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LIFESTYLE 妻のトリセツ

逆気絶しないための【妻のトリセツ】§7. 妻の不穏には先手必勝!「できる」「できない」じゃない、やるかやらないかだ!

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男はなぜ、妻を褒め続けられないのか

 男は、妻を褒めるのが苦手だ。
 その理由の一つとして考えられるのが、空間認識力が高い男性の拡張感覚。男性脳の拡張感覚は女性脳よりはるかに高く、バイクのメカや道具を、自分のからだの一部のように感じている。まるで、神経がつながっているような感覚でバイクを操り、道具を使う。そしてどうやら、長く一緒に暮らしている女性を、その能力を使って、自分の一部のように感じてしまうようなのだ。
 自分の右手をわざわざ褒めないように、男は妻を褒め続けたりしない。自分の右手に「愛しているよ」と言わないように、男は妻に愛を伝えたりしないのだ。

 拡張感覚の低い女性脳は、一体感がないゆえ、言葉の「きずな」を欲しがるが、男には、なかなかその気持ちは通じない。
 夫の一部になってしまった妻は、男にとって、一体化すればするほど、愛の言葉ももらえないし、一生懸命料理を作っても「美味しい」とも言われず、髪を切ってきても「いいね」のひとこともないと嘆くことになる。
 夫たちよ、褒めることなど思いつきもしないほど一体化した妻に、もし先立たれでもしたら? きっとからだの一部をなくしたかのような喪失感があるはずだ。ときには、妻に愛の言葉をプレゼントしようではないか。

ナンバーワン? オンリーワン?

 自分の気持ちに敏感な女性脳は、大切な相手に対して、褒めたり、慈しむ言葉をかけたりすることを「愛の証」だと思っている。当然のように、相手からも同じような言葉が返ってくることを期待している。

 ここで注意をしなければならないのは、男性脳と女性脳では、嬉しいと感じる褒め言葉に違いがあるということだ。対象となるものを基点にして、自分の立ち位置を把握する男性脳は、「一番」と言われるのが好き。たくさんの人の中で、比較されて「あなたが一番」と言われたら気分がいい。

 しかし、女性脳が好きなのは、唯一無二。男は、自分が言われて嬉しいから、「君が一番きれいだ」などと言いがちだが、比べる対象がいるだけで、女はなんとなく不愉快な気持ちになる。
 だから、「一緒にいることに意味がある。そんな女は君だけだ」「自分にとって、君がオンリーワンの女だ」という言葉はハートに刺さる。

タイミングをはずすと努力もだいなしになる

 ときどき、喧嘩の翌朝に険悪な雰囲気をなんとかしようとして、仏頂面の妻に「きれいだね」などと言って、新たな火種を作る夫もいるが、これはダメ。見え透いていて、作戦はバレバレだ。
 だから、妻を褒めるときは、本人が幸せな気持ちでいるときが鉄則。たとえば、おしゃれをして出かけたレストランで、白いワンピースを着ている妻に向かって、「今日はきれいだね」と声をかければ、「何言ってるのよ、今更」と言いながらも嬉しいはずだ。

 朝ご飯を褒めるのも一緒。しっかり時間をかけて作った朝に「君の朝ご飯を毎日食べられて嬉しいな」と言うのは効くが、忙しくてバタバタして、出来合いをチンして出したようなときに言われたら、「いやみか?」となって逆効果である。
 褒め言葉を、マイナスをプラスにするための道具として使うのは、戦略としてはイケてない。幸せなとき、つまりプラスの上にプラスを乗せれば、その効果は予想以上に大きくなる。

見本は欧米の男たち。エスコートをルールにしよう

 一日に一度は「愛している」と言い、朝はキスをして「行ってきます」と出かけ、レストランでは奥の席に座らせ、階段を下りるときは、先に立って腕を支え、重い荷物は持ってやり、君はきれいだと囁ささやく、ソンナオトコニボクハナリタイ……と、思っているかどうかはともかく、これは欧米の男たちが、日常的にやっている言動である。

 男女平等だと叫んでおきながら、こういうときだけ、女をふりかざすなんてズルイと思うだろうか。しかし、哺乳類である人類の女性たちは、残せる個体数が少なく、生殖リスクが高い。だから、比較的栄養に恵まれ、自らが所属する系の中で、比較的優遇されていないと、生殖を安全に完遂できない。つまり、「えこひいきされたい」「大切にされたい」という気持ちは、ふわふわした恋心ではなく、やむにやまれぬ生殖本能なのである。欧米男子たちのレディ・ファーストというマナーは、女性脳の本能にぴったりかなっているのである。

 そもそも、男性脳には、女性脳が勝手に夢見る「包み込むような思いやり」という機能はついていない。標準装備ではなく、経験で培うオプションなのである。欧米の男たちとて例外ではない。彼らは、自然に思いやって行動しているわけではなく、子どもの頃から、母親にこのエスコートを男の心得として叩き込まれるのだ。だから、小学生男子であっても、電車やバスでは、女性に席を譲り、レストランでは、おばあちゃんやお母さんが座るまで、決して座らない。

 ここは欧米男子にならい、エスコートをルールとして身につけよう。「妻と歩くときは、車道側を歩く」「階段を下りるときは、足元を気遣う」「レストランやカフェでは奥の席に座らせる」「レストランやカフェでは、妻が座るのを待ってから座る」「ドアを先に開けて待つ」など、とりあえずやるべきことはこれくらい。男がルール順守の責務としてやっていることでも、妻には夫の優しさ=愛だと感じられるから、外出時に妻の機嫌を損ねることは減るはずだ。また、エスコートが自然に身につくようになると、洗練された男に見えて自分も得をする

言葉の飴玉を欲しがる女性脳

 女性脳は、決まりきった言葉を欲しがる癖がある。特に、夫のことが大好きな妻は、「私のこと好き?」「私がいないと寂しい?」と、同じ質問を繰り返す。答えは「もちろん大好きだよ」「寂しいに決まってる」と、これも定型の肯定を繰り返すだけでいい。へそ曲がりな男は、この決まりきった質問に対して「どうかな?」とか「そういう君はどうなの?」と、変化球で返そうとするが、この場合に茶化すのは得策ではない。女はわかりきった定型の答えを、飴玉を舐めるように何度も舌の上で転がして楽しみたいだけなのだから。

 女同士なら、「あなたの今日の口紅の色ステキ」「そう? ちょっと派手じゃない?」「ううん、全然。肌の色がきれいに見える」「嬉しい。春だから新しいの買ったのよ」「いいね。華やいで見える」などと、バリエーションを加えながら何度も繰り返す。

 したがって、相手の男に飽きていないかぎり、女は「好き?」「もちろん、大好きだよ」みたいな会話を毎日でも繰り返す。つまり、妻から定型の質問が飛んでくるうちは、ちゃんと惚れられているということだ。

愛していると言ってやれ。ありがとうでもいい。

 ただストレートに「私のこと愛してる?」「好き?」「かわいい?」と投げてくるのは、素直で天真爛漫な妻で、これはわかりやすい。男にとって問題なのは、定型の肯定が欲しいくせに、変化球で聞いてくる妻だ。むしろ、ほとんどの妻の質問は変化球だと思ったほうがいい。ツンケンした態度をとったり、不機嫌になったり、口をきかなくなったりする。そして、「私のことなんてどうでもいいんでしょ」とか「私に1ミリも興味ないよね」などと言い出す。「私はあなたのお母さんじゃない」「あなたはお手伝いさんがいればいいんでしょ」というバリエーションもある。

 しかし、求められている答えは一つ。「どうでもいいなんて思ってないよ。君のことが大好きだよ」でいい。
「あなたは、私の料理を何十年も黙々と食べているけれど、美味しいんですか、美味しくないんですか」という熟年離婚申し出のプロローグのような妻の一生分の恨みごとには、「君の作ってくれる料理で、僕は毎日頑張れている。仕事で辛いことがあって、もう何もかも嫌だと思っていた夜に、君のポトフを食べて生き返った日もある。本当に感謝しているよ」と、一生分の飴玉をあげよう。

 つまり、ストレートであれ、カーブであれ、フォークであれ、女がなんだかんだと絡むような物言いをしてくるのは、この「飴玉」が欲しいからだ。
 とはいえ、わかっちゃいるけど、その飴玉をなかなか言えないのが男性脳。この場合もルールとしてのエスコート術が役に立つ。妻の飴玉おねだりがうざかったり、面倒だったりするなら、先手必勝。先に飴玉をあげてしまえばいい。
 欧米の男たちのように「愛しているよ」「大好きだよ」が言えたらいいが、恥ずかしかったら「ありがとう」でも十分なのだから。

 

 photos:gettyimages

 

20万部突破!妻のトリセツ』著・編:黒川伊保子 定価:本体800円(税別)/講談社+α新書



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