上品でありながらワイルドさも兼ね備えた一着
2月1日にディースクエアード 東京店で開催された「DSQUEARED×FORZA STYLEトークイベント」が大成功に終わったのは、すでにご報告のとおり。ものまねタレントのミラクルひかるさんも登場したりして、本当に大盛り上がりでした。
で、このイベントの目玉だったのが、僕とサトシーノが考え抜いた渾身の12ルック+イチ押しアイテム4。詳細は過去記事を読んでいただくとして、これは今思い出しても感激モノでした。
というのも、ラグジュアリーブランドの顔ともいえる直営店のディスプレイは、通常デザイナーが決めたスタイルを全世界共通でトータルルックで展示するのが お約束。それを今回は特別にFORZA STYLE読者のためにアレンジさせてもらったわけですから、これはちょっと緊張しましたね。
もちろん、ブランドが提案する本来のスタイルも素晴らしいのですが、そのまま着るとミラノっぽいというか、アメリカっぽいというか……。日本人が東京で着るには、もう少し色を抑えたほうがいいのかなと。おそらく髪や肌の色、太陽の日差しや街の風景などが関係していると思うんですけどね。
そのときピックアップしたアイテムで、まんまと自分でも買ってしまったのが、このスエード製のライダーズ(苦笑)。実はこれ、店頭での打ち合わせの際、真っ先に目についたアイテムで、最初から狙っていたんですよ。
いつもなら、ライダーズというとブラックの表革を選んでしまいますが、きれいな色合いにひと目惚れ! すっきりとした細身のシルエットで、ダブルブレストというのも新鮮でした。
あと、この手の革ジャンだと 最近はヨーロッパものを着る機会が多かったのですが、洗練されていて品があるのはいいのですが、それも過ぎると軟弱に見える気がしていまして……。やっぱり、ライダーズの魅力って、男らしさや武骨なイメージにあると思うんです。
そうすると、ある程度の肉厚なレザーという選択肢になりますが、それでホースハイドなんかを選んでしまった暁には、硬くて肩が凝るし、しかも重いのが最大のネック。さらに身体になじむまで何年かかることやら……。
ところが、こちらは肉厚なワイルドさを残しながら、柔らかなゴート(山羊)スエードを使用。着たまま気絶できるほどの柔らかな仕上がりなんです。
以前、デザイナーのディーン&ダン・ケイティン兄弟がどこかのインタビューで、自分たちのルーツやライフスタイルは、ヨーロッパ系移民である両親と、生まれ育ったカナダの大自然からの影響、そしてアメリカへの憧憬が根底にある、と言っていましたが、まさにその言葉通りのテイストがこの一着に凝縮されていると思います。
普段はモノトーン中心のコーディネイトですが、このライダーズは少しだけ色を足したいときに着ようと思っています。中には色褪せたTシャツを着て、程よく色落ちしたブラックジーンズにリングブーツなんて最高。GW明けに外出自粛が解けた際には!(もう暑いかも……)
Photo:Ikuo Kubota(owl)
Text:Toshiaki Ishii
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干場義雅が愛する
「究極のブランド100+5」(日本文芸社)