今回は、かなりストイックな感じにまとめてみました。どこにエロスが潜んでいるのか、パッと見はわからないですよね? 今回は『ウォーリーを探せ』ばりに、目をひん剥いて当ててみてください。こんなモノトーンな組み合わせに、遊びが入り込む余地ないやーん! そう思うでしょ? でもね、これ見よがしなアピールより、効果的な方法があるんです。

アイテム
スーツ/ユニバーサルランゲージ
シャツ/インダスタイル
ネクタイ/エルメス
ポケットチーフ/ムンガイ
ベルト/ジョンロブ
手に持ったメガネ/オリバーピープルズ
時計/ショーメ
バッグ/ペッレ モルビタ
靴/ジョンロブ
(すべて干場私物)
スーツは、ユニバーサルランゲージでつくった元祖「最強スーツ」。いまでも改良を重ねてどんどん進化していますが、一発目のこれには深い思い入れがありまして……。それまでの煩悩をすべて叶えてやろうと最初の打ち合わせに臨んだものでした。なんせ、0→1の作業だったので、“着まわしがきく”“シワになりにくい”“着心地がいい”“40代のスタイルがよく見える”“お買い得感”と、こっちからのリクエストはてんこ盛り。
素材には尾州産の「ポンチ」と呼ばれる伸縮性に優れた生地を使っています。これまでストレッチ素材のスーツというと、カジュアル色が強くてビジネスの場ではどうなんだか、という疑念があったと思いますが、これはそうした不安を解消し、フツーのビジネスマンの方々に喜んでいただけるよう、至ってオーソドックスな見た目にこだわりました。


で、シャツもオーソドックス極まりない見た目ながら、ニット生地を使ったもの。さらに、立体裁断をより発展させた動体裁断というパターンを採用しています。
動体裁断とは聞き慣れない言葉ですが、一般的なシャツの型紙がピンと背筋を伸ばした姿勢のもとつくられるのに対して、こちらはお母さんのお腹の中にいる赤ちゃんの姿勢を原型にして製作。だから、体の動きを邪魔せず、肩や首にも負担がかからないんです。しかも、価格はお手ごろですから、デイリーに着るには、かなりの優秀作。
と、このふたつは日ごろ、出張の多い僕のライフスタイルから導き出された組み合わせなんですが、ここまでは真面目この上ない印象ですよね。エルメスのネクタイで格上げしたのも、ちょっとしたポイントではありますが、エロではない……。
では、このスタイルでエロが息づいているのは……小さな部分にまぶしたピンクゴールドです。だいたい、“ピンク”って言葉自体がエロいですよね(笑)。それだけで、ムフフとなる。昭和エロスの響きがあるというか……。ところが調べてみると、ピンク=エロなイメージは日本だけで、昭和38年に夕刊紙『内外タイムス』の文化芸能部の記者が『情欲の洞窟』という映画を取材した際に、『おピンク映画』とこうしたお色気映画をまとめて称する造語をつくったのが最初のようです。それから半世紀以上、日本ではピンクとエロを重ね合わせてしまうのですから、言葉の刷り込みってすごいですよね。あれ、何の話してたんでしたっけ?

そうそう、ピンクゴールドでした。5年くらい前ですかね、ピンクゴールドにハマった時期があって、あれこれ探していたときに出合ったのが、ショーメの腕時計「ダンディ」コレクションでした。こちらはケースがピンクゴールドでして、間違いなく日焼けした肌を品よく見せてくれるなと……。イヴニングウォッチであるとともに、メンズジュエリーでもある。となると、夜の舞台では間違いなく、イヤらしく、でもエレガントに映えるわけです。
それとともに、このスタイルの要になっているのが、ジョンロブの靴とベルト。ジョンロブでは「ローズゴールド」色と呼んでいますが、バックル部分の金具がこの色なんです。目を凝らさないとわからないぐらいですが、これはボクシングでいうところのジャブの効果を狙っています。
漫画『あしたのジョー』で、丹下段平は少年院に収監されてしまった丈に向けて、ひとりでも練習できるように「あしたのために」という手紙を書きます。そこには「正確なジャブ三発に続く右パンチは、その威力を三倍に増すものなり」と綴られていました。そう、これはファッションでも一緒。右パンチがショーメの腕時計なら、ジョンロブの靴とベルトは1、2、3のジャブ……。あれ、一発足りない(苦笑)。
何はともあれ、こういう強弱が大事だと思うんです。あとは、ピンクゴールドはちょっとだけというバランスもポイント。特にモノトーン基調の、フォーマルをちょっと意識したようなスタイルには抜群に映えますが、やり過ぎは下品に見えてしまうのでご注意を。あれこれ餌をばら撒くより、本当に美しい蝶はとびきり甘い蜜にだけ集まるのです。
今回のスタイルのキモは……。
● 着心地にこだわった楽チン素材。
● モノトーン基調のストイックさを前面に。
● エルメスのネクタイで格上げ。
● ピンクゴールドをちょいちょいまぶして……。
● でも、利かせ方には強弱を。
Photo: Kazuya Furaku
Styling&Model:Yoshimasa Hoshiba





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【エロサバ】-Hoshipedia
「エロサバ」とは、エロいコンサバの略で、干場の哲学により生まれた造語。シンプルでベーシック、コンサバティブな洋服を着ているのに、なぜかエロく見えるスタイルのこと。例えば喪服の女性。成熟した大人の女性が喪服を着ていて、メイクもナチュラルで抑制しているのに、不思議と色っぽく見えるスタイル。例えば、普通の白いシャツを着ているのにも関わらず、胸元のボタンの開け方や袖口のまくり方でSEXYに見えるスタイル。粗悪な素材でデザインが変わっているシャツでは駄目。上質な素材でベーシックなシャツだからこそ、崩して着こなしても上品さが保てるのです。男性で例えるなら、仕立てられたグレーの無地のスーツを着て、上質な白シャツに黒の無地のネクタイのような極めてコンサバティブなスタイルをしているのに、内側から大人の色気が香るスタイルのこと。

『FORZA STYLE』編集長
干場義雅
尊敬する人は、ロロ・ピアーナの元会長セルジオ・ロロ・ピアーナさん、ピエール・ルイジ・ロロ・ピアーナさん、トッズの会長ディエゴ・デッラ・ヴァッレさん、格闘家のブルース・リーさん、初代タイガーマスクの佐山サトルさん。
スポーティでエレガントなイタリアンスタイルを愛し、趣味はクルーズ(船旅)と日焼けとカラオケ。お酒をある一定以上飲み過ぎると、なぜだか一人感無量状態になって男泣きする小誌編集長。1973年、東京生まれ。
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