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「イタリア語は映画で覚えた」。ドクトル赤峰が惚れ込んだ名画に気絶

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ジェントルマン道を極めるドクトル赤峰とファッション界のレジェンドたちが、イマドキファッションの風潮やヤワな着こなし、ガッカリスタイルなどをスパッと一刀両断! 男として、あるいは女として、「清く、正しく、美しく」生きるために必要な服装術や、服を着ることの意味・意義をストレートに語り尽くします。

ジェントルマン道を極めるドクトル赤峰とファッション界のレジェンドたちが、イマドキファッションの風潮やヤワな着こなし、ガッカリスタイルなどをスパッと一刀両断! 男として、あるいは女として、「清く、正しく、美しく」生きるために必要な服装術や、服を着ることの意味・意義をストレートに語り尽くします。

10月6日(土)から19日(金)まで、東京・YEBISU GARDEN CINEMAで「イタリア ネオ+クラッシコ映画祭2018」が開催されます。今回はイタリア映画が誇る現代の古典(ネオクラッシコ)と永遠の古典(クラッシコ)の中から12作品を上映しますが、自分と映画祭を企画したVALERIA(ヴァレリア)の小倉聖子さんのお薦めは『にがい米』(1949)です。小倉さんいわく、「見終わって、最後に、あ~、本当に“にがい米”だなと思わせるストーリーです」とのこと。ほら、観たくなりましたよね。あれ?(協力:YEBISU GARDEN CINEMA)

ボルサリーノをかぶって『暗殺の森』スタイル

小倉 『にがい米』はいい映画ですよね。

赤峰 イタリアで米が採れるピエモンテ州が舞台ですが、出てくる女性たちがすごい。

小倉 田園でひたすら苗を植える女たちが主人公ですが、一ヵ月に渡って田植えをするには体力も根性も必要で、女たちは袖もパンツの裾もめくって田植えに励むのがすごくいい。

赤峰 足も細くなくて、健康的で色っぽいんですよ。

小倉 女優に着せる服と役柄とストーリーが理にかなっていて、演出が本当に上手です。

赤峰 みんなタレントじゃなくて役者なんだよね。監督の「役者の煮込み方」が昔の映画は素晴らしい。監督の目が役者の着る服や仕草まで行き届いていて、役になりきっている格好良さはもちろん、人の中からにじみ出てくるモノがある。

小倉 今日の赤峰さんの着こなしもカッコイイですよ。

赤峰 今日はベルトルッチ監督に敬意を表した格好をしてきました。30年前に作った『リヴェラーノ』のスーツにボルサリーノです。映画を観て、素晴らしいスタイルに出合って、役者の所作などをずっと見ているといつしか身についてくる。

小倉 なりきるんですね。

赤峰 真似じゃないんだよ。なりきる気分が大事で、そうじゃないと“服と肌”がくっついてこないんだよね。

小倉 服と肌! そういう風に役者の着こなしを見ているんですね。

「手間とヒマ」をかけた本物に触れることは大事

赤峰 日本人の映画監督では小津安二郎は素晴らしいね。題材と役者がぴたっと合致して、なにより言葉遣いが美しい。今の時代にああいう言葉を話せる日本人はいないですよ。

小倉 みんな粋ですよね。『お茶漬けの味』(1952)を観ると、女たちが不満を言い合いながら、でも最後にお茶漬けを食べる。あれはすごい。

赤峰 映画はね、「手間とヒマ」なんですよ。それと若い人たちにそういう古典を観てほしいよね。イタリアではゴールデンアワーにテレビで映画を放映しているんだけど、ベルトルッチやロッセリーニ、デ・シーカ、フェリーニの映画を普通にやっていて、イタリアの子どもたちがみんな観ている。

小倉 日本の地上波では無理でしょうね。改めて淀川長治さんは素晴らしい存在だったんですね。

赤峰 映画に限らず、本物に触れることは大事。大人がそれを忘れちゃいけないよね。

右下が『にがい米』のビジュアル(ポストカード)

イタリア映画を観まくって、イタリア語を覚えた

小倉 10月6日(土)から始まる「イタリア ネオ+クラッシコ映画祭2018」では12作品を上映しますが、見どころの一つは「クリスタルディ社」が製作した3本を含む8本です。

赤峰 フランコ・クリスタルディは、クラウディア・カルディナーレの元ダンナで、『ニュー・シネマ・パラダイス』のプロデューサーです。

小倉 『ニュー・シネマ・パラダイス』、良い映画ですよね。

赤峰 僕は『太陽がいっぱい』は50回、『ニュー・シネマ・パラダイス』は30回ぐらい観ていて、セリフを覚えてしまって、いつしかイタリア語がしゃべれるようになっていたからね。そして映画の舞台になった場所でセリフをつぶやきたくなる。

小倉 それ、あります! 赤峰さんは映画でイタリア語を覚えたんですね!

赤峰 今回の上映ではタヴィアーニ兄弟の『ある個人的な問題―レインボウ』(2017)も素晴らしい。

小倉 パオロ&ヴィットリオ・タヴィアーニ兄弟を素晴らしいというのは、私のまわりには赤峰さん以外に3人ぐらいしかいません(笑)。

赤峰 『ある個人的な問題―レインボウ』はヴィットリオの遺作になってしまいましたが、イタリアのネオレアリズモの映画としてぜひ観てほしいです。

赤峰さん私蔵の映画関連の書籍

僕の服とスタイルは、映画が教科書

赤峰 では、小倉さんから「イタリア ネオ+クラッシコ映画祭2018」の宣伝を。

小倉 ありがとうございます。今回上映する12作品は皆さんは知らない映画だと思いますが、タイトルやビジュアルを見て興味を持ったら一度観てください。イタリアの服が好きな男性にはきっと響くモノがあると思います。

赤峰 男の服には、1920~30年代と50~60年代の2つの20年間にスタイルの原点があります。今回上映する映画は作品の質の高さはさることながら、主役の後ろにいる運転手などのスタイルにも注目してください。僕の服とスタイルは映画が教科書で、リアルなモノを映画から学んでいます。

小倉 美しさと格好良さが共存する映画館で、映画大国イタリアの新旧作品をお楽しみください。

イタリア ネオ+クラッシコ映画祭2018
10月6日(土)~19日(金)
YEBISU GARDEN CINEMA
上映作品:『ヘラクレス』(1958)、『ヘラクレスの逆襲』(1959)、『ナポリの饗宴』(1954)、『イタリア式離婚狂想曲』(1961)、『にがい米』(1949)、『暗殺指令』(1959)、『ゼロ地帯』(1960)、『太陽の誘惑』(1960)、『ある個人的な問題―レインボウ』(2017)、『ともに歩む人生』(2017)、『狂った夜』(1959)、『愛の果てへの旅』(2004)

YEBISU GARDEN CINEMA
東京都渋谷区恵比寿4-20-2 恵比寿ガーデンプレイス内
http://cinemaneoclassicoitaliano.com/
https://www.facebook.com/ItaliaNeoClassico/

「ドクトル質問箱」では、赤峰さんへの質問をお待ちしています。こちら「forzastyle@kodansha.co.jp」まで質問をお送りください。

ジャパン・ジャントルマンズ・ラウンジ
http://j-gentlemanslounge.com

Photo:Shimpei Suzuki
Writer:Makoto Kajii



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