あれから20年。ヴァンキッシュ物語に続編があったとは!
コロナ禍で海外旅行もままならぬ昨今ですが、英国とクラシックカー好きなら一度は訪ねたいイベントが英『Concours of Elegance(コンクールズ・オブ・エレガンス)』です。初開催は2012年と歴史はありませんが、エリザベス女王の即位60周年を記念してスタートしたイベントだけに、毎年の開催場所が王室ゆかりの地とロケーション抜群。ちなみに初開催はウィンザー城でした。
いまのところ2020年大会はハンプトンコート宮殿を舞台に開催予定。しかし、日程が9月4日から6日と迫っているだけに中止の可能性もありますが、現状公式サイトを見る限りそのアナウンスはありませんでした。戦前の英ヴィンテージモデルのみならず、フェラーリなど他国のモデルも展示されますので十分に楽しめます。
さて、今回のお題は昨年このコンクールズ・オブ・エレガンスでプレミアされた『Aston Martin Vanquish 25 CALLUM by R-Reforged』です。このモデル、2001年にデビューしたアストンマーティン・ヴァンキッシュのハイパフォーマンスモデルとして追加されたヴァンキッシュSをベースとしたリメイクモデル。パフォーマンス&インフォテインメントシステムも現在に通じるアップデートが施されているのです。そしてついに発売開始に。
このモデルを手がけたのは、このヴァンキッシュの生みの親である稀代のスコットランド生まれのカーデザイナー、イアン・カラムその人。フォード、TWR(トム・ウォーキンショー・レーシング)、アストンマーティン、ジャガーと勤め上げ昨年勇退。現在はデザインやコンサルタントを請け負うカラム・デザインを立ち上げています。
正式車名が長いのでヴァンキッシュ・カラム25と略しますが、今回のプロジェクトにあたりイアン・カラムは「デザイナー自身が自分のクルマのストーリーを語り直す機会をもつことは稀です(訳:グーグル先生)」と語ります。つまりこのモデルは具体的に施した技術や手法よりも、カラム自身による再構築に価値があるのです。
もうひとつ価値ある理由を上げるとすれば、この初代ヴァンキッシュはアストンマーティン・ラゴンダリミテッド社の最後のハンドメイドモデルということ。長年操業したニューポートパグネルで造られた最後のモデルであることも忘れてはいけません。
そして興味深いのは、このプロジェクトのパートナーであるRリフォージッドという会社です。同社はAFレーシング・グループに属するのですが、この組織のレース部門はアストンマーティンのレース活動をワークスチームとして運営。また、ハイパーカーのヴァルキリーにもかかわっています。
さらに、このグループにはAMGの創業メンバーの一人であるハンス・ウェルナー・アウヒレヒト率いるHWAエンジニアリング・スピードも強力なパートナーとして関与しているのです。
Rフォージッド社は今後もパーソナルな、わかりやすくいえばビスポークに特化したスペシャルなモノ造りに特化して行く計画です。顧客は超富裕層となるでしょうが、クルマ好きなら注目しておいて損はありません。
ダッシュボード中央にはラグジュアリーウォッチである英ブレモンが……。限定25台受付のヴァンキッシュ・カラム25。やはり只者じゃありません!
Text:Seiichi Norishige
■NEW Aston Martin Vanquish 25 By Callum - First Look!