ハンバーガーメニューボタン
FORZA STYLE - 粋なダンナのLuxuaryWebMagazine
BUSINESS 理想の男

【理想の男とは?】変わらない、正しい服を選ぶことのできる男

無料会員をしていただくと、
記事をクリップできます

新規会員登録

第8回「自分に似合う好みのかたちを選び、自分だけのスタイルを作ることのすすめ」

SF映画の歴史的名作『2001年宇宙の旅』が公開されたのは1968年。1960年代の当時、2001年=21世紀は、遙か未来のことでした。

その遠い未来の衣装デザインをスタンリー・キューブリック監督から依頼されたのが、英国王室のロイヤルワラントを持ち、後に「サー」の称号を与えられた、イギリスきってのテーラーでありデザイナーのハーディ・エイミス。エイミスはキューブリックに、こう答えたといいます。

「21世紀になっても男の服は変わらない」と……。

なるほど、男の服は変わらない。それは、古今東西で、さまざまに言われていること。イギリスのメンズファッションの名コメンテーターであるポール・キアーズの著作『英国紳士はお洒落だ』(飛鳥新書)の冒頭にもこう書かれています。
 

世の中にはたった二種類の服しかない。変わる服と変わらない服とである。変わる服とは流行に翻弄される服であり、変わらない服とは時代を超えて人びとに愛用される服である。機能優先の服、伝統尊重の服。表現を換えるなら、美しい服に対する正しい服とも言えるだろう。そして紳士というものは常に正しい服のほうを好むものなのだ。

では、変わらない、正しい服とは何かというと、続きにこうあります。
 

服を創るのがデザイナーである、という考え方ほど間違ったものはない。歴史を超えて存在する服とは、洋服屋の裁ち台から生まれるのではない。テニスコートや戦場で生まれる。閑暇なる優雅人や、あるいは労働者たちが実際に身につけて好都合であったものだけが遺るのである。正しい服の名称にデザイナーの名前の付いているものがいったいいくつあるだろうか。“ウエリントン・ブーツ”、“プリンス・オブ・ウェールズ・チェック”、“ラグラン・スリーブ”、“カーディガン”、“ノーフォーク・ジャケット”、“チェスターフィールド・コート”……。これらは皆デザイナーではなく優雅を識る閑人の名前であること申すまでもないだろう。

すなわち「定番」と呼ばれる服。テニスコートで生まれたラコステのポロシャツや、戦場の塹壕で兵士たちに着られたバーバリーのトレンチコート、炭鉱労働者に愛用されたリーバイスのジーンズなど、そうした定番が、変わらない、正しい男の服なのです。

ただし、そうした定番が変わっている、というのも事実。そうですよね?

だって、それこそ定番中の定番であるスーツであっても、Vゾーンの広さや、ラペルの幅、ゴージの高さ、パンツの太さや、ウエストの位置など、さまざまな部分が常に変わり続けている。より具体的な例を挙げれば、袖口のボタンが重ねて付けられるようになったのは1990年代中頃に「クラシコイタリア」がトレンドになって以降からのこと。パットや芯の廃されたソフトな肩周りは、ほんの10年ぐらい前までこの世になかった、まったく新しい仕上げです。

そして、そうしたスーツの変化に合わせるように、ドレスシャツやネクタイやコートの定番もシルエットやシェイプやフィッティングが変わっている。そんな風に定番も時代時代で変わっているのです。

それでは、そんな変わり続ける定番を、どう選べばよいのか。というと、実は、それこそが正しい男の真価の見せどころでもあります。

前記したように、定番も時代時代で、さまざまに変わり続けています。ですから、たとえば、その定番の最初期のオリジナルのかたちを希求し選ぶのもひとつの正解。あるいは、常に今の時代の最新のかたちを追い続け買い直し続けるのも、また、正解のひとつ。要するに、自分に似合う好みのかたちを選び、自分だけのスタイルを作るのです。

『FORZA』の理想とする男に欠かせない「エレガント」という言葉の語源であるラテン語の「eligere」は「選ぶ」という意味。つまり、そんなふうに自分のスタイルを選び、作ることのできるのが、真に正しくエレガントな男。まさに『FORZA』の理想の男なのです。

Photo:Getty Images



Text : Yutaka Fukuda



RANKING

1
2
3
4
5
1
2
3
4
5