1910年代のアメリカ海軍採用のデザインを忠実に復刻
ピーコートが昔から大好物で、ちょっと前までは他のブランドのものをよく着ていたんです。
でも、渋カジ時代にヴィンテージを血眼になって探していた僕にとって、こういうミリタリーものはディテールがオリジナルで忠実であって欲しいという気持ちが強いんですよね。だから前に着ていたのも、素材感はとても気に入っていたのですが、ディテールの再現がいまひとつで、ずっと高円寺の古着店などをチェックしていたんです。
ただ、古着は雰囲気がいいんですが、経年変化の影響か、素材のメルトンウールがガチガチに硬くなっていて、とてもじゃないけれど着ようとは思えない……。
そんなとき、ネットサーフィンをしていて目を奪われたのが、このバズリクソンズの一着でした。ご存知の方も多いと思いますが、バズリクソンズはフライトジャケットの魅力を余すことなく伝えたいという想いから、1993 年に設立された日本のブランド。
その精巧なリプロダクトは、所有する実物を徹底的に分解して検証し、製品化されています。素材も複数の専門調査機関へテストを依頼して研究し、経年変化まで入念に調べ上げるそうです。裏地やジッパー、ポケット袋地などのパーツの復元にもこだわり、これもまさに「大迫、半端ないって!」ピーコートなのです。
まず僕が気に入ったのは、フロントが10ボタンであること。しかも、アメリカの国章を表す13個の星が刻まれたアンカーボタンを用いています。
ちなみに13個の星は、1776年にアメリカ合衆国として独立したときの州が13であったことに由来。アメリカ海軍が下士官用コートとして採用した1910年代のデザインを忠実に再現しているんです。高密度のメルトンウール素材もオリジナルのまんま。スリット式のハンドウォーマーポケットの内側にはコーデュロイ生地を使い、見事に当時のピーコートを復元しています。
襟が大型なのは会場で作業する際、襟を立てて顔を覆い、強風対策を十分に確保できるように。すべてのディテールに、いちいち理由があるのも僕好みですね。
ダークネイビーのこのコートには、黒のニットに黒のパンツやジーンズを合わせるのが定番。イメージは、フランス人女優のオフの日のスタイル的な……(笑)。
ただね、本物に忠実であるがゆえ、やっぱり着てみると重いんですよ。そこで、このデザインをもとに、どこかのテーラーでカシミヤのメルトン素材にアレンジしてオーダーしようと画策中です。そしたら、きっとパーフェクトなのになぁ、なんて(笑)
Photo:Ikuo Kubota(owl)
Text:FORZA STYLE