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LIFESTYLE 天才 タカ大丸の御礼参り

元SONY社長に全力取材!「気絶するほど成果を出す仕事術」とは?

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前置きが長くなったが、今回が筆おろしとなるこの連載の趣旨をお伝えしよう。私こと、「天才タカ大丸」を作り上げた恩人を訪ねて回り、礼を言って回る、要は「御礼参り」シリーズだ。
デジタル大辞林によると、「御礼参り」とは、

1.神仏にかけた願が成就した例に参詣すること。報賽(ほうさい)。
2.刑期を終えて出所したやくざなどが、自分を密告したり、自分に不利な証人になったりした人に、仕返しをすること。

とある。言うまでもなく、この場合の「御礼参り」は1の意味である。 

まずは本人に礼を述べた後、この取材と話した内容について覚えているか聞いてみた。

「全く覚えていないな。いつ頃の話ですかそれ? 二十何年前? ボクは過去のメモリはどんどん消していくからね。でも第二外国語の話、いいアイディアでしょ?」

あれ? どのようにしてこの「名案」に気付いたのか聞いてみた。

「僕がロンドンに留学した時にね、フランス語の授業を受けてそう思ったんですよ。誰かに教わったわけではないですね。若い頃から英語に苦手意識が強くてね、それをやっと克服できるかなという時期のことですね。英語ってね、喋るのは誰でもできるんですよ。でも聞くのと読むのだけは現地で勉強しないとできないですよね。そこの認識が間違っているから日本の英語教育はおかしいし、院生やビジネススクールの学生がみんな逃げ帰ってくるんですよ。斜め読みができないからね」

そんな出井の華やかなビジネスマン人生の傍らには、いつも数多くの本があったという。これまでに読んでよかった本、ビジネスマンにオススメの本などを聞いてみた。

英語の本を原書で読むメリットとは?

「本というのは時代を反映するものだから、僕が昔に読んだ本を今の若い人が読んでも参考になるとは思えないな。古典ならいいのか、というと古典が現代のビジネスシーンにそのまま当てはまるかといえば、それも怪しいものですよね。哲学書も読まないし。僕が大学に行っていたのは1960年代ですからね。学生運動が盛んだったから、マルクスの“資本論”とかは少し読んだけど、それがソニーの経営で役立つはずもないしね」

なおも食い下がってみると、

「僕が読むのは技術の本が多いからね。AIが今後どうなっていくか、とか。ただ2年もたつと古くなりますからね。しかもアメリカの本が日本で出るまでは、1年半とか2年のタイムラグができるでしょう。この差は大きいんですよ」

身近な例で言うと、私が訳してベストセラーになった「ジョコビッチの生まれ変わる食事」は2015年に日本で出た、というか私が発掘して出したわけだが、英語版の原著は2013年刊、つまり2年遅れである。それ以上に遅れている本は数えきれない。つまり、「英語の原書を読めるようになれ」だ。

「僕は、ソニーに入社してから1年で休職してヨーロッパに留学したんですよ。短期間ロンドンにいて、その後教授を追いかけてスイスに行きました。両親が大学教授でしたからね、親の伝手で東洋経済にコネがあって、ソニーについて調べたらヨーロッパで伸びる余地がある、と。これはいいなと」

「ソニーがヨーロッパで伸びそうだから入社されたのですね」と私が相槌を打つと、「違うよ。“伸ばせそう”だから入ったんだ」と少し語気を強めて訂正した。出井本人がヨーロッパで主体的にソニーの事業を拡大させるつもりだったということだ。入社当時から、会社の舵を自分が握るという当事者意識があったことがうかがえる。

みんなと違う方向を見て進め!

「あの当時みんながアメリカ、アメリカと言っていたから僕は逆張りでヨーロッパを選んだわけです。留学時代はショックの連続でしたよ。授業は必ずラテン語で終わるし、テストの口頭試問も全部ラテン語でしたからね」

ここで、「もしあなたが今22、23の就活生だったらどんな会社を選ぶか」と聞いてみた。
就職しないね! 日本の大学生のレベルなんて、世界的に見れば高校生くらいですよ。そこで社会に出ても何にもならないと思いますね。まずは自分が何が好きなのかを調べて、それを学べる大学院くらいには行かないと話にならないと思いますね」



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