街の昭和中華で、女将さんにサヨナラ
もうすぐ春かなあ〜ってウキウキワクワクな今日この頃。とはいえ、朝晩はまだ肌寒いので薄着は禁物。そんな季節の変わり目には、モッズパーカが便利。フィッシュテールパーカと呼ばれるM-65パーカは、冬はライナー装着で暖かく、今の時期は取り外して軽く着れるスグレモノってわけ。
大人はあえてフードを外し、シンプルに着こなしてくれ。
オリーブカラーの軍モノには、オールブラックで合わせる。リーバイス606にレッド・ウィングのポストマンで、中目黒の昭和中華「宝来」へ向かう。
毎回圧倒され、ついつい迷っちまう多すぎる手書きメニュー。俺が今、本当に食べたいものは何か? これも己との闘い。
ダメだ。やっぱり迷っちまう。だって全部美味いんだもん。
テーブルに置かれた凍ったウーロン茶はセルフサービス。これを見るとホッとする。
ぴったりハマったティッシュBOXもJUSTY♪と歌いたくなっちまうぜ。さてと、まずはいつもの餃子を注文しようと店内を見回すと、いつもの女将さんがいないじゃないか。
俺は言葉を失った。女将さんの靖子さんは今年の1月に他界したとのこと。今は娘さんの順子さんが厨房に立っている。いつも優しかった女将さん。俺はなぜもっと早く取材に来なかったのかと自分を責めた。
女将さん、献杯。順子さんと女将さんとの思い出話にウルっとしてしまったが、美味しく食べることで女将さんも天国で喜んでくれるはずに違いない。よし食べよう!
これがマジで美味すぎる餃子。「宝来」ではマストな一品だ。
まずは、お酢とコショウでいただく。
美味すぎる! ギョー気絶&ルービー! ニンニクの効いた餡はインパクトのある濃いめの味付けだ。
次に王道のタレでいただく。
うわぁ〜やっぱ王道も美味すぎるなあ〜「天国の女将さん、宝来の餃子最高だよ!」
そしてレバニラ炒めも忘れちゃいけない。
順子さんに受け継がれた「宝来」の味は、あの頃のままだ。
あまりの美味さに、気がつくとライスを頼んでいた。レバニラをライスにバウンドさせ一口食べると、レバニライス気絶! 強烈に美味い。
昭和中華で〆はチャーハンと決めている。こいつでなければダメなのだ。レバニラにライスを注文したことは後悔していない。たとえライスの後でもチャーハンは別腹スタイル。
う・う・ウマす気絶! スープもいい感じだ。
天国の女将さん、ご馳走様でした。心から美味しかったよ。
ホテルのコックをしていた順子さんの父親が42年前に恵比寿で創業し、30年前に中目黒に移転してきた。20年前にお父さんが他界してから順子さんが女将さんと二人三脚で守ってきた「宝来」の味。順子さんは女将さんが亡くなった後、生前はケンカばかりしていたけど、お店での気配りと苦労がよくわかったと語ってくれた。今はすべてのメニューを一人で作り、女性スタッフでお店を切り盛りしている。
後継者がいないと絶滅してしまうのが街の中華。そんな時代の中で、心まで満腹にしてくれる「宝来」は俺にとって元気がもらえる貴重な昭和スポットなのだ。
フィッシュテールパーカと呼ばれる軍モノのビンテージ。このM-65パーカは多くのアパレルブランドがデザインソースにしているオリジナルだ。白い化繊ファーのついたフードを外して着るのが今の気分。デッドストックでも古着屋で根気よく探せば2万以下で手に入れることができるはず。
Text:Eiji Katano
Photo:Shimpei Suzuki
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今回のアニキおすすめの店
「宝来」
東京都目黒区中目黒1-4-18
03-3791-7057
https://tabelog.com/tokyo/A1317/A131701/13046576/
営業時間
月〜土11:30~14:30 17:00〜21:30
日11:30~14:30 17:00〜21:00
定休日 水・祝
プロフィール
片野英児(かたのえいじ)
1968年生まれ。昭和とメンズ服飾を愛してやまない49歳。小誌編集長の干場(ほしば)がアニキと呼んだことから、いつしかアダ名がアニキに。趣味は、スナックで昭和カラオケ。呑みすぎると、歌いながら、なぜか干場と泣き合う熱き男。好きな場所は軍艦島とイタリア。プロレスに行くと、なぜかマスクをかぶって観戦したくなってしまう。