イオタ伝説再び。アベンタドールSVJ発進!
前回に引き続きモントレー・カーウィークからホットな話題をお届けしましょう。ついにアンベールされたランボルギーニの最強フラッグシップ「Aventador SVJ」が登場です。
これにより従来ラインナップされていたSVがSVJに置き換わるのですが、モデル名の意味するところは「Super Veloce=Super Fast」に「J=Jota(イオタ)」という称号が加わります。
プレスリリースを切り取ると「-takes the ‘Jota’ suffix,-」という部分があります。日本人には馴染みがないサフィックスですが、もしアナタが貴族でサーの称号をお持ちならサーの部分、ルパン3世なら3世の部分がサフィックスにあたります。
1963年創業と歴史の浅いランボルギーニですが、イオタはスーパーカー世代に強烈な印象を残しました。
いまでは伝説となるイオタですが、正式には車名ではなく❝通り名❞です。イオタの起源となったモデルは同社の実験車両であり、モデル的にはミウラと同時期にあった先行開発用のプロトタイプカーを指しています。

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姿形はミウラをレース仕様にモディファイしたような車両でしたが、中身はまったくの別物でサイドシル内に燃料タンクを収めるなど、ル・マン24時間で一時期を築いたフォードGTのようなレイアウトを採用していました。
カロッツェリアであるベルトーネ在籍時にマルチェロ・ガンディーニがデザインしたミウラは流麗なデザインが特徴であり魅力なのですが、イオタはこの時代のレース車両規則J項(FIA) に添って車両開発が進められた、とてもスパルタンなミウラとは相反する魅力をもつモデルでした。

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開発チームを取り仕切っていたボブ・ウォレスは、ロータス、フェラーリ、マセラティなどワークスチームで腕をふるってきた人物でしたが、マセラティのワークス活動休止とともにレース界から引退を余儀なくされます。
そんなボブに声を掛けたのがマセラティ時代のデザイナーであったジャン・パオロ・ダラーラです。いまでこそダラーラといえば伝説のレーシングカーデザイナーですが、マセラティを後にしたダラーラは、新興メーカーであるランボルギーニのチーフエンジニアに就任。1964年、再び二人はタッグを組む事になります。
テストドライバー兼エンジニアとして多彩な才能を発揮したボブは創業者であるフェルッチオ・ランボルギーニの信頼を得て、特別にレースカーの開発を許されます。その時誕生したのが今でいうところのイオタなのです。

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このイオタは売り物ではなかったのですが、自動車部門の母体となるトラクター部門の業績悪化(新興国向け大量発注がドタキャン)なども影響してか、とあるカスタマーの熱意に負け譲られることとなります(悲運なことにこのイオタは引き渡し後の試運転中に高速道路で大クラッシュ!)。
以上がイオタ伝説の起源となりますが、その後もイオタを作って欲しいというカスタマーがサンターガタ・ボロニェーゼのランボルギーニ・ファクトリーを訪れます。このご本家作イオタは10台もありませんが、究極のビスポーク故にすべて仕様が異なり、同じ車両はないそうです。

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ランボルギーニに興味がなければかなりややこしい話なのですが、このミウラがベースのイオタは車名としてはイオタではなく、正式にはミウラSVJであり、その中でひときわ目立つブリスターフェンダーを与えられた車両がミウラSVRと呼ばれます。

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正式にイオタの名が与えられたのは、1995年に創立30周年を記念した限定車であるディアブロSE30をベースに作られたモデルが最初となるでしょうか。これに続くのが今回のアベンタドールSVJです。
紛らわしいのでいっそうJOTAエンブレムを付けてくれればいいのにと思うのですが、それではイオタ伝説が終わってしまいそうです(笑)。

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で、注意しなくてはならないのが、アベンタドールSVJは900台の限定生産車ということ。また、63番のゼッケンを貼ったモデルはSVJベースの同社の起源となる❝1963年❞をオマージュしたカーボンパーツがテンコ盛りの限定車であるということ(よって63台限定)。

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ちなみにエンジンスペックは30hpほど上がり最高出力770hp(566kW)/8500rpm、最大トルク720Nm/6750rpmを発生します。アベンタドールSVJのキモはパワーよりも空力特性であり、スポーツカー開発の聖地ニュルブルクリンクでは市販車最速のレコードタイムを叩き出しています。

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アベンタドールSVJの発売は2019年とのアナウンス。このモデルをカスタマーに収める頃にはニューモデルへとバトンは受け継がれます。
躍進著しい現在のランボルギーニのCEOは、2016年に就任したかつてスクーデリア・フェラーリを率いたステファノ・ドメニカリです。スーパーカービジネスはまさにショービズな世界。今後に期待が膨らみます。
価格:5154万8373円(税抜き)

アヴェンタドール・ミウラ・オマージュ 2016

























































Text:Seiichi Norishige
ランボルギーニ
0120-988-889(カスタマーサービスセンター)
■Aventador SVJ Unveiling – Monterey Car Week 2018