■症状別! +αで摂りたい食べ物
では、ここからは症状別で摂るべき食事内容について解説します。同じ「風邪」だとひとまとめにせず、自分の症状にはどの栄養素が必要なのか見てみましょう!
①頭痛
・大豆、豆腐
大豆製品に含まれるマグネシウムやビタミンB2には、片頭痛を予防する効果があるといわれています。消化にも良く、取り入れやすい食材です。また納豆はスーパーやコンビニで1パックから売っていて、食べる前の調理や食べ終わった後の皿洗いをしなくていいので、だるくて動きたくないときでも手軽に食べられますよ!
・ひじき、ワカメなどの海藻類
海藻類にもマグネシウム・ビタミンB2の両方が含まれています。海藻には風邪の最中に不足しがちなミネラルも多く含まれます。お味噌汁なら味噌(大豆)と海藻の両方をいっぺんに摂取できるのでピッタリですね! 料理する気力がない人でも、インスタント味噌汁ならスーパーやコンビニで簡単に手に入り、具材の種類もいろいろ選べるのでオススメです。
・炭水化物
炭水化物を摂らないと脳のエネルギー源が不足してしまい、それが頭痛の原因になってしまうことがあります。おにぎりやパンなどであれば、片手で食べられてエネルギーをしっかり補給できます。
<食べちゃダメなのは?>
チョコレート、チーズ、ピーナッツ、豚肉、人工甘味料などは片頭痛を引き起こすといわれますが、人によって片頭痛を引き起こすきっかけや、その強さは異なります。あまり神経質にならないほうが良いでしょう。飲酒や喫煙は頭痛を誘発してしまうので、頭が痛いときは我慢してくださいね!
②鼻水
・かぼちゃ
風邪のときに失われがちなビタミン、ミネラルを豊富に含むかぼちゃは、栄養の宝庫。中でもビタミンAは粘膜の乾燥を防ぎ、のど・口・鼻のバリア機能を高めます。
スーパーのお惣菜で売られているかぼちゃサラダやかぼちゃの煮物、お湯を入れるだけで簡単にできるパンプキンスープなどで取り入れてみてください。かぼちゃ以外の緑黄色野菜もビタミンAを多く含むのでオススメです。
・トマト
トマトには炎症から生まれる余分な熱を取り除く働きがあります。また、トマトに豊富に含まれるリコピンには、ウイルスへの抵抗力をアップさせる効果があります。ただし、寒気があるときは体を冷やしてしまうので注意しましょう。トマトジュースなら食欲があまりないときも飲みやすいですね。
③せき、たん
・春菊
春菊の香り成分には、たんを切り、せきを鎮める働きがあります。ついでに胃もたれを解消し食欲増進もサポートしてくれます。
特にせきがしつこく残り、体力を消耗しがちな治りかけの時期にうってつけです。ただし加熱しすぎるとビタミンCなどの栄養素が減ってしまうだけでなく、独特の苦味が増して食べにくくなるため、生で食べるかサッと湯にくぐらせるようにしてみてください。
・はちみつ
アカシアはちみつとそばはちみつはせき止め薬に匹敵する効果がある、という研究もあるほど、はちみつのパワーはすごいのです。また、はちみつと相性ピッタリの生姜も「せき止めの妙薬」なんて呼ばれています。
生姜をおろして熱湯を注ぎ、はちみつとレモンを入れて少し冷ましてから飲むと、栄養を摂ってせきやたんの症状を改善できるだけでなく、やさしい味わいで心身ともに温まりますよ。
④のどの痛み
のどの痛みは、のどの粘膜が傷ついているサイン。殺菌や抗菌作用によって細菌の侵入を防ぐことで、さらなる感染の予防になります。また、保湿・保温効果で喉が潤うと、乾燥による痛みが生じにくくなります。
・ねぎ
ねぎに含まれる成分であるアリシンには殺菌効果があり、ネギオールには抗炎症作用があります。また、ねぎには食欲増進・疲労回復効果もあるため、風邪にピッタリの食材です。
ねぎの味噌汁なら、スーパーやコンビニで売られているインスタントのものにもありますよね。寒い季節ならお鍋にすると、他にも野菜を切って入れるだけで栄養をたっぷり摂れて、体もポカポカになります。便利な鍋の素を活用すれば、味付けの手間を省くことができますよ!
・大根
大根のアリルイソチオシアネートという成分には抗炎症作用、殺菌作用があるとされています。じっくり煮込むことで、のどに負担をかけることなく食べることができます。時間をかけて煮込むのが面倒なときも、コンビニおでんが売られている時期なら、手軽にトロトロしみしみの大根を味わえますね。
・梨
梨のソルビトールという成分は炎症に対する解熱効果があります。また梨は、カリウムやビタミン、水分も豊富に含んでいます。
時期にもよりますが、カットフルーツで梨が売られていれば、皮をむいて切らなくてもすぐにおいしく栄養を摂ることができます。
・ゆず
ゆずはビタミンCが豊富で、粘膜の保湿や保護効果があるため、のどを保湿して痛みを軽くしてくれます。スーパーやコンビニではゆずを使ったアイスやシャーベットなどが売られていて、のどが痛いときでもツルリと食べられます。
・黒豆
黒豆のアントシアニンはのどの痛みに良く、たんを取り除く作用があると言われています。スーパーやコンビニで売られている黒豆の煮物などは、パックやパウチで手軽に食べることができます。
・ハーブティー
カモミールやユーカリなどのハーブティーには、のどの痛みを鎮める働きに加えてリラックス効果もあります。熱すぎてやけどしてしまうなどの事態にならないよう、適度に冷まして飲むようにしましょう。スーパーで売られていることもあるティーバッグのものは、茶葉から淹れる元気がないときの味方になってくれます。
・緑茶
緑茶には、殺菌作用に優れていることで有名なカテキンが含まれています。ただし市販の緑茶の多くはカフェインも含んでいるため、寝る前に飲むと眠りが浅くなってしまい、風邪の回復の妨げになる恐れも。夜はノンカフェインのハーブティーやホットミルクがオススメです。
<食べちゃダメなのは?>
唐辛子やからし・わさび・マスタードなどの辛いものは、さらにのどの炎症を悪化させてしまいます。また、炭酸水やアルコールも喉を刺激します。アルコールは肝臓にも大きな負担がかかってしまうので、体調が悪いときは控えたいものです。固い食べ物は、のどを通るときに刺激を与えてしまう恐れがあり、炎症を悪化させる場合があるので注意が必要です。
<市販ののど飴の意外な秘密>
のど飴として売られているものなら、効き目はどれも同じだと思っていませんか? しかし実はそうではないのです。
のど飴には「医薬品」「医薬部外品」「食品」という3つの区分があります。そのため、購入する製品によって効果も異なります。
医薬品ののど飴は成分による効能が認められており、ドラッグストアや薬局でしか購入できません。用法・用量を守ることも必要で、ただのキャンディではなく薬の一種と言ってもいいでしょう。ひどいのどの痛みのときには医薬品のものを選ぶのがオススメです。トローチやドロップタイプ、ノンシュガーなど、味や形状もいろいろ選べます。
医薬部外品ののど飴は医薬品に比べると効き目が穏やかです。スーパーやコンビニのお菓子コーナーに売られているような食品ののど飴は、味もおいしくのどがスッとしますが、医薬品や医薬部外品のように効果効能を持つわけではありません。気分転換になる程度だと思っておきましょう。
⑤悪寒
・生姜
生姜の独特な香りと辛みは、血行を良くし、体を温める効果を発揮してくれます。肉と一緒に料理することで、肉の臭みを抑えるだけでなく、肉をやわらかくする効果もあり、消化を助けてくれます。また生姜スープはコンビニなどで豊富に展開されていて簡単に手に入ります。
⑥倦怠感、だるさ、発熱
・豚肉
豚肉は、肉の中でも疲労回復に良いとされています。また、肉のたんぱく質を構成しているアミノ酸には、風邪を予防する効果も。弱って体力が落ちたとき、風邪でスタミナ不足になったときに最適な栄養食品です。
豚肉をはじめとするビタミンB1を多く含む食べ物は、糖質をエネルギーに変えて体の疲れやだるさを軽減する効果があります。豚肉と一緒に炒めるとおいしいねぎや玉ねぎ、ニラやにんにくに含まれるアリシンは、ビタミンB1の吸収を助けてくれます。風邪のときは、消化にも良い豆腐や胚芽米などもビタミンB1が豊富でオススメです。
・卵
卵は完全食に近いといわれるほど、非常にさまざまな栄養を含んでいる万能な食材。食欲がなく栄養不足に陥りがちな風邪には最適なのです。
発熱があるとき、体の中では白血球がウイルスと戦っており、エネルギーがたくさん消費されます。そのためたんぱく質が不足しがちになりますが、消化しにくいものを食べると内臓が余分に働くことになり、よけいに体力を消耗してしまうのです。
しかし卵ならスープやプリン、雑炊など、消化に良い調理法がたくさんあります。これらはスーパーやコンビニで手に入りやすく、だるくても食べやすいものばかりですよね。
他にも卵は、免疫力を高めたり、のどの痛み・せきや熱を抑えたりする働きがあるともいわれ、風邪のときはまず卵を摂ると覚えておいても良いくらいです。
⑦下痢、嘔吐
・れんこん
れんこんにはエネルギー源となるでんぷんが栄養素として入っています。また胃壁を防御するぬめり成分や、疲れた胃腸に良いタンニン、免疫力を高めるビタミンCも含まれているので、弱った体に最適な食材です。れんこんのビタミンCはでんぷんで守られているため、加熱しても壊れにくいことで知られています。スーパーのお惣菜コーナーにあるきんぴられんこんや筑前煮などがオススメ。
・りんご
りんごは弱った胃腸にピッタリな食材です。食物繊維やミネラル、カリウムが豊富に含まれていて、消化促進、胃の粘膜の保護、胃酸の量の調整、下痢で腸が傷つくのを防ぐ、などさまざまな働きがあるといわれています。また、クエン酸・リンゴ酸を豊富に含んでいて、疲労回復にも効果があります。
すりおろすと消化しやすく、胃腸に負担をかけないため、症状がひどいときはすりりんごがオススメです。またりんごはカットフルーツの定番なので、スーパーやコンビニでもすぐに買うことができますね。
⑧便秘、食欲不振
・さつまいも
さつまいもは、食物繊維が豊富で腸の動きを活発にしてくれるほか、さつまいもにしか含まれないヤラピンという成分が便を軟らかくするため、便秘解消には効果てきめんの食材です。
また意外なことにビタミンCがいも類の中で最も多く含まれているなど栄養たっぷりのさつまいもは、食欲がない時こそおすすめの食材です。食欲がなくても甘いものなら食べられる、という人も多いのでは? 焼き芋はもちろん、さつまいもを使ったコンビニスイーツなども種類豊富なので、ぜひ探してみてください。
・ヨーグルト
のどごしが良く、冷たいヨーグルトは風邪のときの食事にうってつけ。免疫力を高める効果も期待できるうえに、整腸作用があり腸内環境を整えてくれるので、胃腸の不調を招きやすい夏風邪にもピッタリの食品といえます。
スーパーやコンビニでも小分けのものから大容量、ドリンクタイプのものまでたくさんの種類があるので、お気に入りを見つけてみてくださいね!
・バナナ
オリゴ糖や食物繊維が豊富で胃腸にやさしく、便秘への効き目があるバナナ。風邪で弱ったときにもオススメなんです。バナナに豊富に含まれるカリウムには利尿作用があり、水分や毒素を排出し熱を下げる効果が知られています。しっかり水分補給をしながら摂りましょう。
皮をむくだけでパクパク食べられて、スーパーで他のフルーツと比べて手ごろな価格で売られているバナナなら、毎日の朝ごはんなどに取り入れやすいですよね。これを機に朝バナナを習慣にする、なんてのもアリ!
■まとめ
いかがでしたか? 風邪を治すには、しっかりした栄養と睡眠が不可欠です。今回ご紹介した食べ物できちんと症状を治し、しっかり動ける元気な体に戻していきましょう!
Text:K.M
Photo:Getty Images