いつか似合う日がくるのを待ちながら
さて、197回めは「ポール ハーデン(Paul harnden)」のロングジャケット。こちらも「コム デ ギャルソン・オム プリュス(COMME DES GARCONS HOMME PLUS)」と同様に 捨てなかった服企画の動画で紹介した、なんとも懐かしいノスタルジーの塊的アイテムです。
確か… 初めて見たのは、いまは無き青山のスペースだったかな。ヘルムート ラング(HELMUT LANG)なんかをチェックしに行ったら、ラック下に ちょこんと洗濯&乾燥かけられたのか?ってくらい シワくちゃでヨレたブーツが置いてありました。
タグには「Paul Harnden , Shoemakers」とあって、聞くとジョンロブ(John Lobb)で木型職人として働いた経歴があるとのことでしたが、にわかには信じがたい。
ギャルソンの縮絨なんかは好きだったけど、靴であれはヤリすぎ。しかも高いからスルーしてたんですが、後にカルペディエム(cdiem)やジンターラ(ZINTALA)に出逢うにつれて、だんだん気になってきて。気付いたら靴やらマックコートやら、ジャケットなんかにまで手を出す始末。
シャツとニットはコスパが悪いし、革小物のクオリティには いつまで経っても納得できなかったので買いませんでしたが。
じつは、最初は靴だけに留めておこうと思ったんですが、偶然 街で出逢った小林薫さんが全身ポール ハーデンだった姿があまりにカッコ良すぎて…。あまり芸能人に憧れることはないんですが、あんな風に歳重ねられて、気負わずサラッとポール ハーデン着てたらカッコいいなぁなんて憧憬を抱いて、たまらず欲しくなって、あとは想像通り。
でも、中途半端に歳食ってる30代には似合わず……。なんだか貧乏くささだけが漂ってしまったので、靴とマックコートは知り合いに譲ってしまいました。エレナ ドーソン(Elena Dawson)が手掛けてた時代のものなので作りも良く、美しくはあったんですが。
そして、なぜか このストライプと、同じく生成りのリネンジャケット2着だけが残りました。
正直、いまもコレがカッコいいとは思えていないんです(笑)。なんだか中途半端な長さだし、どこまでボタン閉めて着るのが正解かも分からない。全部締めると様になるんだけど、それでイイのか??
マガジンポケットも付いてるけど、シーチングが弱すぎて荷物入れると不安しかないし。
もうかれこれ10年近く袖を通していないんですが、なぜだか手放すことができず…。シワが消えないよう、わざとクシャッと丸めてクローゼットの奥の奥、パンドラの箱付近で眠ってもらってます。
もう少し枯れて、これと同じくらいシワが刻まれる頃には、小林薫さんの10分の1くらいは似合うようになってるのかな? そんなときが来たら、着たらイイよね。
でも、こんな高い服着ないまま 他界しちゃったらイヤだな(笑)
Photo:Shimpei Suzuki(item)
Edit:Ryutaro Yanaka