CAR ― Dr.ノリシゲの妄想ドライブ

妄想は続くよ、どこまでも!

夢のグランドエフェクト・スーパーカー「T.50」降臨!

2020.8.9 2020.8.9
2020.8.9
説明しよう! 妄想ドライブとはヴェテラン モータージャーナリスト・ノリシゲセイイチが「このクルマにのったら、こんなことをしたい。こんなところに行きたい。この街道でぶっ飛ばしてチャンネーとこんなことがしたい!」と妄想の世界に遊ぶ気絶コラムである!

ステキな変態、ゴードン・マレーの『T.50』は気絶級スーパーカーだった!

今回はお盆休みスペシャルとして、クルマ好きがガッツリ妄想できる最新スーパーカー『T.50』を取り上げたいと思います。車名の読み方は「ティー・フィフティ」でよろしいかと思いますが、表記上はT・ドット・50です。コレがT50なら何機目のターミネーターだよっ! てことになりますのでご注意ください。

2020年8月4日。コロナ禍の英国でワールドプレミアを迎えた『T.50』は、かつてマクラーレンに在籍したデザイナーのゴードン・マレーが、退任後の2017年に設立した自身の『Gordon Murray Automotive』から送り出したスーパーカーです。

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この『T.50』をワタシの拙い言葉で端的に表現すると、“ステキな吸引力をもつ最高のパートナー”となります。車体後部をご覧ください。何やらサーキュレーターのようなファンが装着されていることに気付くと思います。

じつはこのファン、メカニズム的には8.5kW(約11.55ps)の出力をもつモーターで駆動されるのですが、比較すると、スーパーカブ110の最高出力5.9kW(8.0ps)/7,500rpmを軽く上回るパワフル仕様となります。単気筒エンジンなのに意外と高回転なんだね! ってハナシは置いておくとして、男ならこの回転するファンに向かって一声発したくなります。

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で、この直径400mmの電動ファンがどんな役目を果たすかというと、車体下部を流れる空気をドンドン吸い出します。そして、速度域によりエンジンベイに設けられた可変式フラップが最適なダウンフォースが発生するよう七変化。また、ブレーキング時にはビルトインスポイラーと連動し、車体を安定させるように空気の流れをコントロール。さらに、エンジンに対してはラムエア効果の向上をもたらすといいます。

かつてモータースポーツの世界では、こうしたファン機構をもつマシンが存在しました。1970年のシャパラル2J、1978年のブラバムBT46Bが通称“ファンカー”として実践デビューしています。後者はF1マシンなのですが、じつはこのレースカーを設計したのがゴードン・マレーでした。

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当時のF1の技術的トレンドはウイングカー全盛です。わかりやすくいうと、地上をもっとも速く走ることを目的としたヒコーキを作って競争していたと思ってください。このウイングカーのトレンドを牽引したのはロータスを率いるコーリン・チャップマンでした。

少し詳しく説明します。ロータスが搭載するV型8気筒エンジンに対し、ブラバムが搭載する水平対向12気筒エンジンは、横幅が広く前後長もあり、グランドエフェクト効果を引き出すには不利なパッケージとなっていました。つまり、車体下部を流れる空気をうまくコントロールできず、結果的にエンジン出力を最大限に生かせない構造だったのです。

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そこでゴードン・マレーは機械式駆動のファンをマシン後部に装着し、主目的はエンジン冷却とする巧みな解釈でレギュレーションを克服。車体下部を流れる空気を強制的に排出することで空力的ハンデを克服しレースカーを開発しました。

この素晴らしいバキューム効果でダウンフォースを高めたブラバムBT46Bは、ニキ・ラウダのドライブでデビューウィン! 極秘裏に開発していただけに、各チームは度肝を抜かれます。

その後は紆余曲折あり、ファン機構は早々に禁止されてしまいましたが、その効果は絶大であることを証明することに。今回の『T.50』はいわばその封印された技術を再召喚したと捉えていいでしょう。スーパーカーへの採用は、高速域の安全性を高めるためにもメリットは計り知れないと思います。

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McLaren F1 (1993-1998)
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時系列は前後しますが、ゴードン・マレーは1993年にマクラーレン初の市販スーパーカー、『McLaren F1』を作りました。そして、今回はこのクルマの進化形最新モデルとなっているのです。ちなみに車名の由来は自身のデザイナーキャリアと、顧みて50番目の作品であることから『T.50』と命名。つまりは彼自身の集大成なのです。

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【Gordon Murray Automotive T.50】
エンジン:Cosworth GMA V型12気筒
バンク角:65°
排気量:3,994cc
ボア×ストローク:81.5mm×63.8mm
圧縮比:14
最高出力:663ps / 11,500rpm(Maximum 12,100rpm)
最大トルク:467Nm / 9,000rpm
フレキシビリティ:71% of max torque @ 2,500rpm
トランスミッション:6MT(Xtrac)
ボディーサイズ:全長4,352×全幅1,850×全高1,164mm
トレッド:1,586 / 1,525mm
ホイールベース:2,700mm
ドライ重量:957kg(車重986kg)
潤滑方式:ドライサンプ
エンジンオイル容量:14ℓ
ホイールサイズ:8.5×19・11×20
ブレーキキャリパー:6ピストン / 4ピストン(ブレンボ)
ブレーキディスク:370mm×34mm CCM-R・340mm×34mm CCM-R(ブレンボ)
標準装着タイヤ:ミシュラン・パイロットスポーツ4S
タイヤサイズ:235 / 35 R19・295 / 30 R20
燃料容量:80ℓ
車両価格(税別):236万ポンド

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「このクルマの楽しさの50%はエンジンにある」と彼がいうように、コスワースが新規に専用開発した自然吸気のV型12気筒エンジンは、1万回転オーバーの高回転・高出力型エンジンです。それをXトラックの6速マニュアルと組み合わせるのですから、ゴードン・マレーはいい意味でステキな変態です。つまり、ATが必要と感じるならこのクルマに乗る資格はないと宣言しているようなものなのですから。

とはいえ、スペックに記したように、最大トルクの71%を2,500rpmで発生することからロードモデルとしての配慮もうかがえます。ちなみにこの至極のエンジン、出力20kW(約27.19ps)のISGシステムを搭載し、後部のファン機構と合わせ48V電源で駆動しています。

また、特筆すべきはステアリングのパワーアシスト機構が低速域のみ作用すること。
『T.50』はドライバーの感性をもっとも重んじた究極のアナログ的スーパーカーともいえるのです。

もしもこのクルマに弱点があるとすれば、それはポンド建ての支払いくらいしか考えられません。その道のプロがキラー通貨と呼ぶポンドだけに為替変動がじつに読みにくいのです。また、ロードモデルの生産台数は限定100台。現時点では若干数、購入可能だとか。ゴードン・マレーと直接会ってビスポークの相談ができるそうですから、『T.50』まさに夢のグランドエフェクト・スーパーカーです。

Text:Seiichi Norishige

ゴードン・マレー・オートモーティブ

■The £2.5 million V12 GMA T.50 is the next McLaren F1 – and it uses a fan to create downforce

 

Author profile

教重 誠一
教重 誠一
Norishige Seiichi

自動車雑誌の編集者を経てモータージャーナリストへ。駆け出しの頃からサラリーマンの限界に挑戦し数々の輸入車を乗りまわす。印象深かった愛車はポルシェ911(930)、Ruf CRo
コンバージョン(964)、メルセデス・ベンツ500E、フェラーリ412、BMW6シリーズ、RG500Γ(バイク)。趣味はシガーとパイプとすし屋巡り。ジャンルを問わず酒好きだが、一定以上飲むと睡魔が襲い銘柄を失念する。1964年、北海道生まれ。

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