毎日が主人公チンクエチェントとパンダ
本来なら手頃で楽しいイタリア車! と特集したいところですが、いまのイタリア車って気軽に乗れるのはフィアットだけ。アルファロメオさえ最廉価のジュリエッタが税込399万円から。諸税を含む乗り出し価格を考慮すると、日本人の平均年収に届きます。リアルな夢って意外と選択肢が少ない近年です。
フェラーリやランボルギーニは高嶺の花。また、両ブランドに比して格上のマセラティも1000万円クラスの価格レンジ。中古車を考えても高年式車は圏外です。ならばアバルトで! うん。コレなら狙えますね。でもいまは11月7日(土)に大磯ロングビーチで開催される「ABARTH DAYS 2020」直前の情報開示待ち状態。そんな事情もあり、今回はフツウのフィアット車を見ていきましょう。
現行フィアットのラインナップはチンクエチェントとパンダだけ。マイナーチェンジや年次改良は行われていますが基本的にはご長寿モデル。しかし、不思議なことに古さを感じさせないクルマです。
狙い目はカスタネットかよってくらいのペースで度々登場する限定車。古今東西、老若男女を問わず限定モノの魔力にはかないませんよね。というワケで直近の限定車をチェック!
まずチンクエチェントですが、かの名作映画の世界観を表現した「ドルチェヴィータ」というオシャレな限定車を発売中。ポルトローナ・フラウ社のレザーやウッドパネルをおごり、イタリアの“甘い生活”を表現した優美な佇まいを表現したといいます。同じドルチェヴィータでもフェラーリ・ローマはそうそう買えませんがコレなら狙えます。
【Fiat 500 / 500C Dolcevita】
ボディサイズ:全長3,570×全幅1,625×全高1,515mm
ホイールベース:2,300mm
車両重量:990 / 1,030kg
エンジン:直列4気筒(9A4)
排気量:1,240cc
ボア×ストローク:70.8×78.8mm
最高出力:51kW(69ps)/ 5,500rpm
最大トルク:102Nm / 3,000rpm
駆動方式:FWD
トランスミッション:ATモード付5速シーケンシャル(デュアロジック)
タイヤサイズ:195 / 45 R16
燃料消費率(WLTC):18.0km/ℓ
ステアリング位置:右
車両価格(税込):500 265万円 / 500C 289万円
限定数は3ドアの500が175台、ソフトトップ・カブリオレの500Cが100台となります。ボディカラーはいずれもボサノヴァホワイトを採用。なお、500Cのソフトトップはビーチパラソルをイメージした専用品。
巨匠フェデリコ・フェリーニ監督の1960年の映画『La dolce vita(邦題:甘い生活)』にインスパイアされたというこの限定車。フィアット的には大人のアバンチュールを象徴した快楽主義的な世界観でカスタマイズしたといったところでしょうが、日本的には『ルパン三世』の延長線上かも。
本国ではついにEVもデビューし、また新規採用の3ドアボディが話題です。日本でこの仕様が発売となるかわかりませんが、いい機会なので「Nuova 500 3+1」の画像を掲載しておきます。
2020年に初代誕生から40周年を迎えたパンダ。最新の限定車は“四駆のマニュアル”というマニアック仕様の「パンダ・クロス フォーバイフォー」です。エクステリアをチェックしましたが最新版のようで凛々しさ満点。このステアリングを握れば気分はまさに砂漠のインディ・ジョーンズ!?
【Fiat PANDA CROSS 4x4】
ボディサイズ:全長3,705×全幅1,665×全高1,630mm
ホイールベース:2,300mm
車両重量:1,150kg
エンジン:直列2気筒ターボ(312A2)
排気量:875cc
ボア×ストローク:80.5×86.0mm
最高出力:63kW(85ps)/ 5,500rpm <ECO:57kW(77ps)/ 5,500rpm>
最大トルク:145Nm / 1,900rpm <ECO:100Nm / 2,000rpm>
駆動方式:4WD
トランスミッション:6速MT
タイヤサイズ:175 / 65R15
燃料消費率(WLTC):16.4km/ℓ
ステアリング位置:右
車両価格(税込):263万円
気になる限定数は150台。本格的オフロード走行に対処するためヒルディセントコントロールを標準装備します(急斜面を降りるときに車両自体がクルマを制御。安定させる仕組み)。コンクリートジャングル専用じゃないところが頼もしくあります。
現在のフィアット車は新車登録から36ヵ月(10万km)のメーカー基本保障とロードサービスが標準付帯(基本無償)します。メンテナンスプログラム(有償)と上手に組み合わせて乗るのが得策。
今回の限定車は買い替えのタイミングが合わない……という方は、今後のアナウンスにご注目を。とにかく、見て、乗って、お手頃価格で気分が上がるとチンクエチェント&パンダ。その価値はカタログモデルでも十分に備えています。
Text:Seiichi Norishige