大人の男のジーンズ、NGなのはこの3つ
ビジネススタイルについて数冊の著書があり、スーツのイメージが強い松屋銀座の紳士服シニアバイヤー・宮崎俊一さんだが、実は、LEVI’S 501を100本以上持つほどのジーンズマニア。
実際に「ジーンズは何をはいたらいいの?」という質問をよく受けるそうだ。宮崎さんに、大人の男が選ぶべきジーンズについて話をうかがった。
「“何をはいたらいいの?”と言う前に、“何をはいたらいけないのか”についてお話ししたいと思います。私が考えているNGジーンズは次の3つです。
1 股上が浅く、ストレッチが入ったピチピチのスキニーパンツ
これは絶対にはかないでください。バキバキに鍛えた上半身とスラリとした下半身の韓流スターならサマになりますが、おなかぽっこり、太ももむっちりのおじさんが着ると……目もあてられません。
2 激しいダメージ加工、不自然なユーズド加工が施されたジーンズ
NGジーンズの中でも特によく見かけるのがこれです。人工的につけられたシワや色落ちは整形感丸出しで、逆に格好悪く見えるので大人が買うジーンズにふさわしくありません。
3 大きくロゴの入ったジーンズ
このタイプも、よく目にします。これはジーンズを買うのではなく、ロゴを買う行為です。
他にも、80年代に流行したケミカルウォッシュのジーンズ、裾が広がったフレアーやブーツカットのジーンズも、大人の男性には似合わないのでやめてください」
全ての人に似合うジーンズは存在しない

「雑誌では実に頻繁にジーンズの特集をしています。人気ブランドや海外セレブが着用しているジーンズが掲載され、それにつられて買ってしまうという方も多いと思いますが、実はジーンズ選びの失敗はここにあります。
どんなにカッコいいジーンズでも、体型に合っていなければ、その買い物は失敗です。全ての人に似合うジーンズは存在しません。必ず試着をして、自分の体型に合うかを見極めてから購入されることをおすすめします」

万能なのはジーンズメーカーの「定番」や「新定番」
「私がおすすめするのは、ジーンズメーカーの定番や、定番をアレンジした“新定番”。定番となっているだけに品質がよいのが魅力です。
具体的には、LEVI’Sの501、501CT、Leeの101。ワンウォッシュの濃い目の紺色で、程よくゆとりのあるストレートフィットのもの。パッと見てカッコいい形ではありませんが、いつの時代にも合い、シルエットがきれいなので、ポロシャツからジャケットまで幅広くコーディネートが可能な“万能アイテム”といえます。この3つは、男っぽいジーンズの代表です。
LEVI’SとLeeのどちらを選ぶかはお好みで。試着をしてみてしっくりするほうを選んでください」
気に入ったシルエットの一本に出合えれば、補修してでもはき続けたくなる。長くはき込んだ風合いを愉しむのも、大人の男のジーンズ道だ。


裾上げ次第で大違い。安易な裾上げは禁物
「男のジーンズとしてこだわっていただきたいのが、裾上げです。不要な場合はいいのですが、もし裾上げが必要な場合は、チェーンステッチができるところを選んでください。ちなみに、松屋銀座では、チェーンステッチのためにユニオンスペシャル社のミシンを用意しています。さらに、ヨレを出すために少しずらして裾上げするなど、忠実にオリジナルを再現するようこだわりました」


迷いがちな大人の男のジーンズ選び。ブランド重視、トレンド重視で選ぶのもいいが、ベーシックアイテムをとことんこだわって着こなす、これぞ大人の男のジーンズ道なのかもしれない。
photos:Mitsutoshi WATANABE
1965年北海道生まれ。1989年株式会社松屋入社。96年より紳士服バイヤーとして活躍。独学でイタリア語を習得して生地の買い付けに出向き、国内の仕立て職人とともに作る「丸縫い既製スーツ」が人気を集め、イタリア製スーツを凌駕するその品質の高さはアパレル業界を驚愕させた。現在はIFIビジネス・スクール、青山学院大学、首都大学東京、東京経済大学、横浜市立大学においてファッションビジネスのカリキュラムで講師を務める。企業トップのスタイリング、ファッションセミナーなど幅広く活動している。著書に『成功する男のファッションの秘訣60』『成功している男の服選びの秘訣40』『ビジネススーツを格上げする60のルール』(講談社)がある。

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松屋銀座本店 紳士服シニアバイヤー・宮崎俊一さん






