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FASHION 僕が捨てなかった服

【実は今も愛用】ビームス中村さんが虜になった、逸話を持つネクタイとは?

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人生には、どうしても手放せなかった服、そう「捨てなかった服」があります。そんな服にこそ、真の価値を見出せるものではないでしょうか。そこで、この連載では、ファッション業界の先人たちが、人生に於いて「捨てなかった服」を紹介。その人なりのこだわりや良いものを詳らかにし、スタイルのある人物のファッション観に迫ることにします。

幅を直して、いまだに愛用するイギリス発のネクタイ

人生には、どうしても手放せなかった服、そう「捨てなかった服」があります。そんな服にこそ、真の価値を見出せるものではないでしょうか。そこで、この連載では、ファッション業界の先人たちが、人生に於いて「捨てなかった服」を紹介。その人なりのこだわりや良いものを詳らかにし、スタイルのある人物のファッション観に迫ることにします。成毛賢次さんに続いて登場するのは、ビームスのクリエイティブディレクター、中村達也さん

中村さんが膨大な数を所有してきた中でも捨てられなかった服をご紹介する企画の第10回目は、「チャールズ ヒル」のレジメンタルタイです。

80年代後半から90年代に注目されたイギリスのブランドなのですが、実は前身に「ヒル&ドレイク」というブランドがあった訳です。これはチャールズ・ヒル氏とマイケル・ドレイク氏の2名が始めたブランドでしたが、この2名が別れてそれぞれ、今の「ドレイクス」と「チャールズ ヒル」になった訳ですね。

僕はどちらも好きでしたが、「チャールズ ヒル」の選ぶ色めがもの凄く好みで、実はそこまで売れていませんでしたが…、自分の中では「ドレイクス」と「チャールズ ヒル」はイギリスの2大ネクタイブランドと捉えていました。

このレジメンタルタイは、今で言うと「アズーロ・エ・マローネ」でイタリアっぽいカラーリングなのですが、当時イギリスのネクタイであんまりこういった色使いのモノってありませんでした。ジャカードなんかはターンブル&アッサーのような派手なモノもあって、どちらも結構たくさん持っていたのですが、時代の移り変わりでイタリアモノが隆盛を極めてくるとイギリスっぽいジャカードは合わせづらくなりました。

でも、このレジメンタルタイはイタリアモノにも合わせられたので良く巻いており、相当に息の長いアイテムです。実は、今も普通に使っているくらいで、ここまで長く愛用しているネクタイってコレくらいかもしれません。幅は10cmくらいだったモノを8cmに直してはいますが。

チャールズ・ヒルは90年代くらいまで自身のブランドを手掛けて辞めることになるのですが、その後ターンブル&アッサーのデザイナーになりました。そして、なんと! 彼の息子がマイケル・ヒルといって、2013年にマイケル・ドレイクが引退した後に「ドレイクス」のクリエイティブディレクターに就任するわけです。面白いですよね。だから、このネクタイをマイケル・ヒルに見せると、もの凄く喜んでくれます。

「チャールズ ヒル」はかなりたくさん持っていましたが、この2本だけ残っていて捨てていないのは、この後に流行るイタリアのクラシックスタイルにも凄く合わせやすい色めをブリティッシュ全盛のときに既に作っていたからだと思っています。

Photo:Naoto Otsubo

Edit:Ryutaro Yanaka


中村達也
ビームスクリエイティブディレクター
大学在学中よりBEAMSでアルバイトをし、卒業後ショップ勤務、店長、バイヤーを経て現在はクリエイティブディレクターとしてドレス部門を統括。メンズのドレスクロージングに関するセレクトや論理的な解説が持ち味で、媒体での連載や自身のブログ”ELEMENTS of STYLE”は絶大な人気を博している。


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