ハンバーガーメニューボタン
FORZA STYLE - 粋なダンナのLuxuaryWebMagazine
HEALTH 医師が教える快眠のコツ

サプリは不要。睡眠ホルモン「メラトニン」コントロールで、眠気と決別する方法

無料会員をしていただくと、
記事をクリップできます

新規会員登録

睡眠のミカタ「メラトニン」

「メラトニン」という言葉を聞いたことがある人も少なくないでしょう。海外のサプリメントとして知られていますが、栄養成分ではなく脳で作られているホルモンのこと。別名「睡眠ホルモン」とも呼ばれ、人間の睡眠のカギを握っています。そこで今回は、メラトニンを味方につけ、しっかりぐっすり眠るためのポイントをお伝えします。

睡眠時計を操るホルモン「メラトニン」

いつでもどこでも仕事ができる時代となり、規則正しく睡眠をとれない人が増えているようです。まさに「24時間社会」となった今、だれもが持っている体内時計が乱れがちなのです。

Yahoo! 配信用パラグラフ分割

そんな現代型不眠を放置していれば、日中の仕事のパフォーマンスも落ちます。そのような事態に陥らないよう、「睡眠ホルモン」と呼ばれるメラトニンの力を借りましょう。

メラトニンとは、ほとんどの哺乳動物の脳(松果体)に含まれているホルモン。人間の体内では、必須アミノ酸のトリプトファンからまずセロトニンが作られ、そのセロトニンが夜になるとメラトニンに変わります。

人間をはじめとする昼行性の哺乳動物では、朝に目を覚まして明るい光を浴びると、メラトニンは急激に少なくなります。そして、そこから14~16時間たつと、メラトニンの産生や分泌が盛んになります。

このように、メラトニンの量は日中に少なく、夜には多くなりますが、この自然なリズムこそが、一日の睡眠リズムを作っています。というのも、メラトニンには催眠効果があるためです。メラトニンが増えると手足で熱が発散されて脳の温度が下がり、1~2時間のうちに自然な眠気が生じてくるのです。

夜のコンビニ、寝る前のスマホはメラトニンに悪影響

現代型不眠は、一日のメラトニンの分泌リズムが乱れてしまうことが原因のひとつです。たとえば、夜、灯りが強い明るいお店へ行くと、脳が朝だと勘違いしてメラトニンの分泌を止めてしまいます。睡眠ホルモンが減るのですから、当然、眠気が弱まりますね。

蛍光灯照明の事務所の明るさ程度で(500ルクス以上)で、メラトニンが減ることがわかっています。そのため、夜、とくに明るいコンビニエンスストアやパチンコ店へ行くのは、規則正しい睡眠に影響を与える可能性が大きいわけです。

また、薄型テレビやタブレット端末、スマートフォンの画面も実はメラトニンの分泌に悪い影響があります。「それほど明るくないのでは? 」と思う人もいるかもしれませんが、メラトニンの分泌は明るさだけでなく、光の色にも左右されます。

Yahoo! 配信用パラグラフ分割

これらの機器からはたくさんの青い光、いわゆる「ブルーライト」が出ています。同じ明るさでも青い光は、ほかの色に比べてメラトニンの分泌をより減らしてしまうのです。ベッドや布団のなかで寝る寸前までタブレットやスマホを見ると、ぐっすり眠れなくなる危険があります。

朝の太陽が、夜のメラトニンを増やす

では、メラトニン分泌の一日のリズムをしっかり整え、その働きを有効に使ってぐっすり眠るにはどうすればいいでしょうか。ひとつめのポイントは「光」です。

まず、朝起きたら、太陽の光をしっかり浴びること。夜間にたくさん出ていたメラトニンは明るい光を見ることで少なくなるため、「朝ですよ、起きてください、これから活動しましょう」と体に知らせることができます。そして、この時刻から14~16時間後にメラトニンがきちんと分泌される、つまり夜に眠気が強くなる、というリズムが整います。

Yahoo! 配信用パラグラフ分割

なお、朝に浴びる光は、部屋の照明をつけるだけでは明るさが足りません。カーテンを開けて窓際で5~10分ほど外を眺めましょう。できれば、屋外で朝の散歩をすると、きちんと強い光を浴びることができます。

また、夜にメラトニンを減らさないために、日中はなるべく明るい環境で過ごすことが大切です。できる限り、毎日30分ほど屋外で太陽の陽射しを浴びましょう。

もちろん、夜は明るい光を浴びないようにコンビニに行くのを控える、青い光を避けるためにYouTubeやSNSなどは就寝1時間前にはストップする、といったことも効果的です。

食事で、運動で。“メラトニンのもと”を今すぐ増やそう!

「トリプトファン」を積極的に摂る

メラトニンの分泌は食事でも整えることができます。とくに意識したいのがメラトニンの原料となるトリプトファンを積極的に摂ること。トリプトファンは必須アミノ酸のひとつで、体内では作ることができず、食事で摂取する必要があるためです。

トリプトファンを多く含む食べ物は、豆や豆製品、牛乳、乳製品、肉類、バナナ、アボカド、スジコ、タラコなどです。これらの食べ物を積極的に食べてトリプトファンをたくさん摂取すると、夜はぐっすり眠れて、朝はすっきり目覚められることがわかっています。

Yahoo! 配信用パラグラフ分割

ただし、トリプトファンを多く摂ろうとして、サプリメントに頼るのはおすすめできません。これまでに、健康被害が起こったという報告があるためです。朝食に牛乳とバナナを加えるなど、ちょっとした工夫でトリプトファンを積極的に摂取しましょう。

◆幸せホルモン「セロトニン」を増やす

体内のセロトニンを増やすことも睡眠リズムを整えるのに効果的です。セロトニンは目を覚ましたり、気持ちを穏やかにしたり、という働きがある脳内神経伝達物質ですが、夜になるとメラトニンに変わります。つまり、日中にたくさんセロトニンを作っておくほど、夜にはメラトニンがたくさんできるというわけです。

セロトニンを増やすためには、リズムがある運動をしましょう。たとえば、ガムを噛むだけでもかまいません。実際、眠いときにガムを噛むと眠気が落ち着く、という人も少なくないと思います。それは、ガムを噛むときの顎のリズミカルな運動により、セロトニンが増えたおかげです。

セロトニンを増やすリズム運動には、そのほかにウォーキング、自転車こぎ、首回し運動、ゴルフのスイングの練習などがあります。歌を歌うこともおすすめです。ぜひ、日中仕事の合間に、リフレッシュも兼ねてリズム運動を取り入れてみてください。

Yahoo! 配信用パラグラフ分割

このように毎日のちょっとした心がけで、体内の睡眠時計を整えるメラトニンをコントロールすることができます。忙しい日々を送る現代人だからこそ、自然のバイオリズムに合った睡眠習慣を取り戻して、仕事も遊びも全力で楽しみたいですね。

text:Satoru TSUBOTA
photos : Getty Images



RANKING

1
2
3
4
5
1
2
3
4
5