いつの日かリゾートで履けるように……
前に「エコラグ 」で紹介したエルメスのサンダルは、生来のカスタマイズ癖で、購入後にレザーソールの上からビルケンシュトック製のラバーソールを貼り、約15ミリの厚底にしました。クルーズにもっていこうと思い、船上のプールサイドなどのデッキで滑らないようにと考えたアレンジでしたが、そのアイデアには かなり自信があったものの、実際に履いてみたらソールが厚すぎて反り返らないんですよね……。
つまり、ひと言で表現すると、歩きにくい。しかも、かなり。そうなると、やっぱりだんだん履かなくなりますよね……。ルックスはとても気に入っていただけに、悔しさだけが残りました(まあ、自分のせいなのですが)。
リベンジの瞬間が訪れたのは、一昨年前の出張のとき。訪問先の韓国で、仕事の合間にホテルの近くにあったエルメスの直営店を目的もなくフラフラ見ていると、「干場さんですよね?」と日本語で話しかけてくる現地のスタッフがいるじゃないですか! なぜ? なぜ? なぜ??
頭のなかに、はてなマークが渦巻くなか、そのスタッフが「いつもFORZA STYLEのYouTube、楽しく観てますよ」と言うわけですよ。
それが例えリップサービスだとしても、うれしいじゃないですか。視聴者がいるとは予想しなかった異国の地で、「楽しく観てますよ」だなんて……。思わずハグしたい衝動に駆られましたよ。そうすると、なにか買わなきゃと思うのが人情というもの。感謝の気持ちを伝えるのに国境や人種の差はありません!

で、今度こそリゾートで履けるサンダルをと思い、吟味して選んだのがこちら。前はアッパーに「H」モチーフをあしらったモデル「イズミール」でしたが、今回、買った一足はパッと見ではどこのブランドがわからない。それがかえって気に入ったんですよね。見ようによっては、高級なビルケンシュトックのサンダルみたいにも思えるし……。色はモカと迷ったのですが、黒の水着が多いので、それに合わせて黒にしました。
昨年は忙しくてリゾートに出かける暇がなかったので、今年こそはと思っていた矢先のコロナショック。しばらく船旅で海外なんて行けないだろうな……。
そんなわけで、リゾート用だったはずのサンダルは、最近ではもっぱらご近所用のつっかけになっています。履くたびに、「君にはふさわしい舞台があるはずなのに、こんな思いをさせてごめんよ」と、心の中でつぶやきながら、いつの日かまた リゾートを楽しめる日が来ることを心待ちにしているんです(苦笑)。
Photo:Ikuo Kubota(owl)
Text:Toshiaki Ishii
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干場義雅が愛する
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