大学時代にバイト代を握りしめて買いに行きました
洋品、車、ワインで、それぞれ家一軒分ほど散財するという趣味が高じて、2019年東京・人形町にヴィンテージショップ「Tango245」を開店した結城恵介さん。
膨大な数の服を所有してきた結城さんが、なかでも捨てられなかった服をご紹介する企画の第1回目は、メンズ・ビギとイン&ヤンのジャケット、ムッシュ・ニコルのシャツです。
この辺は 大学生の頃にバイト代を貯めて買ったものですね。伊勢丹新宿店の隣の、いま無印良品になっているところに「マルセル新宿本店」というショップがあったのですが、そこをチェックしてから丸井に向かうという流れで買い物をしていたような気がします。
当時の大学生といえば、ブルックスブラザーズのボタンダウンシャツ、ポール・スチュワートのプルオーバー、J.プレスのタッターソール、ボートハウスのトレーナー、ファーラー、サッスーンのジーンズ、ワラビーのブーツなんかが流行っていましたが、そこは避けていた記憶があります。
ベタに、やはりショーケン(故 萩原健一)からの影響を受けていたんですが、『傷だらけの天使』のメンズ・ビギよりは、『恋文』のときのイン&ヤン(Yin & Yang)の方に惹かれていました。
それで、デザイナーの村岡勝重さんが手掛けていたインセンス(insense)のジャケットも買って着ていました。
そして、当時はメンズ・ビギよりもムッシュ・ニコルの方が威圧感があって、当時で2万8000円と結構高額だったシャツも何枚か買っておりまして…。
当時、箱入りで売っていたのですが、偶然にも箱も残っていました。
このビギの麻ジャケットをセットアップで着て 就職活動をしたり、このシャツを着て 付き合いで買わされたパーティ券をジャケットの胸ポケットに入れ、クルマで第三京浜を走らせたのも懐かしい思い出です。
どれも程度がいいですし、墓場まで持っていくことにします。
Photo:Shimpei Suzuki
Edit:Ryutaro Yanaka
結城恵介
ヴィンテージショップ、Tango245店主
DCブランドや英国物、イタリアンブランド、クラシコイタリア等の荒波にもまれながら、会社員時代、出張にかこつけてビスポーク、スミズーラを巡る旅に年数回出るまでに。その趣味が高じて2019年ビンテージショップを開店。欧州の銘品、逸品を販売する一方で、日本の若い職人と組んだ別注品も手掛け、海外展開を計画。散財額は、洋品、車、ワインそれぞれで 家一軒分? モットーは「迷ったら全部買う」