【グランドセイコー誕生60周年祭】「雫石高級時計工房」と聞いたら、もう伝説の予感しかしない！

今年はグランドセイコーの誕生60周年。それを記念した新作をご紹介する第2回目です。
 

「スプリングドライブ 5 Days」は、セイコー独自のスプリングドライブを搭載した、600m飽和潜水仕様のプロフェッショナルダイバーズウォッチ。

スプリングドライブは1999年にセイコーが開発。機械式時計と同様にゼンマイのほどける力を動力源とし、ICと水晶振動子により正確に精度を制御する、時計の歴史で初の革新的機構です。

温度変化や衝撃や振動など、外部環境の影響をほぼ受けない安定した時間精度をもつのも優れた特徴。その長所を活かし、宇宙空間やエベレスト登頂などの過酷な環境で高い実用性と信頼性を実証してきたスプリングドライブは、そのためプロフェッショナル仕様のダイバーズウォッチにも最適なムーブメントであるのです。

そして「スプリングドライブ 5 Days」の最大の見どころが、その名のとおりに、5日巻きのロングパワーリザーブに進化させた新型スプリングドライブムーブメント。サイズの異なる2つの香箱＝デュアルサイズバレルにより、省スペース化を実現しつつ、従来の約72時間＝3日間から約120時間＝5日間へ駆動時間を大幅にアップすることに成功しています。

新型ムーブメントのもうひとつの特徴が薄型化されたこと。前回ご紹介した「メカニカルハイビート 36000 80 Hours」と同じく地板を拡大し、輪列と自動巻き機構を同じ階層に置くことで、薄型化を実現。一方、歯車の輪列をムーブメントの中心近くに配置し、その上から一枚の板で軸を支えるワンピースセンターブリッジを採用。それにより薄型化されつつも、高い堅牢性や耐衝撃性を備えているのも特筆点です。

また、これも前回ご紹介した「メカニカルハイビート 36000 80 Hours」と同じく、ムーブメントの構想段階から設計チームにデザイナーを加え、見た目の美しさを追求したのも大きな特徴。ただし本格ダイバーズウォッチのためケースバックはソリッドで、残念ながらムーブメントを見ることは不可能です。

でも、中身のムーブメントが美しいことを知っていれば、それで満足。そういう他者にはわからない悦びを味わえるのがオーナーだけの特権というものですから。グリーンのダイヤルのモデルもあり、そちらも大おすすめです。
 

 

グランドセイコーに搭載される機械式ムーブメントの聖地が雫石高級時計工房。ヒゲゼンマイや歯車、ネジなどの部品の製造から、組み立て、調整、検査、出荷まで、すべてを一貫して行うマニュファクチュールです。

また「現代の名工」や「黄綬褒章」の受賞者を初め、時計技能競技大会で優秀な成績を修めた技能士が数多く在籍するのも特徴。卓抜した匠の技により世界最高峰の機械式時計が生み出されている、まさに日本の誇る高級時計の工房です。

この60周年記念の新モデルは、そんな雫石高級時計工房のある、岩手県雫石町をテーマにしたもの。「雫石町」の名前は約1000年前に付けられたもので、その語源は「滴石」という言葉だそう。当時の森の洞窟で天井から滴り落ちる「雫」が下の「石」に当たって音が鳴り響くのを、人々が「雫石」と呼んだのが始まりと言い伝えられています。

その雫が滴り落ちて石に当たる情景を、現代の名工である照井清氏が率いる彫金師達による熟練の技で表現。時針と分針の模様は滴り落ちる水滴をイメージ。インデックスは石に当たって跳ねた水を表現しています。

ダイヤルは18Kホワイトゴールド製の3枚のディスクから作られた別体構造。外側に向かってなだらかにカーブした部分にも高度な技術によりアワーマーカーを彫刻。12時位置のブランドロゴと、6時位置のSD（Special Dial＝貴金属のインデックスを採用したダイヤル）マークも、手彫りで彫金されています。
 

もうひとつの60周年記念の新モデルが、鮮やかなグリーンのダイヤルが印象的なモデル。雫石高級時計工房から臨む白樺の森がもつ力強さを、グリーンのダイヤルと、そしてダイヤルに施された立体的な模様で表現しています。

美しいダイヤルのパターンは、原版を忠実に再現する機械彫りの技法によるもの。ダイヤルの5倍の直径の原版を読み取り、振動させながらダイヤルの外側から中心に向かって刃物で彫り模様を刻み込む。その精緻な模様が、夏の日差しを受けて煌めく白樺の白い幹と緑の葉との、美しい情景を思わせるのです。

【問い合わせ】
セイコーウオッチお客様相談室
0120-061-012
https://www.grand-seiko.com

Text：Yutaka Fukuda