クレープとはひと味違う。レモンでさっぱり「ブリティッシュ・パンケーキ」とは〈田舎で楽しむ英国的衣食住〉vol.12

「パンケーキ・デイ」という日があるのを聞いたことはありますか？　なんだか美味しそうな響きですよね。

パンケーキ・デイはキリスト教の四旬節（質素な食事で済ませる断食期間）の初日、いわゆる灰の水曜日の前日にあたり、卵や牛乳、砂糖などを贅沢に使ったパンケーキが食べられたためにそのように名付けられたようです。

英国ではパンケーキ・デイにパンケーキを食べようという文化が色濃く残っており、今年のパンケーキ・デイ（2月16日）もパンデミックの最中ではありますが、自宅でパンケーキを作ったという話をたくさん聞きました。

英国でいうところのパンケーキは私たち日本人が想像しているものとはかなり違います。ベーキングパウダーを入れず薄く伸ばすようにして焼かれ、クレープにとてもよく似ています。私たちが「ホットケーキ」として慣れ親しんでいるのは、アメリカン・スタイルのパンケーキです。

ブリティッシュ・パンケーキの食感は、縁はカリッと、中心はもっちりしています。砂糖とレモン果汁で頂くのがオーソドックスな食べ方ですが、様々なソースやトッピングと合います。前回ご紹介したショートブレッドと同じく、とても簡単に作れます。

◆友人とパンケーキ・デイに食べた山積みのパンケーキ◆

パンケーキ・デイという日の存在を初めて知った４、５年前、英国人の友人に誘われてロンドンのカフェでパンケーキを食べることになりました。

奇しくも英国のパンケーキを初めて知ったのもこの時。「ホットケーキ」のようなものを想像していた私はクレープのように薄く、そして山積みにされた英国のパンケーキに心底驚かされました。これを１枚１枚器用に折り畳んで取り分け、レモンを絞ってパクパク食べ進んでいく友人には感心したものです。

◆焦げない・ひっつかない、プレーン・パンケーキの作り方◆

①ふるっておいた薄力粉に塩と卵を割り入れる。

②粘り気が出るまで良く混ぜ合わせる。

③牛乳を少しずつ注ぎ入れ、滑らかな生地になるまでしっかりと混ぜ合わせる。

④熱したフライパンにバターを溶かし、おたま１杯分くらいの生地を流し込む。フライパンを揺らして全体に生地が行き渡るようにする。

⑤中火で両面を１分弱焼き、皿に重ねるように盛り付けて次を焼く。

朝食にもおやつにも、最短15分で完成！　冷凍保存も。

パンケーキの良さはなんと言っても素早く用意出来るところ。一から作っても15分ほどで作り終えることが出来ます。１枚１枚ラップで包んで冷凍保存することも出来ます。

photos＆text: Kohki Watanabe

 

◆渡邉耕希（わたなべ・こうき）◆
愛媛県出身の1992年生まれ。ロンドンの大学でクラシック音楽を学ぶ。現地でヴィンテージ・アイテムの魅力に取りつかれ、服や靴を中心にアイテムの歴史的背景まで探求するようになる。無類のスイーツ好きが高じて開設したYouTubeチャンネル「The Vintage Salon」にて料理や英国菓子作りを通して日本で実践できる英国的生活を発信している。