未来と現実を繋ぐジャガー・ヴィジョン・グランツーリスモSV
コロナ禍で業績が低迷することは避けられないことですが、いまひとつ復調傾向が見られないのがジャガーです。
英国ジャガーといえば誰もが知る名門ブランドですが、その知名度に対し、街を見渡してもジャガー車を見ることは稀。なぜなのでしょうか?
記憶を辿ると、ジャガーも相応に売れている時期がありました。1990年代後半から信頼性が上がりマイナートラブルが減少。2000年代初頭までは好調だった印象さえあります。現在は時代に応じたSUVやBEVといったラインナップもあるのですが、“今日ジャガーを見たけどやはり一度は乗ってみたいな”と思うことがないのです。
日々の印象がこうなってしまうとクルマの良し悪しはもう関係ありません。というか、一つや二ついいクルマがあっても人気は回復しないものです。こうなるとスーパーヒーローのような突き抜けたキャラクターが必要になります。
じつはこんな時こそ、スポーツカーが最高の切り札になります。
SUVやBEVも今や水平飛行を維持するための存在です。急上昇、あるいは飛行高度を上げるには起爆剤が欠かせません。その点、ジャガーにはヘリテージがあります。この活用がいまのジャガーはヘタクソなのです。
日々、こんなことを思いつつ妄想にふけるワタシですが、突如ジャガーのプレスサイトに救世主を発見しました。そのモデルとは『JAGUAR VISION GRAN TURISMO SV』です。
もしやル・マン24Hでも始めるのかとワクワクしながら資料に目を通すと、ゲームのグランツーリスモ用マシンだと知ります。しかし、その開発過程は実車の発売を期待せざるを得ないほど本気です。
いや~それにしてもカッコイイ! まるでパガーニやケーニセグといったハイパーカーに見えますよね。そして、ココが肝心なのですが、先進的な未来感あるデザインのなかに、往年のレーシングカーであるCタイプやDタイプの面影が見えます。
ワタシのような中年でさえリアルタイムな2車ではないのですが、その伝説は心に刺さるものがあります。そのワールドを体現できるならジャガーなら、そのモデルが欲しいクルマになります。そしてなんと、欲しいジャガーはバーチャルの世界に存在したのです!
詳細を確認すると、ジャガーはEVレースの最高峰フォーミュラE参戦中のテクノロジーを活用し、スペシャルチームが1/1スケールで開発したとあります。
また、デザインだけではなく、パワーユニットの搭載も想定し開発しているので、コレがもし現実ならそのスペックは最大出力1,093ps(1,400kW)のパワーだといいます。最高です! としかいいようがありません。
こうなったら10台でも20台もいいので作って売りましょう! 歴史あるジャガーのハイパーカーはそのマーケットのなかで特別な存在として光り輝きます。当然、何億かするでしょうが、瞬殺で完売します。そして、ココがまた肝心なのですが、超絶クールな『JAGUAR VISION GRAN TURISMO SV』なら、“買えない人たちの圧倒的支持”が得られるのです。
その実例が”フェラーリ”というビジネスモデルです。レジェンド商売と言い換えた方がわかりやすいかもしれませんね。ジャガーさんには体力のあるうちにプロジェクトを推進することをオススメします。
さて、リアルな現実世界に戻れば、ジャガーは『F-TYPE HERITAGE 60 EDITION』を発売することを表明しました。
このモデルは最高峰スポーツモデルのFタイプに、名車Eタイプの60周年を記念した限定モデルを発売しますよ! というアナウンスになります。
完全ビスポークのこの限定車、トピックは1960年代へのオマージュとして採用されたシャーウッドグリーンのボディカラーとなります。
搭載されるパワーユニットは現行型最強の5リッターV8スーパーチャージド。その最高出力は575ps(423kW)、最大トルク700Nmを誇ります。
この『F-TYPE HERITAGE 60 EDITION』の限定数は60台。
日本割り当てなどの詳細は分かりませんが、純粋な内燃機関搭載車としてワタシは価値があると思います。英国での価格は£122,500。気になる方は是非お問い合わせください。
Text:Seiichi Norishige