としたコーディネートなどなど、靴が写っていれば何でもOKです。ぜひご自慢の一足をインスタグラムに投稿してください。もしかすると あなたの投稿を取り上げるかもしれません。
それでは次回の「あなたの靴、見せてください」もお楽しみに!!