人生には、どうしても手放せなかった服、そう「捨てなかった服」があります。そんな服にこそ、真の価値を見出せるものではないでしょうか。そこで、この連載では、ファッション業界の先人たちが、人生に於いて「捨てなかった服」を紹介。その人なりのこだわりや良いものを詳らかにし、スタイルのある人物のファッション観に迫ることにします。
穿いてるとよく「どこのデニム?」って聞かれました。
独立後 八面六臂の活躍を見せる、世界のファッションアイコン 小木"Poggy"基史さんに続いて登場するのは、編集長干場とともに手掛ける「WH」を筆頭に、数々の名靴を世に送り続けるシューズデザイナーの坪内浩さん。
坪内さんが膨大な数を所有してきた中でも捨てられなかった服をご紹介する企画の第6回目も「ヘルムート ラング」で、ジーンズです。

これもGジャンと同様、ロウデニムの状態から穿いては洗ってを繰り返してるうちに、ここまでの色になりました。

穿き込むうちに、膝も破れてしまってリペアをして貰ったんですが、加工に見えるのか、穿いているとよく「どこのブランドのデニムですか?」って聞かれましたね。
意図して色落ちさせた訳ではないんですが、自然な色落ちをして、すごくイイ色に仕上がりましたし、アタリやヒゲなんかもキレイに出ました。

シルエットは綺麗だし、他のデニムメーカーのものよりも穿きやすいところに惹かれたんですが、かつてはよく買いましたし、本当によく穿いていました。色落ちを見て貰えば、伝わると思いますが。
他のもあったんですが、これがアタリだったのか……、色落ち具合が抜群に良くて。自然と穿く回数が増えて、ここまでになっています。
このジーンズもきっと捨てることはないかと思います。
Photo:Shimpei Suzuki
Edit:Ryutaro Yanaka

シューズデザイナー
エスペランサ靴学院卒業後、靴業界のコンサルティング会社ジャルフィックに入社、各メーカーの企画デザインに携わる。フリーランスのデザイナーとして活躍した後に、マグナム創立に参画して「プレミアータ ウォモ」や「エンツォ・ボナフェ」を日本に紹介。2008年より長年のキャリアの集大成として、自身の名を冠したブランド「HIROSHI TSUBOUCHI」をスタートし、現在はFORZA STYLE編集長の干場と「WH」も手掛ける。