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CAR スーパーカー回顧録

【ポルシェ911カレラRS 2.7】少年はスーパーカーを駆逐するレース直系というリアリティに打ちのめされた!

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皆さんこんにちは。中年B、ノリシゲセイイチ(56)です。

今回は永遠の好敵手、風吹裕矢のライバルである早瀬左近の愛車“ナナサン・カレラ”(通称名)を取り上げます。長年読み込んだ自動車雑誌上の正式名称は『ポルシェ911カレラRS 2.7』。しかし、当時モノのカタログでは『Porsche Carrera RS』だったと記憶します。

スーパーカー少年にとっての永遠のバイブル、漫画『サーキットの狼』では設定上、早瀬左近はポルシェ軍団の総帥であり、メンバーはマンジの旗を振りかざすという今の時代なら完全アウトな集団のアタマを張っているワケですが、子供ゴコロにもウラヤマシかったのは彼が早瀬電機の御曹司であるということです。

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Porsche 911 Carrera RS
©︎gettyimages

今にして思えば主人公の裕矢は姉の稼ぎ次第であり、ともに他人頼りな高校生というどっちもどっちな感じですが、コレを『巨人の星』に変換するとミツル・ハナガタと長屋暮らしの星飛雄馬。RPGなら迷わず前者をアバターに選びます。

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Porsche 911 Carrera RS
©︎gettyimages

さて、このナナサン・カレラを個人的スーパーカーの定義に当てはめると、12気筒>6気筒、DOHC>SOHC、リトラクタブル>固定式(ヘッドライト)なので、スーパーカーではありません。

ワタシにとって911は永遠に可愛いカエルちゃん。ですが、自動車雑誌を読み漁ると、どうやらただのカエルではないことが判明します。語り尽くされていることながら、ナナサン・カレラはナロー時代の最終年度型に追加された特別なモデルでした。広くお披露目されたのは1972年10月のパリ・サロン。

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Porsche 911 Carrera RS
©︎gettyimages

当時のスタンダードな911の頂点は2.4リッターのフラット6を搭載した『ポルシェ911S』で最高出力は190hp/6500rpmでした。ナナサン・カレラはこのエンジンをベースに84mm→90mmへとボアアップ(シリンダーは強化品)。ストローク70.4mmは変えずに排気量を2.7リッターへと拡大し最高出力210hp/6300rpmへと導きます。

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1973年のタルガフローリオで優勝したPorsche 911 Carrera 2.8 RSR

ナナサン・カレラの企画の出発点はモータースポーツです。グループ4の参戦規格を満たすために年間生産台数500台というのが当初の目標でしたが、コレがバズリまして、最終的にレース用の進化版である2.8リッターエンジン搭載車を含め1280台(1290台説もあり)造られます。

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Porsche 911 Carrera 2.8 RSR
©︎gettyimages

ココでレース用モデルの市販車バージョンという付加価値をマーケティング的に確立したポルシェですが、現在の911シリーズに置き換えると『911GT3』というモデルに行き着きます。ナナサン・カレラを起点にルーツを探れば1967年の『911R』に到達します。

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Porsche 911 Carrera 2.8 RSR
©︎gettyimages

このモデルは1969年開催のツールド・フランス・オートモビルでレコード勝ちを収め911人気を加速させます。『911R』という車両そのものは軽量化ガラスにFRPの前後バンパー&エンジンフードを採用するなど、その後のナナサン・カレラ開発に転用される技術手法が見受けられます(生産数24台)。

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カレラRSの原点は1967年のPorsche 911 R

ナナサン・カレラとカタログモデルの外観上の違いは、フロントバンパー下のスポイラー、通称ダックテールと呼ばれるリアのエンジンフードと一体化したスポイラー形状が特徴です。空力的には70%もリフト量が抑えられるそうですから効き目はバツグン。

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©︎gettyimages

また、迫力を感じるのは高出力に対応するためにトレッドを拡大したボディ形状に起因します。よって、ナナサン・カレラは市販911シリーズ初となる前後異サイズのタイヤを装着した市販モデルとなります。

車名の『カレラ』の語源は、スペイン語でレースとか競技を意味するそうです。また、メキシコのバハで行われていた人気レース『カレラ・パナメリカーナ・メヒコ』でのレジェンド的活躍に起因するという説も。『RS』はドイツ語のレン・シュポルトなので英語ではレーシング・スポーツという意味。

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Porsche 911 Carrera RS(ステアリングはノンオリジナル)
©︎gettyimages

ナナサン・カレラがマニア心をくすぐるのはモデル構成も影響しています。純レース用車両の『RSR』を除けば、ひとつは後席を排除し内容も簡略化した『スポーツ』、ロードユースに装備面を充実させた『ツーリング』の2グレード構成です。

カタログモデルとは一線を画すワイドボディ、特徴的なダックテール、レースで培われた軽量化技術とハイスペックエンジン、Carerraのサイドデカール等々、ナナサン・カレラは特別な911というのが現実です。

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Porsche 911 Carrera RS
©︎gettyimages

スーパーカーの頂点に君臨する王者『カウンタック』はレースをしません。『BB』はレースに参戦しましたが企画的にはボトムアップ型です。レースでの勝利は固定化したヒエラルキーを覆す効果的な手段ですが、スーパーカーは夢の世界の乗り物です。というワケで、ナナサン・カレラは“キビシイ現実を知る大人の乗り物”というのがスーパーカー少年の結論なのです。

Text:Seiichi Norishige



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