ハンバーガーメニューボタン
FORZA STYLE - 粋なダンナのLuxuaryWebMagazine
FASHION 僕が捨てなかった服

【左岸のアルニス、右岸のエルメス】文化財的な価値があるシルク100%の乗馬パンツ

無料会員をしていただくと、
記事をクリップできます

新規会員登録
人生には、どうしても手放せなかった服、そう「捨てなかった服」があります。そんな服にこそ、真の価値を見出せるものではないでしょうか。そこで、この連載では、ファッション業界の先人たちが、人生に於いて「捨てなかった服」を紹介。その人なりのこだわりや良いものを詳らかにし、スタイルのある人物のファッション観に迫ることにします。

こんなものを今後作るブランドは現れないだろうから手放せません

『MEN’S Precious』を中心に、数々のカタログなども手掛け、ファッションエディターとして活躍する山下英介さん。

膨大な数を所有してきた山下さんが、なかでも捨てられなかった服をご紹介する企画の第9回目は、アルニスのシルク100%パンツです。

Yahoo! 配信用パラグラフ分割

パンツの話に入る前に「左岸のアルニス、右岸のエルメス」についてですが、セーヌ河は パリをほぼ南北に二分して東から西へ流れ、北側を Rive Droite (リーブ・ドロワット)で右岸地区、南側をRive Gauche (リーブ・ゴーシュ)で左岸地区と呼びます。右岸が貴族的で保守的な傾向であるのに対して、左岸は庶民的で革新的、芸術的な側面を持ち、それはそのままメゾンの個性にも反映されているようです。

それでこのパンツですが、フリーに成りたての時期、名品を買い漁ってた頃に出会いました。すでにアルニスは閉店してしまったので、もうこんなものを作るブランドは絶対に現れないだろうと思って、買いましたね。

三喜商事が仕入れて以降、代理店が変わったり、LVMHに買収されたりを繰り返して今やパリのベルルッティ内にアトリエを持つだけになってしまったアルニスですが…、かつて神田にニューシマズというお店があって、そこでは結構安く買えたので、おそらく定価で15万程度でしたが、5〜6万円で手に入れました。

Yahoo! 配信用パラグラフ分割

ニューシマズのご主人にはアルニスの昔のカタログを貰ったり、結構貴重なものもお持ちでした。

このパンツは、ウミット・ベナンのネイビーブレザーを合わせて、「こんな格好してるヤツはオレしかいない」なんて思いながら履いていました(笑)。

Yahoo! 配信用パラグラフ分割

ディテールを見ると乗馬用のロングブーツを合わせるために裾にボタンが付いていて、靴に乗る感じになっているんですが、シルク100%…。

Yahoo! 配信用パラグラフ分割

ただ、不思議なことに コレ穿いてパリを歩いていると、やたら おじいちゃんから「売ってくれないか」的な声をかけられて、探している人がたくさんいてファンも多いみたいです。

閉店セールにも行って、いろいろと買ったのを覚えています。素晴らしかった靴下はさすがに全部穴が空いてしまって もう履けないんですが、文化財的な価値があるので なかなか捨てることができませんね。

Photo:Shimpei Suzuki

Edit:Ryutaro Yanaka

Yahoo! 配信用パラグラフ分割

山下英介
ファッションエディター
大学卒業後いくつかの出版社勤務を経て、2008年からフリーのファッションエディターとして活動。ファッションディレクターとして参画している『MEN’S Precious』を中心に、数々のカタログなども手掛ける。背景にクラシックな文化を感じさせるものに興味を持ち、まだ知られていない世界の名品やファッション文化を伝えるべく日々精進中。1976年埼玉県生まれ。



RANKING

1
2
3
4
5
1
2
3
4
5