靴下ブランドと侮るなかれ! とにかく巻きやすいんです
さて、87回めは「ソッツィ(SOZZI)」の黒シルクのニットタイ。ソッツィといえば、1912年にミラノにて創業したイタリアを代表する老舗ソックスメーカーですが、じつはニットタイの出来も素晴らしいんです。
こんな仕事なので、普段そこまで畏まった着こなしをすることは少ないんです…、とは言えタイドアップしてスーツを着なきゃいけないときだってあります。秋冬はわりとカシミアやウールのネクタイを巻くんですが、春夏だったら迷わずシルクのニットタイを選んで 清水ダイブします。
やっぱりお洒落のルーツが、1950〜60年代のアイビーとかプレッピーにあるからで、映画『卒業』のダスティン・ホフマンを気取りたいんでしょうね。"恋は障害があるほど燃える"! だって 略奪愛ってドキドキしちゃうから!!
なぁんて言いながらも、『北の国から '95秘密』の黒板純同様、札幌で行われている結婚式にまでわざわざ行ったのに 遠くの方からレイちゃんを眺めているだけでダスティン・ホフマンにはなれず…、自分の勇気のなさに辟易とするんでしょうね。あぁ、なんとも不甲斐ない、不甲斐なさすぎるスキル……。って、話がだいぶ逸れてきたので クルリンパと戻しますよ。
じゃあ、なんで黒なのか? 普段はほとんど黒を着ないし、靴やバッグなどの革物も圧倒的に茶系が多いのに、シルクのニットタイだけは 迷わず"黒"。これは完全に映画『007』のショーン・コネリーが演じたジェームズ・ボンドの影響なんですね。
グレーのスーツに、白かサックスブルーのシャツ、そこに黒いネクタイとTVフォールドで挿した白いチーフ。スーツを着るとき参考にするのは、いつもショーン・コネリーが演じたジェームズ・ボンドなんですよね。このストイックな感じがたまらない! 色気が滲み出ているというか…、喪服を着た女性のエロスに似てるというか……。またまた話が逸れそうなので、クルリンパと戻しますけど(笑)。
実際、ジェームズ・ボンドはもっと編み地が細かく、大剣の先もスクエアではないグレナディンタイを結んでたらしいんですが、そこは ご愛嬌。
これからの季節には欠かせないネイビーのブレザー a.k.a. 紺ブレ、そしてシアサッカーやコードレーンのジャケット。これらにもニットタイがちょうど良く、力まずにドレスアップできるので、ジャンジャン巻いていこうと思います!
とか言いながら暑さに完敗して、Tシャツ1枚で夕方からビールで乾杯してそうな気もしますが……。そこは見ても 見ぬふり知らぬふりでお願い致しま〜す! #ぷはっ!
Photo:Riki Kashiwabara
Text:Ryutaro Yanaka
『FORZA STYLE』シニアエディター
谷中龍太郎
さまざまな雑誌での編集、webマガジン『HOUYHNHNM』編集長を経て、『FORZA STYLE』にシニアエディターとして参画。現在までにファッションを中心に雑誌、広告、カタログなどを数多く手掛け、2012年にはニューバランス初となるブランドブックも編纂。1976年生まれ。