ジャケットとデニムのベストな相性を見極めよ
自粛生活を続けていると、イベントごとや外食や恋しくなりますよね。そんな在りし日の思い出にふけっていると、思い出したくないイタい過去が突如として蘇ったりするものです。今回は、そんな黒歴史を乗り越えるべく、アップデートしたジャケット&デニムのスタイルを紹介。
待ってろよー、いつか絶対リベンジしてやる!!
アイテム
ジャケット/ニール・バレット
Tシャツ/クロスクローゼット
ジーンズ/マインデニム
サングラス/レイバン
ウォレットチェーン/クロムハーツ
時計/ベル&ロス
バングル/フィクサー
リング/フィクサー
靴/イヴ・サンローラン
もはや定番の組み合わせですが、パリやミラノのコレクションでショーの終わりにランウェイに挨拶に出てくるときのデザイナーの格好が、決まってジャケットにデニムだった時期がありまして……。
2000年代の初めだったかな。トム・フォード、エディ・スリマン、ドルチェ&ガッバーナもそうでしたね。当時、トレンドセッターと呼ばれていた本人たちの私服が、至ってベーシックだったことに新鮮な驚きを感じたものでした。
もちろん、僕も真似しましたよ。どこに行くにもジャケットとデニム。デニムはクラッシュが流行っていたこともあり、それがいちばんイケてると思っていました。でも、あるときドヤ顔で訪問した西新宿の某ホテルのレストランに入店を断られまして……。「その服装は当店の雰囲気にそぐわないので、お引き取りください」と。あれは サムいというか、かなりイタかったですね。
以来、トラウマになってしまい、しばらくクラッシュデニムを封印していたのですが、僕のお洒落の師匠のひとりであるスタイリストの野口強さんがディレクションするマインデニムでお気に入りの一本を見つけたので、最近また穿くようになりました。そこで、ボトムスから組み立てるコーディネイトをご紹介します。
近ごろ、よくしているモノトーンの組み合わせで、「クラッシュデニムにジャケットを合わせるなら」、という順番に発想していったのですが、このとき大切なのは、デニムの雰囲気やシルエットを中心に考えること。
僕の場合、デニムのシルエットに合わせて、足元のボリュームを考えてから、ジャケットのラペル幅やゴージ位置などでバランスをとっていくようにしています。如何せん、感覚的な部分が大きいので、上手く説明できないのがもどかしいのですが、普段、仕事で着ているようなクラシックなジャケットは、候補から外しておいたほうが無難でしょうね。やはり、デニムとジャケットの雰囲気が合っていないと、チグハグに見えてしまいますから。
僕が今、気に入っているこのマインデニムやヤヌーク×YOSHIMASA HOSHIBAのデニムだと、こんな感じになります。ヒール付きのブーツを合わせて、テクノストレッチ素材のジャケットをチョイス。ジャケットは、ややナローなラペルで ゴージ位置が低めのものを選びました。
で、中にはクロスクローゼットの黒Tシャツを着て、オールブラックのコーディネイトを完成! デニムのシャープさを際立たせるように、全体の構成を考えるのがコツです。
あと、このところ何度も言っていますが、モノトーンのコーディネイトは異なる素材感を組み合わせるのが重要なポイント。同じ黒でも、それだけで全体に深みが増して見えますからね。
久しぶりにジャケット&デニムのスタイルをしてみたのですが、やっぱりいいですね。あれから20年近く経って時代も変わったことだし、この格好で入店拒否されたあのレストランにもう一回行ってみようかな……。入れないとは思うのですが(笑)。
今回のスタイルのキモは……。
●モードなデニムには、モードなジャケットを。
●普段の仕事で着ているジャケットは候補から除外。
●ベーシックな組み合わせだからこそ、コーディネイトには細やかな計算を。
●ホテルの高級レストランに入店できるかは不明。
●自粛生活は、無理せず、油断せず、続けることが大切。
Photo: Ikuo Kubota (OWL)
Styling&Model:Yoshimasa Hoshiba
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【エロサバ】-Hoshipedia
「エロサバ」とは、エロいコンサバの略で、干場の哲学により生まれた造語。シンプルでベーシック、コンサバティブな洋服を着ているのに、なぜかエロく見えるスタイルのこと。例えば喪服の女性。成熟した大人の女性が喪服を着ていて、メイクもナチュラルで抑制しているのに、不思議と色っぽく見えるスタイル。例えば、普通の白いシャツを着ているのにも関わらず、胸元のボタンの開け方や袖口のまくり方でSEXYに見えるスタイル。粗悪な素材でデザインが変わっているシャツでは駄目。上質な素材でベーシックなシャツだからこそ、崩して着こなしても上品さが保てるのです。男性で例えるなら、仕立てられたグレーの無地のスーツを着て、上質な白シャツに黒の無地のネクタイのような極めてコンサバティブなスタイルをしているのに、内側から大人の色気が香るスタイルのこと。