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FASHION 僕が捨てなかった服

【テイラーケイドでビスポークしたスーツ】イメージはウッディ・アレンで、ちょっとカッコ悪く

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人生には、どうしても手放せなかった服、そう「捨てなかった服」があります。そんな服にこそ、真の価値を見出せるものではないでしょうか。そこで、この連載では、ファッション業界の先人たちが、人生に於いて「捨てなかった服」を紹介。その人なりのこだわりや良いものを詳らかにし、スタイルのある人物のファッション観に迫ることにします。

これを着て、映画の撮影スポットを周りたかった。

『MEN’S Precious』を中心に、数々のカタログなども手掛け、ファッションエディターとして活躍する山下英介さん。

膨大な数を所有してきた山下さんが、なかでも捨てられなかった服をご紹介する企画の第11回目は、テイラーケイドでビスポークしたコーデュロイスーツです。

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このスーツは 2012年に仕立てたんですけど、当時ただ普通にアメリカン トラッドっていうのは つまらないなって思っていまして。パンツのシルエットを膝下がストレートで、70年代後半の雰囲気を狙って作りました。

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イメージは、ウッディ・アレン。パンツをわざとカッコ悪くしてるんですが、その感じも気にいっています。

これを着てニューヨークに行って、ウッディ・アレンが映画を撮影したスポットへ出掛けて、そこで記念撮影するみたいな。ぼく結構コスプレが好きなんで、その雰囲気のものです。

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着て飛行機に長く乗ってしまってクッタクタになる感じも良い。

ビスポークは そういう楽しみを満たすためのもので、自分の中のコスプレ願望を満たせています。

裏地もペイズリーにしてみたり、コーデュロイなのに背抜き仕立てにできるのは、ビスポークだからこそできるディテールで面白いですよね。

これもせっかく仕立ててもらったものですから手放すことはないと思います。

Photo:Shimpei Suzuki

Edit:Ryutaro Yanaka

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山下英介
ファッションエディター
大学卒業後いくつかの出版社勤務を経て、2008年からフリーのファッションエディターとして活動。ファッションディレクターとして参画している『MEN’S Precious』を中心に、数々のカタログなども手掛ける。背景にクラシックな文化を感じさせるものに興味を持ち、まだ知られていない世界の名品やファッション文化を伝えるべく日々精進中。1976年埼玉県生まれ。



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