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CAR Dr.ノリシゲの妄想ドライブ

世界の高級車「ロールス・ロイス」が目指したポスト・オピュレンス(脱贅沢)って何だ?

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説明しよう! 妄想ドライブとはヴェテラン モータージャーナリスト・ノリシゲセイイチが「このクルマにのったら、こんなことをしたい。こんなところに行きたい。この街道でぶっ飛ばしてチャンネーとこんなことがしたい!」と妄想の世界に遊ぶ気絶コラムである!

新型ゴーストで星の王子さまになる!?

ワタシがまだピチピチの二十歳だった頃、あるグラビア撮影の現場をお手伝いしたことがあります。当日は早朝に著名カメラマンの待つスタジオへ行き合流。撮影は深夜にまで及びました。初対面の方ばかりで緊張しましたが、ある程度時間を共有したせいか、撮影終盤にはうち打ち解けた雰囲気に。

その現場でワタシが一番若かったせいか、そのカメラマンの方は「キミは将来どうするの?」と何気に話しかけてきました。何と答えたのかいまも思い出せませんが、「この業界ってベンツに乗っている奴はいてもロールス・ロイスに乗っている奴はいない。キミもよく考えて将来を決めなさい」といいます。それが何を意味するのか、当時はわかりませんでしたね。

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さて、今回はそのロールス・ロイスがお題です。同社が完全にBMW傘下となった2003年以降、『ロールス・ロイス』ブランドでもっとも売れ続けている(最量販)モデルが『ゴースト』です。正式アナウンスによればその生産台数は年間平均約3500台。同社の歴史上でも販売レコードを記録。それではまず、現行ラインナップを見てみましょう。

【ロールス・ロイスの消費税込み価格】
Phantom(ファントム)5,603万円(Extended:6,703万円)
Ghost(新型ゴースト)3,590万円(Extended:4,200万円)
Wraith(レイス)3,854万円
Dawn(ドーン)4,085万円
Cullinan(カリナン)4,008万円
※ブラック・バッジシリーズを除く2020年10月現在の価格

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うひょぉぉぉ~って思わず声が出る価格ですがラインナップをザックリ紹介すると、最高級リムジンがファントムでショーファーカー(後席に乗るクルマ)、ゴーストは自身も運転するミドルサルーン、レイスは2ドアクーペのグランドツーリングカーで、そのレイスを優雅なコンバーチブルに仕立てたのがドーンとなります。

車名を和訳すると順に、幻、幽霊、生霊、夜明けなど実体のないものばかりです。それには歴史的理由があって、昔のクルマ(同社が創業した1904年当時)は音や振動が激しく、おまけに信頼性も低いなど課題が盛り沢山。よって、「この難題を克服する=クオリティの高いクルマになる(実態を感じさせない)」という構図から命名されてきました。

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しかし、時代は移ります。歴史を尊重しながらもその一方で、同社初となるSUVモデルのカリナンは世界的フローレスダイヤモンドの『カリナン』に由来します。ダイヤモンドを評価する4C(4つの条件)のなかでも、クラリティ(透明感)が高くなければ価値は落ちてしまいます。わかりやすくいうとその気高さというか、見る者を感動させる完璧さを追求したモデルがカリナンと解釈すれば、実体のないものという歴史を踏襲できたのかもしれません。

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ロールス・ロイス車のモデルサイクルは約10年。今年はこの最量販モデルの『ゴースト』がフルモデルチェンジしました。デザインコンセプトは「ポスト・オピュレンス(脱贅沢)」。華美な装飾を排除し新時代のラグジュアリーカーを目指したといいます。画像をご覧になり、皆さんの見立てはいかがですか? 確かに清楚な印象ですが、まだまだゴージャスと感じる方もいらっしゃるでしょうか。

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ワタシはこの新型ゴーストのアナウンスに触れて、フランスの作家『アントワーヌ・ド・サン=テグジュペリ(1900年6月29日-1944年7月31日)』を連想します。『星の王子さま』の作者と言い換えた方がわかりやすい人物カモですが、ココで妄想スイッチが入りデグジュペリの名言・格言に行き着くのです!

「完璧がついに達成されるのは(完成とは)、
何も加えるものがなくなった時ではなく、
何も削るものがなくなった時である。」

“It’s when something with which everything shaves everything, not when something to increase has disappeared, that perfection is achieved at last.”

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妄想はさらに『星の王子さま』へと続きます。その前にストーリーをネタバレ厳禁で雑多にご紹介します。主人公の名前はでてきません。ある日砂漠に飛行機が不時着。そこで他の惑星から来た王子に出会います。事情を聞くと、「もうすぐちょうど1年だから、その日が来たら星の並びがよくなってお家に帰ることができる」といいます。

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さらに王子曰く、「蛇にパックリ噛まれると帰還スイッチが入る」ことを知ったのだとか。それってヤバイですよね? という言葉はゴクリと飲み込んで「そんなぁ~寂しくなるよ!」 というと、「キツネさんというお友達もできて楽しかったし、何よりも大切なものは目に見えないと教わって気付かされた」と地球の思い出を語ります。

落胆する主人公に王子は「夜空を見上げてくれ。帰還したボクが星の上で笑っていると思えば、輝く星々すべてが君に向かって微笑んでいるように見えるはずだよ」といいます。惚れてまうやろぉ~! さすが王子さまです名言来ました。

そんなワケで、天井のお星さまはロールス・ロイス各車にとっては必需品。決して贅沢装備ではありません。無論、新型ゴーストにも(輝く星を見て“ナイト・ライダー!”と叫ばずにいられないマニアックな方は別です)。

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最後に肝心カナメのスペックをご紹介しておきます。比較用参考データには※印付けときますね。今回の新型ゴーストは先代のようにBMW7シリーズを活用したのではなく、カリナンで開発したアルミニウム集約型アーキテクチャである『Architecture of Luxury』プラットフォームを活用した新設計のクルマです。正直いってお金があったらワタシも欲しい一台です。

【Rolls-Royce Ghost】
ボディサイズ:全長5,546×全幅1,978×全高1,571mm(Extended:全長5,716mm)
ホイールベース:3,295mm(Extended:3,465mm)
※先代ゴースト
ボディサイズ:全長5,400×全幅1,950×全高1,550mm(Extended:全長5,570mm)
ホイールベース:3,295mm(Extended:3,465mm)
※ファントム
ボディサイズ:全長5,770×全幅2,020×全高1,645mm(Extended:全長5,990mm)
ホイールベース:3,550mm(Extended:3,770mm)
エンジン形式:60°V型12気筒ターボ
排気量:6,748cc
最高出力:420kW(571ps)/ 5,000rpm
最大トルク:850Nm / 1,600rpm
ミッション形式:8速AT
駆動形式:全輪駆動
最高速度:250 km/h
ステアリング位置:左 / 右
タイヤサイズ(前・後):255/40R21 102Y・285/3 R21 105Y(※ローンチ・パッケージ)
車両(乾燥)重量:2,540kg
0-100km/h:4.8sec

おまけ:コロナ禍で行われた『ロールス・ロイス ヤングデザイナーコンペティション』の受賞作品をギャラリー内に追加しておきます。世界80ヵ国以上から5,000を超える作品が寄せられたこの大会(作者はいずれも16歳以下であることが条件)。このなかから未来のロールス・ロイスデザイナーが生まれるかもしれませんね。お見逃しなく!

Text:Seiichi Norishige

ロールス・ロイス・モーター・カーズ東京



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