女はいつでも少女のフリをしている女なのです
いくぶん残暑も和らぎ、しのぎ良い日が多くなりました。夏のお疲れは出ていらっしゃいませんか。今宵も恋多きJAZZシンガー「ぺぺ」の恋愛相談にお付き合いください。
さて、今回のイケナイ読者様からのご相談は、「まるで韓流ドラマ!女という性にゾッとする」という35歳の男性。ダンナ!さっそくお便り拝見いたしましょう。
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ある日、幼稚園児の息子に将来の夢を聞くと、「野球選手になりたい」と可愛い夢を語るのですが、娘は「玉の輿に乗りたい」と平気な顔で言います。
女という生き物にゾッとしました。
男女でこんなに違うものでしょうか?
ラスト侍さん 会社員(35)
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ラスト侍さん、ご相談いただきありがとうございます。幼少期に、昆虫遊びや闘いごっこに夢中な男の子を横目に、人形遊びやママゴトに夢中になる女の子達。誰も教えていないのに、「お帰りなさい貴方。ご飯にします?お風呂にします?」とオトナの真似ごとを始めた時にはドキリとしますね。
性差が緩やかになってきた昨今ですが、幼少期から刷り込まれてきたステレオタイプというのは大変恐ろしいです。
男性諸君には信じられない話かもしませんが、変身願望が強い女性達の中には、「いつか王子様が現れて、今の状況から救い出してくれる」という幻想を抱いている女性も未だに居ます。そして、この奇妙なプリンセス神話というのは、現代にも存在するのです。
韓流ドラマでヒロインが恋に落ちるお相手は、苦労が絶えない創業者ではなく、財閥の3代目以降の御曹司という設定(気絶)。若き頃から既に財力と権力を持ち合わせ、おまけに容姿端麗という浮世離れした完成品なのです。そんな彼らに見初められたいという、少々厚かましい他力本願な思想の裏には、いくら社会や家庭で頑張っていても報われない彼女達の悲鳴が隠れています。
少女から女へ、妻から母へ
結局、人生の如何なる局面でも潔く進化を遂げて行くのは女性達。その見事な変化というのは、家族単位で考えれば、しなやかで合理的かもしれませんが、人知れず様々なものを諦めてきているのも女性達なのです。
彼女達に植えつけられた変身願望というのは、多様に生きていく為に必要な「変化」への免疫なのかもしれません。そこまで計画的に刷り込まれていたらホラー気絶ですがね。
【お答え】
男は男のフリをしている少年。
女は少女のフリをしている女なのです。
その差はいつまでも埋まらないのです。
さて、今回ご紹介するナンバーは、『The Man I Love』です。
「いつか出逢う私の王子様は、きっと背が高くてたくましい人」と唄われる妄想ナンバーです。現実をそっと教えてあげたいですが、これからも人生に疲れた時こそ、ジャズに身を寄せて頂けますと幸いです。
そして、最後になりましたが、親愛なるFORZA STYLE読者の皆様。 5年に渡り連載をお愉しみいただきましてありがとうございました。突然ではありますが、媚薬ジャズを卒業し、新連載をスタートさせていただく事になりました。
暫しの間、涙をかくしてお別れです。今までお付き合いいただきまして有難うございました。それでは、さよならの向こう側でお会いしましょう。艶ュー。
■おすすめのJAZZソング
エラのドリーミーな歌声に気絶!
【一部 超訳】
いつかやって来るの
私の愛する人
彼は きっと
背が高くて 逞しい人
彼がもしやって来たら
ずっと私の側にいてくれるように努力する
彼と目が合ったら気づくはず
そして私の手を握ってくれるはず
馬鹿げた妄想かも知れないけれど
2人の間にはきっと
言葉も要らないはず
Photo:Yoshihiro Kamiya,Getty Images
Text:RIKAPEPE
Illustration:Eri Sakai