CAR ― ここがヘンだよ日本のクルマ社会

ここがヘンだよ日本のクルマ社会

ウィズコロナでクルマ社会も成熟するか?

2020.6.1 2020.6.1
2020.6.1
日本はクルマ先進国だとされているが、果たして本当なのだろうか? 欧米がすべて正しいわけではもちろんないのだが、明らかに日本のクルマ社会でおかしいな~と思うことがあることも事実。というわけで、どこがヘンなのか、その解決策は?にジャーナリスト森口将之がお答えします。

コロナによって世界は、日本はどう変わる?

緊急事態宣言は解除されたとはいえ、まだまだ新型コロナウイルスは各方面に影響を及ぼし続けそうだ。クルマもまた例外ではないだろう。

日本自動車販売協会連合会(自販連)の統計を見ると、4月の軽自動車を除く新型乗用車の販売台数は前年同月の72.5%に留まっているが、多くの人が普段どおりの生活を取り戻すのに時間がかかることが予想できるので、落ち込みはしばらく続くことが考えられる。

ではウィズ・コロナの中でクルマを取り巻く環境はどうなるか。まず大都市から見ていくと、すでに欧米ではいくつかの動きがある。

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ポートランドで発表されたコロナ対策による新しい道路使用方法

たとえば「全米一暮らしたいまち」として以前から注目のオレゴン州ポートランドでは「スローストリート/セーフストリート・イニシアチブ」というプランを発表している。

生活道路では市民の憩いの場を提供すべく、一時的にバリケードを設置して地元住民以外の自動車の通行を制限し、にぎやかな通りでは感染防止のために歩道を拡大。そしてビジネス街では交差点近くの歩道を拡大して歩行者間の距離を維持するとともに、物流のための専用ゾーンを設けていくという。

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パリのリヴォリ通りでは、歩行者・自転車専用道路の整備が進んでいる

一方フランスでは、パリを中心とするイル・ド・フランス地域圏で、広域自転車レーンネットワークの整備が決まった。すでにパリではルーヴル美術館の北側を走るリヴォリ通りを歩行者・自転車専用道に切り替えるなど、合計50kmもの自転車レーンを新たに追加していくそうだ。

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日本でも自転車のシェアライディングの需要が高まっている。

日本でも自転車シェアリングのサービス会社が首都圏の状況を調べたところ、利用回数は減っているにもかかわらず1回ごとの走行距離は逆に伸びているという結果が出た。

リモートワークの普及で利用回数が減ったのに対し、公共交通は「三密」の恐れがあると思う人が通勤に使っていることが、走行距離の伸びにつながっているものと思われる。

ここまでマイカーが出てこなかったのは、東京などの大都市では駐車場台が高いので所有することすら大変だし、仮に持っていても勤務先に駐車場がないなどの理由で通勤に使うのは不可能だからだ。こういう人たちが自転車に流れたのではないだろうか。

地方へ移住するとクルマは不可欠
一方で、今回の新型コロナウイルスが東京や大阪、札幌などの大都市で感染者が多く発生したことと、リモートワークで毎日会社に行かなくても良くなった人が多いことから、とりわけ日本では地方への移住を考える人が多いという報道もある。

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地方では生活にクルマは欠かせないが、高級車はほとんど見かけない。

地方は公共交通が貧弱な地域もあるうえに、工場などリモートワークが難しい仕事場が多いので、移住者の中にはマイカーが必要になる人がいるだろうし、現時点でも感染防止の観点からマイカー通勤を奨励している会社はいくつかあるようだ。

昨年のデータでも、日本でいちばん乗用車の保有率が高い群馬県では3人中2人がマイカーを持っていたのに対し、いちばん少ない東京都は4人にひとりのレベルにも達していなかった。新型コロナウイルスによって、この傾向は加速していきそうだ。

ただすべてのクルマが均等に増えるわけではないはず。たとえば輸入車は、地方はディーラーが少ないうえに、台数が少ない分周囲の目が気になるという声も出そうであり、伸び悩むだろう。

輸入車に乗る人の中には、「他人から注目されたい」という気持ちで選ぶ人もそれなりにいそうだが、地方はそもそも人口が少ないので、そういう目的を叶えにくい場所でもある。国産の高級車にも同じことが言える。

それを証明しているわけではないだろうが、日本自動車販売協会連合会の統計をもう一度見ると、4月の販売台数は5ナンバーの小型乗用車が前年同月比84.3%に留まるのに対し、3ナンバーの普通乗用車は62.3%となっており、日本自動車輸入組合が発表した4月の外国メーカーの乗用車登録台数も前年同月比で62.8%と落ち込みが大きい。

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地方に住めば、憧れのスポーツカー所有のハードルは低い? 写真のようなモーガンで通勤も⁉︎

逆に走って楽しむステージは豊富にあるので、メンテナンスができる整備工場があれば、スポーツカーや旧車などの趣味的なクルマは所有する価値がある。駐車場は大都市に比べれば安いから複数所有のハードルも低い。現実に長野県などを走っていると、スポーツカーや旧車とすれ違う機会はけっこう多い。

大都会に住んでクルマを何台も持つのがエライという考えは、高度経済成長時代に育まれたものであり、今の社会状況にフィットしているとは言えない。新型コロナウイルスはそんな日本のクルマ社会を、欧米のような成熟したシーンに変えていくきっかけになるかもしれない。

Text & Photos:Masayuki Moriguchi

森口将之プロフィール

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モビリティジャーナリスト。移動や都市という視点から自動車や公共交通を取材。日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員、グッドデザイン賞審査委員などを歴任。著書に『Maas入門 まちづくりのためのスマートモビリティ戦略』(学芸出版社)など。

 

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