仏海軍にも提供した由緒正しい名門ブランドです
第269回は、オーシバルのカットソーです。
「セントジェームス」「ルミノア」「オーシバル」。これを聞いて何のことかわかった方は流石。そうです、マリンスタイルの大定番バスクシャツの三大ブランドです。今回は、御三家の中でもフランス海軍にユニフォーム提供をしていたことで有名なオーシバルをご紹介します。
1939年、フランス中央にある小さな村の名前にちなんで誕生したオーシバル。生地と製品ともに製造・生産できる数少ないメーカーとして名を馳せ、1947年には海軍に生地提供をしていたとか。中でも上写真の「ラッセル」は後の海軍ユニフォームとなる、オーシバルを象徴するマリンTシャツです。
使用されているラッセル生地は、糸を多く使用した複雑な構造が特徴。これにより丈夫な編み地になり、ほつれにくく、繰り返し使って洗濯してもヨレにくいタフな仕様に。これがワークウェアに最適と、船乗りたちの作業着や制服に採用されてきたのです。もちろんタフなだけではなく、通気性にも優れ使うほどに風合いが増すので、長く愛用できるのも見どころの一つ。
現代においては、これを製造できる織り機はフランス国内に数台しかないのですが、オーシバルは当時と同じ製法をそのまま継承。特に古くからある首回りの緩いボートネックと青と白のパネルボーダーディテールは、昨今のラフなトレンドにもマッチし、清潔感ある大人のラフスタイルを楽しませます。正直これ一枚あれば、今シーズンの旬なサマーカジュアルは完成すると言っても過言ではないかも。伝統的なクラフツマンシップが、今もなお世界中で愛されている好例と言えます。
裾に小さく配された蜂のエンブレムは、さり気なくバスクシャツの本家であることをアピール。このエンブレムが、違いのわかる大人かどうかを指し示すポイントになるわけです。
ラッセルと同じくブランドを代表する「コットンロード」。空気の流れで繊維をひねって編まれたオープンエンド糸を採用し、ドライでふわりとした風合いが実に心地良い。定番色のこれなら、デニムやショーツとのカジュアルだけでなく、ジャケットオンのシックな装いとも好相性です。
Styling:Takahiro Takashio
Text:Hayato Hosoya
【問い合わせ】
ビショップ 03-5775-3266
http://orcival.jp/