LIFESTYLE ユキサイクロペディア2020

東京・白山「映画館」──ジャズ喫茶を極める(後編)
いわゆる“赤峰塾”で学びを始める2人の未来

「ドクトル赤峰のファッション哲学とスタイルはよく分かったが、ドクトルを形成している“栄養分”を知りたい」──という声に応えて、赤峰幸生の衣食住に迫る連載をスタート。第2回に訪れたのは、都営三田線・白山駅のA-3出口からほど近くにあるジャズ喫茶「映画館」

今年1月からドクトル赤峰の事務所「インコントロ」でアシスタントをスタートした渡邉耕希さんがジャズとの接点を語り始めます。

(※こちらは3月後半に取材したものです。新型コロナ感染拡大防止のため、不要不急の外出はお控えください)

→前編はこちら

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平成生まれの2人のアシスタントの着こなしを拝見

連載一回目の人形町「㐂寿司」に登場した 24歳の田代一輝さん(上奥)が着用しているのは、「AKAMINE Royal Line」のスーツで、生地はドクトルが選んだヴィンテージ。その田代さんをして、「渡邉さんはスーツヲタク」と言わしめる渡邉耕希さん(上左)は 28歳。ダブルのスリーピースでFORZA STYLEに登場です。

渡邉 これは、ロンドン・サヴィルロウのビスポークテーラー「Cooling Lawrence and Wells(クーリング ローレンス&ウェルズ)」のスリーピースで、イギリスの地方のマーケットでホコリだらけだったのを見つけました。地面に捨てるように置いてあったのを着てみたらサイズがぴったりで、破格の値段で買いました。シャツはAKAMINE Royal Lineで、ネクタイもカフリンクスもヴィンテージです。

田代 僕はイギリスの古着から洋服が好きになっていったんですが、実はインコントロに入る前から渡邉さんのインスタをフォローしていました。「すごいな、この人、どこの誰なんだろう?」と思って投稿を見ていて、インコントロに入ったらその渡邉さんがいてビックリしました(笑)。

渡邉 不思議な縁だよね。自分は基本的にはスリーピースが好きで、昔ながらの英国の組み合わせが多いです。

田代 自分もイギリスのカチッとした服が好きなんですが、背が高いのでヴィンテージはサイズが合わないんです。インコントロで「自分のサイズの服を着る」ということを覚えて、ドレスにますます興味が出てきました。

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ドクトルと、ジャズ喫茶「映画館」のマスター吉田昌弘さん

ヨーロッパにもあまりないマニアックな音源とこだわりの空間

ジャズ喫茶「映画館」は前編で紹介した通り、名作映画のポスターに囲まれながら、マスターの吉田昌弘さんが選曲する主にフリージャズを聴ける空間で、店内にはテーブル席とカウンター席があって20人ほどのキャパシティ。

入店してすぐは大音量に圧倒されますが、耳が慣れてくると、とてつもなく耳に心地良い音になってきて、耳から全身に音の一粒一粒が染み入ってくるよう。音が立体的に響いてきて、普段イヤホン慣れしている耳に、ものすごく新鮮です。ぜひ緊急事態宣言が明けたら一度行ってみてください。

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ドクトルの奥にあるスピーカーから素晴らしい音が鳴り響く

渡邉 実家がある愛媛の今治市には老舗のジャズ喫茶が2軒あって、父はジャズやブルースが好きですね。自分も帰省するとよくレコードを聴きます。

田代 最近の若い人は、フィルムカメラが流行っているように、アナログレコード回帰のようなブームがありますね。

渡邉 田代君はレコードをかけたことある?

田代 あ、針を落としたことはないですね。ジャズ喫茶も初めて来ました。僕は文系なので、クラシック音楽やジャズは新しい世界です。このスピーカーも見たことないセットなので、どこから音が出ているかも分からないですね。

渡邉 この「映画館」は1年半ほど前に赤峰さんに紹介してもらいました。かかっている音源がものすごくマニアックで、こういう店の雰囲気はヨーロッパにもあまりないので、外国人を連れて来ると皆感動しますよ。

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左が渡邉耕希さん、右が田代一輝さん

ジャコ・パストリアスのベースの音が耳あたりがいい理由

赤峰 渡邉君とは古着屋「ストレイシープ」の世田匡典君や「BONCOURA(ボンクラ)」の森島 久君と一緒に行ったイギリスのポートベローで初めて会いました。それで、渡邉君に現地ガイドと通訳を頼んだ縁です。

渡邉 ストレイシープの世田さんとは知り合って2年半ぐらいになります。ポートベロー以降、赤峰さんには日本に帰ってきたときに相談に乗ってもらっていて、インコントロにお誘いいただいたときには二つ返事で快諾しました。

赤峰 渡邉君は、「クラシックな服が好き」という洋服だけの人とは違って、ロンドンで歴史を深掘りして、肌感でクラシックというものをよく知っている。また、クラシック音楽をしっかり学んでいるのも良かった。

渡邉 日本にいたときからテーラード好きだったんですが、イギリスに留学してから古着の価値に目覚めました。

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赤峰 渡邉君はクラシック畑だけど、ジャズも大好きだよね。

渡邉 専攻がコントラバスで、学校ではクラシックを学び、オーケストラに入るつもりでイギリスに留学しました。クラシック畑の人間ってジャズはあまり聴かないイメージがあると思うんですが、実は大好きで、ジャズやブルースはもちろん、ロックやメタルを好きな人もいます。

田代 どんなプレイヤーが好きなんですか。

渡邉 高校の頃によく聴いていたのはベースのチャールズ・ミンガスで、最近はジャコ・パストリアスが好きですね。ギターだとケニー・バレルとか。コントラバスの演奏でフレットレスに慣れているので、ジャコパスの音が耳あたりがいいですよね。

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13歳からコントラバスを弾いて、ロンドンに留学して……

田代 どうしてコントラバスを弾くようになったんですか。

渡邉 小学6年生のときに家族で関西旅行に出かけたとき、母の友人が大阪フィルのポップスコンサートのチケットをくれて、聴きに行きました。それまで音楽は好んで聴かなかったんですが、オーケストラの生音に震えるほど感動して、特にその音圧にビックリして、食い入るように聴いていたら、コントラバスに目がいって、頭から離れなくなって、中学に入って吹奏楽部に入部しました。

赤峰 いわゆる初期衝動というやつだね。

渡邉 ちょうど映画『スイングガールズ』(2004年公開)が流行っていた頃で、ビッグバンドブームだったんですが、中学校のつぎはぎだらけのコントラバスで、コンクール以外はジャズを演奏していました。高校は音楽科に入り、学校ではクラシックをとことん勉強して、家に帰ったらエレキベースでマーカス・ミラーのまねごとをやるとか。13歳から楽器を弾いて、ロンドンに音楽留学し、夢はオーケストラに入るしかありませんでした。

赤峰 それで、本場で超一流の連中と一緒に学んでいるうちに、音楽はタフな世界だと思い、服飾で生きていきたいと相談に来たわけです。

渡邉 英国で、日本と欧州の音楽教育の違いを学べたことも大きいのですが、赤峰さんのインコントロでは、服はもちろん、食や暮らし方、衣食住のライフスタイルを学びたいと思っています。

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赤峰流に惹かれて、21世紀のメンズドレスを作っていく

田代 渡邉さんは赤峰さんのどういうところに惹かれたんですか。

渡邉 服だけでなく、一流を追い求めている姿ですね。赤峰さんが、「服だけ知っていて、頭でっかちになっているのはジェントルマンではないし、ジェントルマンにとって服はごく一部」とよくお話されていますが、イギリスに4年いて本当にそう思います。

田代 どういう体験をしたんですか。

渡邉 英国時代、いわゆる貴族、出の良い方にもお会いしました。彼らは決して暮らしぶりが良いとは言えないんですが、幼少から積み重ねている確固たる教養があって、それはいくらお金を持っている新興の富裕層でも絶対に勝てない。

赤峰 本当にそうですよ。

渡邉 ヨーロッパって同じ単語でも音が違って、それで出自や育ちの良さが分かる。21世紀でも残っているんですよね。

田代 そういうことを感じながら日本に帰ってきたわけですね。

渡邉 赤峰さんにあるジェントリーな姿勢に心を掴まれます。

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赤峰 自分も渡邉くんと田代君との出会いがあって、良い刺激をもらっている。一番大事なのは「気負うことなく普通にやる」ことで、例えば、筆で字を書くのは、上手に書くためではなく、筆で書くことで勢いが見えるし、きれいに見えるわけです。

彼らに今言っているのは、何でも触って、「これはウールの目付、何グラムだね」と手で覚えること。自分は20代からそれをクセにしていて、レストランのテーブルクロスでも無意識に触ってしまいます(笑)。洋服屋はまず、「材料を分かること」。それを立体にしていくのが仕事です。

渡邉 今日、自分はヴィンテージのスーツにAKAMINE Royal Lineのシャツなんですが、このままタイムマシンに乗って20年代や40年代へ行っても、「カッコイイ」と言ってもらえるはず。これが赤峰さんが長年研究されてきた成果なので、こういうスタンダードでタイムレスな服をもっと追究していきたいです。

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ジャズ喫茶 映画館
東京都文京区白山5-33-19
03-3811-8932
営業時間:16:00(目標)~23:00
※5月連休明けまで、時短営業で16:00~20:00
定休日:日曜、祭日

Photo:Riki Kashiwabara
Text:Makoto Kajii

 

<INFORMATION>
第4回 Akamine Vintage Sale開催!


恒例となった「Akamine Vintage Sale」を5月1日(金)より開催。今回は、コロナウイルスの影響によりオンラインでイベントを開催します。ドクトル赤峰が厳選したVINTAGE SHOPをはじめ、アパレル各社様のご協力のもと期間限定で商品を販売します。

LIVERANO&LIVERANO・スーツ・ジャケット・タイなど赤峰の私物、Akamine Royal Lineのスーツなど合計約300点を出品。「赤峰スタイル」を全国どこからでもお買い求めいただける、またとないイベントです。

開催情報は、ドクトルのインスタグラム(Instagram:@akamineyukio)で随時発信いたします。(販売はショッピングアプリ BASEにて行います)。なかなか外出できず、息苦しい昨今ですが、本イベントで存分にお楽しみいただければ幸いです。

第4回 Akamine Vintage Sale

会期:2020年5月1日(金)~10日(日)



お問い合わせは、こちらのメールアドレスへお願いします。


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