寒い冬の朝、クルマのフロントガラス一面が凍結していること、ありますよね。これを溶かすためにフロントガラスへ熱湯をかけてはいけないことはご存じかと思いますが、エンジンをかけて、スノーブラシなどでひたすらガリガリと削る、なんてやるのは、1分1秒を争う、忙しい朝にはつらいものです。また、ガラスを傷つけてしまう恐れもあります。今回は、フロントガラスの凍結を早く、安全に取り除く方法をご紹介していきます。
■凍結の原因は「放射冷却」
冬の朝に起こる、フロントガラス凍結の原因は「放射冷却」です。これは寒冷地特有の現象ではなく、屋外の日陰などでも発生します。「放射冷却」は、日中に温められた地表の熱が、上空へ向けて逃げることで、地表面から熱が放出されて一気に冷えることです。特によく晴れた日の夜は、放射冷却によって空気中に含まれる水分が一気に冷やされ、クルマのフロントガラスへ氷の粒子が降り注いで付着し、霜となります。
曇が多く出ている夜は、雲が地熱の上昇を妨げてくれるため、地表は温かいままなのでフロントガラスの霜は起きません。
屋根のある駐車場では、放射冷却が起きないため、フロントガラスの霜を防ぐことができます。
■おススメは、市販の解氷スプレー
最も手軽で早い解法は、市販されている解氷スプレーを使うことです。解氷スプレーは、主にエチルアルコールやイソプロパノールというアルコール類でできており、これらのアルコールは、凝固点がマイナス114.5度と低いため、フロントガラスの氷を解かすことができます。
解氷スプレーを使うと、少し待つだけで霜が溶け始めますので、あとはワイパーを動かして氷を取り除けばOK。JAFのテストでも、解氷剤なら約1分で解凍可能との結果が出ています。
自作で解氷液をつくることもできます(ドラッグストアなどで市販されているアルコール2:水1で混ぜるだけ)が、原材料を用意するのも手間と感じる方も多いはず。
また、フロントガラスにカバーをかけるのも霜対策には効果的ですが、いちいちカバーを付けるのも面倒。その点、市販の解氷スプレーは、1000円程度で購入でき、困ったときに使えばいいだけなので、手軽でおすすめです。
もっと簡単な方法もあります。ウインドウォッシャー液を、「解氷ウインドウォッシャータイプ」に入れ替えるという方法です。こちらも、500円以下で購入できますので、手軽に導入できます。
■複合技でフロントガラスの凍結を除去しよう
地域や駐車場の環境によって、フロントガラスの霜除去の手ごわさは異なります。いくつかの方法を組み合わせて活用するのが、良いかもしれません。
筆者の住む地域だと、ごく稀に薄い凍結が発生する程度なので、解氷スプレーとスクレーパーをクルマに常備しておき、困ったときに使用する、という対策をしています。せっかちなので、じっと待っているよりも、身体を動かして氷をガリガリと削る方が氷を素早く除去でき(30秒もあればほぼ除去できます)、身体の暖機運動にもなってちょうどいい、と思っています。
Text:Kenichi Yoshikawa
Edit:Takashi Ogiyama
Photo:Gettyimages