パッと見どこのブランドか分からないのも魅力です
さて、147回めは珍しく「グッチ」。ペッカリー(ヘソイノシシ)レザーで作られた小振りなショルダーです。
第二次世界大戦中は、生産どころか革の仕入れすらままならない状態が続き、戦後にやっと革製品の生産を再開させたグッチは、耐久性があり、強くて丈夫なペッカリーを採用。後にグッチを代表する革になっていったのは有名な話ですね。
最近はカーフスキンがメインとなり、ペッカリーを使ったバッグは ほとんど生産されておらず、段々レア度が上がっています。
こちらもヴィンテージを探して貰って清水ダイブしたんですが、状態の良いものを手に入れたとは言え、結構ガツガツと使い込んでも へたることなく美しい状態を保っています。
サイズは幅 28cmで 高さが 22cm、結構マチもあるので、それなりに荷物も入ります。内側にはオールドグッチを象徴するクレスト(紋章)のゴールドチャームがついたジップポケット、外にもポケットがあるので、小分けにも便利。パソコンを持ち歩かないときなら仕事でも使えています。
あと、なんと言ってもの魅力は パッと見どこのブランドか分からないところ。フロント見ただけじゃ、一切分からないし、横にさり気なく配されたロゴも型押しされてるだけなんで、よく見ないと分からない。
ただ 質は素晴らしく、佇まいも美しいから ホントによく「どこのバッグですか」と聞かれますね。いまのグッチも面白いんですが、やっぱりこの頃の質が良く、上品な革製品に惹かれます。
創設者であるグッチオ・グッチは「子どもにはミルクよりも革の匂いを嗅がせろ」なんていう家訓を称えたそうで、革には相当なこだわりを持っていたみたいですからね。お家騒動で残念ながら とんでもない結末を迎えますが、イイ物作りはしていたと思います。
モノグラムだったり、大きめなボストンとかは まだまだ見かけるんですが、男性でも使えるデザインで、小振りなものを見つけるのは なかなか大変。知り合いに探して貰ってストックさせてますが、球数は多くはない。
局地的にブレイクしたら…、なんて企んでますが、そもそもそこまで値が上がるものでもないし、全然数が足りない。ひと山当てて左団扇なんてのは 夢のまた夢です(笑)。
Photo:Shimpei Suzuki
Text:Ryutaro Yanaka