自動車雑誌の編集者を経てモータージャーナリストへ。駆け出しの頃からサラリーマンの限界に挑戦し数々の輸入車を乗りまわす。印象深かった愛車はポルシェ911(930)、Ruf CRo
コンバージョン(964)、メルセデス・ベンツ500E、フェラーリ412、BMW6シリーズ、RG500Γ(バイク)。趣味はシガーとパイプとすし屋巡り。ジャンルを問わず酒好きだが、一定以上飲むと睡魔が襲い銘柄を失念する。1964年、北海道生まれ。
皆さんこんにちは。中年B、ノリシゲセイイチ(56)です。
熱狂的スーパーカーブームのピークは、ワタシが思うに1977年(昭和52年)だったように思います。
というのも、無料のスーパーカーイベント『サンスター スーパーカー・世界の名車コレクション'77』が東京・晴海で開催されたからであります。
このイベント、単に無料というワケではなく、サンスター製品お買い上げでプラチナチケットがゲットできるというオトナが考えたシステム。
よって、当時の少年たちは歯磨き粉を買いまくる結果となりました。かつての仮面ライダースナックを買ってライダーカード集める……より出費はかさみますが、コレまたやむなし。
あらためて調べてみると、イベントの開催期間は5月5日~8日のGW中。初日は木曜日ですが子供の日で祝日。初日は東京駅八重洲口から会場の晴海まで長蛇の列ができ大盛況。ニュースになりました。

ワタシは当時ピカピカの中学1年生だったので、知恵を絞って平日である6日(金)に詣でることを決意。
両親に直訴し親公認で体調不良を訴え学校を病欠。それでも会場で(恐らく)築地署の方に呼び止められましたが、しかし、脳内シミュレーションを完了していたワタシはキッパリと「創立記念日です」&「○○中学です」と伝えると、あっさりスルー。お目こぼしに預かったのでした。
さて、初回にカウンタックとくれば当然2回目はBBでしょ! と思う方は多いと思うのですが、ワタシの場合は断然『ランボルギーニ・ミウラ』です。

そんなある日、街中で聞いたこともないエキゾーストノートに出くわしました。
振り返ると真っ赤なペッタンコボディの赤いクルマが近づいてきます。コレは紛れもないスーパーカーの匂いであると確信した瞬間です。
食い入るように謎のスーパーカーを追うと、目の前をミウラが通過して行きます。
追い越し車線から中央の車線をまたぎ一番左の走行車線へ。まるで氷上を滑るかのようにスーッと、微塵もロールせずにレーンチェンジする可憐な動き。その衝撃たるや馬場チョップ級であります。

ふと我に返り脳裏を過ぎったのは、ご近所にある外車が常に入庫していたメンテナンスガレージの存在です。
“きっとあそこに行くに違いない!”そう確信したワタシは風吹裕矢の鬼神のコーナリング中のセリフじゃありませんが「うおおおおぉー」と脳内で叫びながらチャリンコのペダルを全力で漕ぎまくるのでした。
グレース・ケリーも惚れたミウラの魅力とは?
さて、ミウラです。同車のコンセプトカーTP400のデビューは1965年のトリノショー。
といってもボディはなくシャシーとエンジンのみでしたが、鋼板のシャシーに様々な形状のフレームを組み合わせ12気筒エンジンを横置きに搭載。
シャシーだけをみれば当時ル・マンでフェラーリを退けたGT40に似ています。

車名のミウラは闘牛の名ブリーダーで牧場主のドン・エドゥアルド・ミウラ・フェルナンデスに由来します。
開発はランボルギーニのジャンパオロ・ダラーラが主にシャシーを。デザインはベルトーネの次世代エースに抜擢された直後のマルチェロ・ガンディーニが担当。
ボディを架装し最終的にまとめたのはダラーラのお弟子さんであるパオロ・スタンツァーニと聞き及びます。ちなみに前後カウルはアルミ製。

搭載するエンジンはアルファロメオからフェラーリに移籍し、名車250GTOの開発責任者を務めたジオット・ビッザリーニが設計した3.5リッターV12がそのベース。
ミウラでは排気量を4リッターに拡大しましたが、圧縮比やカムプロファイルを変更しつつ、最後まで排気量を変えず継続採用されました。
技術的ブレークスルーは、フロントに縦置き搭載されていた既存のエンジンをモディファイしエンジンとトランスミッションを一体化。パワーユニットを横置きに搭載することでコンパクトな車体設計を具現化したことです。

【Lamborghini Miura】
ボディサイズ:全長4,360×全幅1,760×全高1,100mm
ホイールベース:2,500mm
エンジン型式:バンク角60度・V型12気筒
排気量:3,939cc
ボア×ストローク:82.0×62.0mm
ミウラの基本的ディメンションは上記のデータとなります。デビュー時はP400で、その後、P400S、P400SVと進化の過程を辿ります。

●P400(1966-1969年)/ 生産台数275台
最高出力:350hp / 7,000rpm
最大トルク:389Nm / 5,100rpm
圧縮比:9.8
最高速度:280km/h
前後バランスは約44:56。後に登場するカウンタックは約48:52なので、ややリアヘビーな印象。
自動車オタクはどうしても話題がメカ寄りとなりますが、エレガントなミウラのデザインはトピックそのもので多くのセレブが発注。そのなかにはグレース・ケリーもいたそうな。

●P400S(1969-1971年)/ 生産台数338台
最高出力:370hp / 7,500rpm
最大トルク:389Nm / 5,500rpm
圧縮比:10.4
最高速度:285km/h
P400には後年になりSパッケージというオプションが登場。そのメニューをベースにブレーキやサスペンション、居住性などを改善。ちなみに最初期のSはP400のソリッドディスクのままデリバリーされたといいます。

●P400SV(1971–1973年)/ 生産台数150台
最高出力:385hp / 7,850rpm
最大トルク:400Nm / 5,750rpm
圧縮比:10.7
最高速度:300km/h

コントロール性を改善するためサスペンションアームの形状を変更。
とくにリアは拡大されボディワークもブリスター状に形状変更。エンジン出力も向上しました。
実際の最高速度はワイドタイヤの採用からSより遅くなっているそうですが、迫力をプラスしたスタイルと最終完成形であること、生産台数の少なさが相まって現在は1億を超え、先々は2億に届きそうな気配のオークション相場となっています。

ちなみに、SVのドライサンプ潤滑システムは全車ではなく途中からの採用。モデル毎にキッチリ分かれていないのでスペックマニアはご注意を。また、いまや伝説のイオタについては別の機会といたします。
美人薄命。語源はともかく、ミウラの生産期間は実質6年程度であり、その生産台数は約763台。レジストリ上、明確となっていない部分はイタリアン・ジョブということでご愛敬です。
イタリアン・ジョブといえば、ミウラは映画『ザ・イタリアン・ジョブ』(1969年制作)の冒頭シーンに登場します。
中年なら邦題『ミニミニ大作戦』といった方がピンと来るかも。

ミウラが登場する映画は他にもあって『La leçon particulière 』(1968年制作)が1年早いですね。邦題は『個人授業』。
ミウラに乗った高貴なセレブ妻にショタな学生さんが恋をし、夢のような手ほどきを受けるという甘ずっぱい物語のフランス映画ですが、人妻演じるナタリー・ドロンが妖艶でタマりません!(この作品でブレークしたナタリーはその後アラン・ドロンと離婚します……)
結論。ミウラとは儚くエロいスーパーカー。
高音で哭くショートストローク型の高回転エンジン、軋むようなギアノイズの高まり、吸排気音の高揚などなど。
ランボルギーニが逆立ちしても2度と作ることのできない本能を呼び覚ます稀代のスーパーカー、ミウラは最高です!
「このスーパーカーの思い出話を取り上げてほしい!」などのリクエストも大募集中。どしどしコメント、お待ちしております!


























Text:Seiichi Norishige
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