FORZA STYLE 編集長 兼 ファッションディレクター
尊敬する人は、ロロ・ピアーナの元会長セルジオ・ロロ・ピアーナさん、ピエール・ルイジ・ロロ・ピアーナさん、トッズの会長ディエゴ・デッラ・ヴァッレさん、格闘家のブルース・リーさん、初代タイガーマスクの佐山サトルさん。 スポーティでエレガントなイタリアンスタイルを愛し、趣味はクルーズ(船旅)と日焼けとカラオケ。お酒をある一定以上飲み過ぎると、なぜだか一人感無量状態になって男泣きする小誌編集長。1973年、東京生まれ。
エロサバ、エロサバ……。それは、コンサバティブな洋服を着ているのに、エロく見えるスタイルのこと。以前、エロサバの定義を、丁寧に仕立てられたグレーの無地のスーツを着て、上質な白シャツに無地の黒のネクタイのような極めてコンサバなスタイルをしているにも関わらず、内側から大人の色気が香るスタイルのこと、と書きました。
しかし最近、自分でもどこがエロいのかがわからなくなってしまうんです。毎日気絶しているからでしょうか? 目を開けたまま寝ているせいでしょうか? 説明しようと思えば思うほど、ラビリンスの世界に迷い込み……。ということで基本に立ち戻って、グレースーツを着てみました。
アイテム
スーツ/B.R.SHOP
シャツ/クロスクローゼット
ネクタイ/タカシマヤ スタイルオーダー サロン
ポケットチーフ/ムンガイ
時計/ヴァシュロン・コンスタンタン
リング/アスプレイ
バッグ/エルメス
ソックス/菅原靴店
靴/WH
香水/ペンハリガン
エロサバとは禅問答のようなもの。さまざまなこだわり、妄想、固定観念に縛られている自分に気づかせてくれるとともに、常識にとらわれない発想を身につけ、辛い現代社会を生き抜くためのトレーニングなのかもしれません。そもそも禅問答とは、禅宗において修行者が悟りを開くための課題として与えられる問題(公案と言います)のこと。実は、決まった正解はありません。ね、エロサバがまさにそうだと思いませんか?
今回は、自分でもこの連載を続けているうちに、エロスの極意が何だかわからなくなってしまったんで、最初にエロサバの基本として挙げたグレースーツの着こなしに立ち戻ってみました。これは、エロスをまったく感じさせないコーディネイトながら、いかに色気を出すかといった僕なりの挑戦! いわば逆張りの発想です。だって、すごく真面目な格好をしているのに、エロさがダダ漏れしている状態がきっと最強じゃないですか。
グレースーツは、久々にスリーピースを着たくなって最近新調したもの。トレンドの“英国調”を意識しつつ、生地は伊・ドラッパーズ社の「FIVE STARS」を選びました。この生地は、打ち込みがしっかりしていて、シワになりにくく、仕立て映えする適度な重量があるのが特徴。その一方で、美しいドレープを特殊なフィニッシュで実現しています。
これに合わせた白シャツは、僕とシャツ・テーラーの南祐太さんとがコラボしたスペシャルプロジェクトで完成したクロスクローゼットの一枚。120双糸のブロード地を使い、日本人の体型に似合うボディバランスと、着用時の余分なシワをなくし、細身でも窮屈さを感じない絶妙なフィット感にこだわりました。
ネクタイは、タカシマヤスタイルオーダーサロンでオーダーした、ややナローな大剣幅7センチの黒のウールタイ。足元にはWHの新作の黒いストレートチップを合わせています。この靴は、丸みのあるフォルムと厚みのあるラバーソールがポイント。前からあるようなシンプルなデザインですが、実はビミョーにアップデートしています。
と、ここまではどこからどう見ても真面目一徹。靴が厚底であることを除いては、隙のない正統派クラシックがイメージです。
エロを強いて挙げるとするなら、腕時計とリング、バッグの金属部分にゴールドを取り入れていることぐらいでしょうか。このへんの使い方は、前から言っている通り、あくまでも見える面積は控えめに。これ見よがしではなく、小さな部分にちりばめるからこそ、効き目があるのです(と信じています)。
さてさて、どうでしょう? 肝心のエロスはダダ漏れていますか? え、わからない……、ですよね。ただ、僕にはとっておきの秘策があるんです。それがペンハリガンの香水「プレナム ブーケ」です。シトラスが爽やかに香る若々しいヘッドノートから、針葉樹と森の香りが広がるウッディで落ち着いた香りへと変わっていくのがいいんですよね。僕の調査では、ムスクのようなエロさビンビンの香りより、控えめで気品のあるこんな香りのほうが、大人の女性はくつろぎを覚えるという意見が圧倒的です。
まずはお出掛け前に、両手・両足の内側にあるパルスポイント(脈を打つ場所)に。さらに、空気中にワンプッシュして服をくぐらせるとハグしたときにいい香りがします。あと、それ以外にも、香水会社の偉い方に教えていただいた部分で、僕が香水をつける秘密の場所があります。さて、それは次のうちどこでしょう?
1.耳の穴
2.膝の裏
3.アソコ
4.毛の中
5.脳
正解者には、僕が実際にそこにワンプッシュして、香水のつけ方を伝授しますね。
今回のスタイルのキモは……。
Photo: Ikuo Kubota (OWL)
Styling&Model:Yoshimasa Hoshiba
3冊目の書籍が発売しています。今回は、難しいとされる大人のカジュアルスタイルについて書いています。読んでない方はぜひ!
干場義雅が教える
「究極の私服」
(日本文芸社)
2冊目の書籍は、色気についてです。 普通に見えて、なぜか人を惹きつける男の共通点について書いています。読んでない方はぜひ!
一流に学ぶ
「色気と着こなし」
(宝島社)
1冊目は、スーツの着こなし術から世界の一流品選びまで、基本的なことやお洒落の本質について書いています。読んでない方はぜひ!
世界のエリートなら誰でも知っている
「お洒落の本質」
(PHP出版)
【エロサバ】-Hoshipedia
「エロサバ」とは、エロいコンサバの略で、干場の哲学により生まれた造語。シンプルでベーシック、コンサバティブな洋服を着ているのに、なぜかエロく見えるスタイルのこと。例えば喪服の女性。成熟した大人の女性が喪服を着ていて、メイクもナチュラルで抑制しているのに、不思議と色っぽく見えるスタイル。例えば、普通の白いシャツを着ているのにも関わらず、胸元のボタンの開け方や袖口のまくり方でSEXYに見えるスタイル。粗悪な素材でデザインが変わっているシャツでは駄目。上質な素材でベーシックなシャツだからこそ、崩して着こなしても上品さが保てるのです。男性で例えるなら、仕立てられたグレーの無地のスーツを着て、上質な白シャツに黒の無地のネクタイのような極めてコンサバティブなスタイルをしているのに、内側から大人の色気が香るスタイルのこと。
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