この簡素な美しさが理解できてこそ大人の男です
第28回目は、順理庵の名刺入れです。
精密性、耐久性、機能性、信頼性、すべてにおいて世界に誇れるメイド・イン・ジャパン。若かりし頃は、イタリアやフランス、アメリカなど華やかなブランド力に魅了されてしまうものですが、多くの海外製品に触れてきた違いのわかる大人たちは、最終的にメイド・イン・ジャパンに辿り着く。ユナイテッドアローズ名誉会長の重松理氏もそのひとりです。世界中で数多くの上質なブランドに触れてきた重松氏が手がけるショップ「順理庵」では、日本製にこだわった違いのわかる大人のためのアイテムが揃います。
順理庵には重松氏の審美眼に適ったものだけを厳選してセレクトしており、すべてが本格的なメイド・イン・ジャパン。服は縫製だけでなく、染色、織りまですべて国内の工場で手がけています。順理庵で販売することで、職人の技術を保護し、後進を育成するという目的もあるとのこと。また衣料品だけでなく、木工品や漆器など和の生活道具を展開しているのも同店の特徴です。
今回紹介するのは京都で作られた名刺入れ。樹齢数百年という希少な柿の古木のなかでも、さらに貴重な黒い紋様の入った黒柿という素材を使用。この紋様の美しさをそのまま活かした木地仕上げは京都指物の特徴で、歳月を感じさせる紋様からは風格が感じられます。
名刺入れとしてはかなり高額ではありますが、伝統工芸品で10万円以下はむしろお買い得。机の上にさり気なく置いておくだけで、違いのわかる大人感が格段に上がることは間違いありません。
Photo:Naoto Otsubo
Styling:Takahiro Takashio
Text:Tomomi Nishihara
【問い合わせ】
順理庵 銀座本店
03-5537-7021
http://www.junrian.com/