2021年はスタートから冬将軍が大暴れ、全国的に厳しい寒さが続いています。こうも寒いと温かいプディングが食べたくなるのは私だけではないと思います。
英国菓子の魅力の一つに温かいプディングの豊富さがあります。数あるレシピの中で今回作り方をご紹介するのは「アップル・クランブル」です。りんごで作ったフィリングに小麦粉とバター、砂糖で作ったクランブルを載せて焼くだけの非常に簡単なレシピです。クランブルは冷凍保存も可能なので、多めに作って保存しておくのもよいと思います。
アップル・クランブルの最高のお供、カスタードソースの作り方や、私のお気に入りのバリエーションレシピもご紹介します。
◆あり合わせが国民的デザートに◆
アップル・クランブルはもともと第二次大戦中、物資が乏しい中でありあわせで作られたものですが、今でも英国人が大好きな食べ物の一つ。
香ばしくサクッとしたパン粉状のクランブル(crumble)と、とろっとしたりんごのフィリングの組み合わせが最高です。りんごだけでなく様々なフルーツを使ったバリエーションも存在し、自分なりにアレンジするのも楽しいお菓子です。
◆基本のアップル・クランブル&カスタードの作り方◆
1, フィリングを作る。りんご2個の皮を剥き1.5cmくらいに切る。
2, 小鍋にりんごと砂糖、レモン果汁を入れ5分程弱火で加熱する。りんごが柔らかくなったら火を止める。
3, クランブルを作る。ふるいにかけておいた薄力粉と砂糖、塩、シナモン、サイコロ状に切ったバターを指やフードプロセッサーでしっかり馴染ませる。
4, パイ皿に2を移して、その上から3を振りかける。
5, オーブンで40分程焼く。
6, 残り20分程になったらカスタードを作り始める。小鍋に牛乳、生クリーム、バニラビーンズを入れ、極弱火で加熱する。
7, ボウルに卵黄、砂糖を入れて泡立て器でよく混ぜる。
8, 6の小鍋のふちに泡がつき始めたら火を止めてバニラビーンズを取り出し、数回に分けて7に注ぎこむ。分離するのを防ぐため、混ぜる手は止めない。
9, しっかり混ざったら漉し器で漉して、小鍋に移しておく。
10, クランブルが焼き上がったら粗熱が取れるまで少し冷ます。その間に9を再度弱火で温める。
11, クランブルを取り分け、温まったカスタードをかけて完成。
◆洋梨をミックスした「アップル・アンド・ピア」クランブル◆
このレシピは、コッツウォルズを旅した際に立ち寄ったパブで試した洋梨のクランブルを元に、考えたものです。りんごにはない独特の食感や控えめな甘さが上品で、すごく気に入ったのを覚えています。りんごと洋梨を頂くことがあり、混ぜてみたらどうなるのかと思って作ってみたのがアップル&ピア・クランブルです。
1, りんご1個と洋梨1個の皮と芯を取り、1.5cm程にカットする。
2, 小鍋に1と砂糖、ブランデーを入れて5分程加熱する。
3,クランブルを先述と同じ要領で作る。
4, パイ皿に2を移し、3を振りかける。
5, オーブンで同じく40分焼く。
◆老若男女に愛されるアップル・クランブル◆
個性派も多い英国菓子の中で、アップル・クランブルは誰にでも愛されるメニューだと思います。りんごの自然な甘味とバターの優しい風味が、英国人だけでなく私たち日本人の舌にもよく合います。
《材料》アップル・クランブル
【フィリング】
りんご 2個
砂糖 大さじ3
レモン果汁 半個分
※アップル&ピア・クランブルのフィリング
りんご 1個
洋梨 1個
砂糖 大さじ2
ブランデー 大さじ1
【クランブル】
薄力粉 200g
無塩バター 100g
黒砂糖 100g
塩 ひとつまみ
シナモン 大さじ1
【カスタード】
卵黄 3個
牛乳 150ml
生クリーム 150ml
バニラビーンズ 1本
photos&text: Kohki Watanabe
◆渡邉耕希(わたなべ・こうき)◆
愛媛県出身の1992年生まれ。ロンドンの大学でクラシック音楽を学ぶ。現地でヴィンテージ・アイテムの魅力に取りつかれ、服や靴を中心にアイテムの歴史的背景まで探求するようになる。無類のスイーツ好きが高じて開設したYouTubeチャンネル「The Vintage Salon」にて料理や英国菓子作りを通して日本で実践できる英国的生活を発信している。