複雑機構をギュッと凝縮した、極薄トゥールビヨン
第27回目は、ブレゲのクラシック トゥールビヨン エクストラ-フラット オートマティック 5367です。
1775年に創業したブレゲ。創業者ブレゲは、現存する機械式時計における主な機構の多くを発明した人物です。その中でも特に有名なのが、トゥールビヨン。これは、懐中時計や腕時計ならではの姿勢差を解消するもの。繊細なヒゲゼンマイが重力によって下にたわむのを、テンプと脱進機を丸ごと回転させることで、均等に重力がかかるようにするというものです。
超複雑な機構ゆえに、採用する時計はケースの厚みを必要とするものが一般的。まぁ、その重厚感を機械式腕時計の魅力とするむきもあるにはあるのですが、技術的にはトゥールビヨンを搭載しながら薄型にするというのは、時計ブランドの腕の見せ所だったりするのです。そんな中、トゥールビヨンの本家本元がやってのけたのが、2013年に発表されたクラシック トゥールビヨン エクストラフラット オートマティック 5377で、厚みわずか3mmというトゥールビヨン搭載の極薄ムーブメントです。それも、なんと外周ローターの自動巻きで、80時間のロングパワーリザーブを可能にしています。
今回ご紹介するのは、その極薄ムーブメントを継承しつつ、約800度の高温で焼成したグラン・フー・エナメルをダイヤルに採用し、クラシックな面持ちに仕上げた最新作。超絶な技術力をあえて一見して誇示しない、品良いシンプルなルックス。能ある鷹は爪を隠すとは、まさにこのことです。
機械式時計、特にトゥールビヨンの超複雑な機構は、その動きを見ているだけで夢中になれます。時を刻むものなのに、時を忘れてしまうほどに。
Text:Masafumi Yasuoka
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