CAR ― ここがヘンだよ日本のクルマ社会

ここがヘンだよ日本のクルマ社会

第三回 コロナが加速させるマーケットの激変! クルマのサブスク、各社の事情

2020.5.4 2020.5.4
2020.5.4
日本はクルマ先進国だとされているが、果たして本当なのだろうか? 欧米がすべて正しいわけではもちろんないのだが、明らかに日本のクルマ社会でおかしいな~と思うことがあることも事実。というわけで、どこがヘンなのか、その解決策は?にジャーナリスト森口将之がお答えします。

音楽や映画ほど自由に使えないクルマのサブスク!?

「クルマをつくる会社からモビリティカンパニーにモデルチェンジする」と2018年に宣言。今年は「Woven City」の名前とともにまちづくりに乗り出すことも宣言したトヨタ自動車。その一環として2019年2月にサービスをスタートしたのがクルマのサブスクリプション、つまり定額制サービスの「KINTO(キント)」だ。

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トヨタが日本で初めてクルマのサブスクを始めたわけではない。IDOM(旧ガリバーインターナショナル)が2016年から展開している「NOREL(ノレル)」がパイオニア的存在で、同社の得意分野である中古車が中心だが、ディーラーを経営している関係でBMWとMINIの新車も扱っている。

さらに2017年からはボルボが「SMAVO(スマボ)」の展開をスタート。こちらは新車中心だが中古車のメニューも用意している。

これらに対してトヨタのKINTOは新車のみでスタート。3年間で1台のトヨタ車に乗れる「KINTO ONE」と、3年間で6種類のレクサス車を乗り継ぐことができる「KINTO SELECT」の2種類でスタートした。いずれも車両価格だけでなく登録諸費用、自動車税、任意保険、定期的なメインテナンスが含まれており、販売店だけでなく専用ウェブサイトからも申し込み可能だ。

華々しいスタートが切れなかった理由とは?
昨年末に開催された説明会では、東京地区で試験導入した3~6月の4カ月間で83件、その後の全国展開では7~11月の5カ月間で868件という申し込み数が発表された。日本自動車販売協会連合会が発表した、昨年の日本国内でのトヨタ車の販売台数は155万1204台なので、単純計算すればKINTOのシェアは0.74%にすぎない。

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しかしながら昨年はBMWの新車販売の約9%を占めたというSMAVOの数字もある。つまり可能性のあるマーケットと言える。だからだろう、2月には本田技研工業(ホンダ)、3月には日産自動車が、それぞれ独自のサブスクサービスを導入している。

注目はホンダだ。現時点では埼玉県の1店舗限定ではあるものの、トヨタや日産が最低3年契約なのに対し、「ホンダ・マンスリー・オーナー」という名前のとおり、最短1カ月からという短期で利用できる。新車を売るのが主な仕事である自動車メーカーでありながら、中古車専門というところも特徴だ。

実は前出のNORELも、ホンダと同じ2月からは「マイカー・トライアル」という名前で、やはり最短30日からのメニューを用意している。

KINTOもひんぱんに内容をバージョンアップしている。昨年12月にはレクサス限定のKINTO SELECTの名前を「KINTO FLEX」に変えるとともにプランを追加し、トヨタ車だけだったKINTO ONEにはレクサス車を加えると、4月にはKINTO ONEのプラン充実とともにオプションパッケージを用意した。

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注目は従来からある3年プラン、新設した5/7年プランすべてに、「のりかえGO」というオプションを用意したこと。3年プランでは1年半後から、5/7年プランでは3年後から、オプション料金を払うことで乗り換えを可能とするものだ。これらは5月下旬開始としている。

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ちなみに日産の「ClickMobi」は新車が対象で3/5/7年の3プランと、乗り換えオプションがないことを除けばKINTO ONEに似ている。

ボルボのSMAVOは、新車では3年契約で2年後から乗り換え可能な「SMAVO 2/3」と、5年契約で3年後から乗り換え可能な「SMAVO 3/5」があり、良質な中古車を対象とした「SELEKT SMAVO」は1年契約になる。

つまり新車・中古車を合わせてざっくり分けてしまうと、長期型のトヨタと日産、中長期型のボルボ、短中期型のIDOM、短期型のホンダになる。

同じブランドを長く乗り続けたい人、それに見合った安定した収入が得られる人なら長期型がいい。ボルボには根強い支持者がいるし、ユーザーの平均所得は日本車より上と予想されるので、SMAVOの利用率が高いのだろう。トヨタや日産もブランド定着を狙って、長期プランを中心に構築したのではないかと思っている。もちろん新車であれば販売台数増加も見込めるし。

しかしそれは平常時の判断である。今は非常時。先が見えない状況の中、仕事を失ってクルマどころじゃないという人が多くいる一方で、リモートワークができない地方の労働者、そしてエッセンシャルワーカーは、日々の通勤のために急にクルマが必要になったりしている。

状況が刻々変化するので長期契約は難しい。

しかしレンタカーやカーシェアリングは前に乗った人が心配。そんな人たちに短期型サブスクは最適かもしれない。一部のメディアはすでに利用が増えつつあることを報じている。感染が収束して平常に戻っても、一定の需要があるだろう。

音楽や映画のサブスクは、一定の料金を支払えば自由に作品を鑑賞できる。クルマのサブスクもどれだけ自由に使えるかがキモではないかと、新型コロナウイルスが教えてくれているのかもしれない。

Text & Photos:Masayuki Moriguchi

森口将之プロフィール

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モビリティジャーナリスト。移動や都市という視点から自動車や公共交通を取材。日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員、グッドデザイン賞審査委員などを歴任。著書に『Maas入門 まちづくりのためのスマートモビリティ戦略』(学芸出版社)など。

KINTOについてはこちら
SMAVOにちてはこちら
ホンダマンスリーオーナーについてはこちら
日産ClickMobiについてはこちら

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