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LIFESTYLE 田舎で楽しむ英国的衣食住

固くなった食パンが蘇る! どこか懐かしいブレッド・アンド・バター・プディングの味【田舎で楽しむ英国的衣食住】vol.4

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英国では食パンを求める際、日本で一般的に手に入るような1斤何枚切という単位ではなく1本丸々で売られていることがほとんどです。日本の食パンとは形も異なり小ぶりなのですが、それでも一人暮らしには少々多すぎるポーション。食べきれず古くなってしまうこともしばしばあったのですが、そんな時作っていたのがBread and butter pudding (ブレッド・アンド・バター・プディング)です。

◆日本人の口にも合う、英国の家庭料理◆

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バターを塗った食パンとカスタードを組み合わせて焼くだけのシンプルで英国らしいレシピで、長い歴史を持つお菓子でもあります。1727年のEliza Smith(エリザ・スミス)著「The Compleat Housewife, or, Accomplish’d Gentlewoman’s Companion」で紹介されているものがブレッド・アンド・バター・プディング最初期のものとされています。

Housewifeとあるように、お店で出される類のものではなく家庭料理だといえます。レシピはロンドンの友人の奥様が教えてくださったものをベースに分量を調整し、マーマレードの隠し味を加えたものです。私たち日本人の味覚にもよく合うお菓子ですので、読者の皆さんにも是非お試し頂きたいです。

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シンプルなレシピほど材料の良さが活きてくるものです。選び方ののポイントとしては、味わいの核となるカスタードを作る牛乳や生クリーム、卵を新鮮で良質なもので揃えることです。

食パンは乾燥気味の方がカスタードをよく吸ってくれるので、残りものを是非活用して頂きたいです。隠し味にマーマレードを使ったレシピは散見しますが、皮が薄めにカットされ、苦味のあまり強くないタイプを使うのが私の好みです。

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①鍋に牛乳、生クリーム、バニラビーンズを加えて弱火で加熱します。(沸騰させず、縁が泡立ってくるまで)

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②その間に、卵と砂糖を泡立て器でしっかり混ぜ合わせておきます。

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③食パンのミミをおとして両面にバターを塗ります。三角形に切ったらパイ皿に少し重なるようにして並べていきます。

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④1段目を敷き詰めたらレーズン半量と隠し味のマーマレードを載せます。その上から2段目のパンをやはり重なるように敷き、仕上げに残りのレーズンを載せます。

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⑤ 温かいままの①を②に流し込み、泡立て器で素早くかき混ぜます。しっかり混ざりあったらバニラビーンズを取り除き、パイ皿にパンに染み込ませるように注ぎます。

⑥170度に予熱しておいたオーブンで30分〜35分焼きます。

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⑦完成です。温かいうちにシナモンや、脂肪分低めの生クリームを泡立てずそのままかけて頂きます。もちろんそのままでも十分美味しいです。

◆焼き立てのプディングをレトロな雰囲気満点の食器で楽しむ◆

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プディングを盛り付けるのはWood & Sons社のWoods Ware(ウッズ・ウェア)シリーズのBeryl(ベリル)という色の食器。1940年代から1950代にかけて3色展開で製造されたうちベリル色は最も人気が高く、当時の文化を愛する層に根強いファンがいます。ティーポットは実用性も高く、注いだ際のお茶の切れもよく重宝しています。写真手前のデザートボウルはプディングをよそうのに最適です。

◆ブレッド・アンド・バター・プディングと出会った、真冬のリーズ城への旅◆

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私が初めてこのプディングを食したのは3年前にリーズ城を訪れた時でした。リーズ城はイングランド南東部のケント州にある古城で、城の周りを堀が囲むという、湖にたたずむ白鳥のような景観が訪れる人々を魅力します。

その歴史は9世紀にまで遡ることができ、未亡人となった中世の英国王妃たちが暮らしたため、貴婦人の城という別名があります。城の中は最後のオーナーであった女性のこだわりの詰まったもので満たされており一見の価値ありです。

城と堀を囲む広大な庭は素晴らしく、歩きまわっているとすぐに時間が経ってしまいます。私が訪れたのは2月のこと。その日の気温が1度か2度で、さすがに寒さに耐えかねてカフェに入った時に食べたのがブレッド・アンド・バター・プディングでした。とにかく温かいものが食べたかったので選んだのですが、どこか懐かしい、フレンチトーストと似ているけどどこか違う味わいにすっかり胃を摑まれてしまいました。日本もこれから寒くなっていきますが、温かいブレッド・アンド・バター・プディングと紅茶でティータイムを楽しんでみませんか?

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《材料》5~6人前 22cm×15cmのパイ皿使用 

・角食パン 8枚
・砂糖 70g
・有塩バター 適量
・卵 4個
・レーズン 60g
・マーマレード 大さじ2
・生クリーム 300ml
・牛乳 300ml
・バニラビーンズ(種は取り除く)1本 or 
   バニラエッセンス 適量
・シナモン(お好みで)
・低脂肪の生クリーム(お好みで)

photos&text: Kohki Watanabe

 

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◆渡邉耕希(わたなべ・こうき)◆
愛媛県出身の1992年生まれ。ロンドンの大学でクラシック音楽を学ぶ。現地でヴィンテージ・アイテムの魅力に取りつかれ、服や靴を中心にアイテムの歴史的背景まで探求するようになる。無類のスイーツ好きが高じて開設したYouTubeチャンネル「The Vintage Salon」にて料理や英国菓子作りを通して日本で実践できる英国的生活を発信している。



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