1000回目のグランプリへ。スクーデリア・フェラーリの迷走は続く
シーズン前テストから低迷が伝えられていたフェラーリがヤバイことになっています。この場合のフェラーリとは、市販車部門ではなくF1チームのスクーデリア・フェラーリ（以下、フェラーリ）の方。なんせ今季は記念すべきF1参戦1000レース目を迎える大事なシーズンなのです。
F1ファンなら周知の事実ですが、今季のフェラーリのマシンSF1000が劇遅。開幕戦のオーストリアGPではシャルル・ルクレールが幸運にも2位を拾ったものの、母国凱旋レースとなった第8戦イタリアGPの予選ではシャルル・ルクレール13位、セバスチャン・ベッテル17位とド低迷。おまけに決勝は2台ともリタイヤと散々な結果となりました。
しかし、それでもフェラーリは輝いています。モータースポーツの頂点として1950年から始まったF1にもっとも多く参戦している現役コンストラクターがフェラーリなのですから。
2020年9月6日の第8戦イタリアGP決勝終了時点でのF1レース開催数は1026回を数えます。歴代勝利数トップ3は、フェラーリの238勝、マクラーレンの182勝、ウィリアムズの114勝。ちなみに躍進著しい近年のメルセデスですが、直近の第7戦ベルギーGPでの勝利を含め通算108勝。まだまだヒヨっ子です。
そんなF1生活70年のフェラーリが記念すべき1000レース目を迎えるのがこの週末に開催される第9戦トスカーナGPです。場所はイタリア中部トスカーナ州にあるムジェロ・サーキット。
これまで無観客レースが続いてきましたが、F1はこのレースから限定的に観客を入れる決断をしました。とはいえ、今回は1日2880人。また、この内880人分の枠は「スクーデリア・フェラーリ・クラブ」のメンバー専売チケットです。
第7戦ベルギーGPのスパ・フランコルシャンからモンツァ、ムジェロと高速サーキット3連戦となるレースは、SF1000にとってよりキビシイレースとなることが予想されます。まっとうなレース展開ならフェラーリに勝利はありません。
仮に1000戦238勝なら勝率24％。野球の打者なら2割4分ですから、常時1軍登録とは考えにくい成績です。F1の70年に及ぶ歴史の中で若干の欠場レースもありますが、それでもフェラーリがもっとも継続出場しているF1コンストラクターです。
低迷が続く今季ですが、それでもフェラーリは昨シーズンに3勝をマーク。先のイタリアGPで優勝したアルファタウリ（旧トロ・ロッソ）は12年振りの勝利であり、ドライブしたピエール・ガスリー（初優勝）とホンダエンジンにはおめでとう！ ですが、通算成績は2勝（いずれも母国イタリアGP）です。
栄光と挫折を繰り返しF1の歴史を紡ぐフェラーリ。戦いはこれからも続きます。
Text：Seiichi Norishige
