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LIFESTYLE 大人の純喫茶ペペ

本気で愛した女(ひと)が、どうしても忘れられません【大人の純喫茶】

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愛しているからこそ、去り際まで美しく

★★★

ようこそ お越しくださいました
ここは繁華街にひっそりと佇む

 『純喫茶ぺぺ』


昭和レトロでどこか懐かしさを感じる

恋に迷える大人達のユートピア


ここは純喫茶の雰囲気を大切にしており
一風変わった店主が
お客様をイメージした珈琲カップの代わりに
お悩みにぴったりの「恋のナンバー」を

硬派にお出ししております


刺さりすぎて気絶なさらないよう

お気をつけくださいませ

どうぞ 最後までおくつろぎの上

ゆるりとおたのしみください

純喫茶 ぺぺ

★★★

本日のお客様からの恋のお悩みは、

「私にはどうしても忘れられない女(ひと)がいます。本気で愛した人です。今年に入り、そんな彼女の結婚の知らせを聞きました。そして、既婚者になった彼女から「会いたい。どうして会ってくれないの?」とメールが。。。
今でも会いたい気持ちはあります。ふとした時、彼女と過ごしたひと夏の思い出が蘇り、今でも忘れられないのです。どうしたら忘れられますか」 
──私はカモメさん 経営者 (35)

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いらっしゃいませ。大人のユートピアにようこそお越しくださいました。どうぞ、お掛けください。

今の世の中、純粋な愛を見つけられない人が多い中で、愛する人に出会えたとは、大変よろこばしいことでしたね。

たとえ、それが叶わぬ恋であったとしても、人生の中で愛する人に出逢えたのか、その時愛する人を本気で愛せたのか、それが後の人生に彩りを添えるものだと思いますよ。

後ろ髪引かれる思いをされているようですが、もし彼女の幸せを考えるのであれば、会わない方がいいのです。そして、忘れなくてもいいのです。何故かというのは、ゆっくりお話させてくださいね。

素敵な思い出が綺麗な思い出のままでいるには、恋愛の引き際が重要です。

【「幸せになってね」と言える大人の男】

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幾つになっても別れというのは慣れませんよね。たくさんの思い出を共有した恋人と別れるのは、たとえどのような状況であっても容易なものではありません。別れ方によっては、拗れに拗れて、取り返しのつかない事になる場合もありますし、最悪の事態になる事もあります(ホラー気絶)。

そんな中で、会いたい気持ちは残っていても 「幸せになってね」「あばよ」と言えるのが大人の男。本当に愛しているのなら、相手のこれからの人生を考えて、潔く身を引ける事が時に愛であったりします。

「どうして? 私の事嫌いになったの?」と愛と恋の区別もつかない若い娘は言うかもしれませんが、愛があるから「さようなら」が言えるのが大人なのです。

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【恋愛の「余剰残心」】

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“ 何にても 
置き付けかへる
手離れは
恋しき人に わかるると知れ “
(千 利休)

これは、千利休の有名な道歌ですが、「茶道具から手を離す時は、恋人と別れる時のような余韻を持たせなさい」という「余剰残心」の教えです。

道具を大切に扱い、しっかりと定座に据えることは、愛する人を大切に扱い、しっかりと元のあるべき所に導くのが、大人の恋愛の引き際でないかなと思うのです。

道歌の中では、そうすることによって、茶席が終わってもずっとお客様に心を残すことであり、余韻も味わい深く生まれるとされていますが、素敵な恋愛というのも、まさに豊かな残り香があって、「余剰残心」だったりします。

お相手からきちんと大事にされているデイトというのは、別れ際が名残り惜しく、眠る前に出来事を振り返ったり、独りきりの帰り道でさえも愛おしい。自分の心は、まだその場所に残って居るように、独りで過ごす時間にこそ甘美に余情を残してくれるものです。

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【独り残った世界で】

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人生は一期一会。貴方と出逢えたこの時間は、二度と巡っては来ない一度きりのもの。だからこそ儚く、この一瞬を大切に、愛するものを大切にする事が大事なのです。

たとえ二人が成就しない結末であったとしても、その瞬間を過ごした輝きは、何にも変えられないでしょう。恋は叶わないから幻想を抱き、美しい思い出に昇華されるのです。

もし、あの時の二人が今もうまく行っていればと頭を過ぎるかもしれませんが、お互いそれなりの年齢になって体型も崩れ、決してあの頃のままでは無いのですから(逆気絶)。

そして、季節が巡る度、二人で訪れたカフェや公園で、甘い記憶が蘇る。だから良い思い出というのはワインみたいに寝かせて、時折独りで栓を開けて楽しむのが良いと思うのです。

******

【お答え】
「余剰残心」
愛しているからこそ去り際まで美しく

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そんな、貴方にぴったりのナンバーは寺尾聰さんの『二季物語』です。

愛する人と過ごした真夏のヴィラに、愛する人を失った冬に独りで訪れ、一緒に過ごした夏の思い出を反芻する男のナンバー。後半の夏の回想部分は陽気なジャズの調べに変わり、妙な明るさがやけに寂しい。大人の恋愛映画を観終わった様な余韻に浸れます。

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“
愛してると繰りかえした俺に 髪をゆらし微笑った

真冬をひとりすごすはずのヴィラに 誘えばよかった

水鳥ながめる もの憂い午後は空白…

俺のこころの 静かな雪は止まず

あなたへ愛を閉じこめる

あなたへ愛を閉じこめる”

「二季物語」〈1981〉  
歌:寺尾聰. 作詞:有川正沙子. 作曲:寺尾聰
参照:『J-lyric.net』

 

 

お客様、選曲はお口に合いましたでしょうか?
またのご来店、心よりお待ち申し上げております。

純喫茶 ぺぺ

Photo:Yuta Takamatsu, Shuhei Kato
Text:RIKAPEPE(ペペ)
Illustration:Eri Sakai



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