人生には、どうしても手放せなかった服、そう「捨てなかった服」があります。そんな服にこそ、真の価値を見出せるものではないでしょうか。そこで、この連載では、ファッション業界の先人たちが、人生に於いて「捨てなかった服」を紹介。その人なりのこだわりや良いものを詳らかにし、スタイルのある人物のファッション観に迫ることにします。
ニット選びの基準は、毛玉が できにくいこと
独立後 八面六臂の活躍を見せる、世界のファッションアイコン 小木"Poggy"基史さんに続いて登場するのは、編集長干場とともに手掛ける「WH」を筆頭に、数々の名靴を世に送り続けるシューズデザイナーの坪内浩さん。
坪内さんが膨大な数を所有してきた中でも捨てられなかった服をご紹介する企画の第7回目は「ドリス ヴァン ノッテン」のニットです。

このニットは、確かパリのボン・マルシェ(Le Bon Marché)で買いました。このレトロな雰囲気がグッときて、即購入したのを覚えています。
購入したのは、前回紹介したラングとかと同じくらいの時期だから、90年代後半くらいですかね。
わりとローゲージを好む傾向はありますが、パッと見たときに可愛いと思ってしまったら、持ってる服に合う合わないは関係なしで買ってしまうんです。買ってから考えればいいかなくらいな感じで。
インナーにシャツを着て、当時はドルチェ&ガッバーナのパンツなんかを合わせて着こなしていた気がします。

できるだけ毛玉ができないようにケアをして、ニットは寿命を全うできるまで手放さないことが多いので比較的手元に残っているものが多いんです。そんな経験から、毛玉ができやすいニットは、あまり好きではないんです。
だから、ニットを買うときは 最初に毛玉ができなそうなものを選ぶクセがついていますね。
おそらく、このニットも傷んで着られなくなるまで捨てることはないかと思います。
Photo:Shimpei Suzuki
Edit:Ryutaro Yanaka

シューズデザイナー
エスペランサ靴学院卒業後、靴業界のコンサルティング会社ジャルフィックに入社、各メーカーの企画デザインに携わる。フリーランスのデザイナーとして活躍した後に、マグナム創立に参画して「プレミアータ ウォモ」や「エンツォ・ボナフェ」を日本に紹介。2008年より長年のキャリアの集大成として、自身の名を冠したブランド「HIROSHI TSUBOUCHI」をスタートし、現在はFORZA STYLE編集長の干場と「WH」も手掛ける。
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